『日本模型新聞』編集長に聞く、今クルマ系プラモデルが盛り上がっているワケ

絶版のキットがリバイバルされたり懐かしの旧車が新たに製品化されたり、ここ最近、模型業界では、クルマのスケールモデルが注目されています。その理由を業界紙『日本模型新聞』の編集長として長く見てきた、村岡豊次さんにお聞きしました。

ターゲットはバブル世代?

この流れに大きな影響力を与えているのが、老舗プラモデルメーカーの「ハセガワ」です。これまでは「飛行機のハセガワ」と言われ、航空系のプラモデルを得意としてきましたが、2018年を「ハセガワのイノベーション元年」と位置づけ、従来のイメージにとらわれない商品展開を始めました。

「ハセガワの新規展開のひとつとして、クルマのスケールモデルの活発な製品化があげられます。その理由は、ターゲットを明確にしたことにあるでしょう。狙いはバブル世代の男性です」(村岡さん)

「この世代は、もっともクルマに高い関心を持ってきた世代。子供の時代はスーパーカーブームで、大人になってもスカイラインやフェアレディZといったクルマが若者のステータスとして注目され、高級外車も憧れの存在でした。またこの世代の人たちは、子供時代にプラモデル製作経験のある人も多く、自身の好きなクルマのスケールモデルを買うのに抵抗がありません。また、時間的に余裕ができた人が増えているのも、追い風になっています」(村岡さん)

設計や製造技術の向上から、プラモデル自体のあり方も変わってきているそう。最近では、少ないパーツで簡単に作ることができるキットが増え、ビギナーユーザーを呼び込む大きな魅力になっているとか。

「ハセガワやタミヤといった大手のプラモデルメーカーは、ここ数年、パーツ分割を最小限にした状態で、クルマの再現度を上げる企業努力をしてきました。そのおかげで、昔ちょっとプラモデルを触っただけ、という人にも作りやすいキットになっているのはたしかです」(村岡さん)

接着剤や塗装が不要の製品も

いくらパーツ数が少なくなったとはいえ、プラモデルを作った経験がまったくない人は、それでも躊躇してしまうのが現実です。そこで青島文化教材社(アオシマ)では、さらにパーツの簡略化をし、よりビギナーユーザーの裾野を広げるキット発売しています。

「古くからクルマのプラモデルに力を入れていたアオシマでは、『1/32 ザ・スナップキットシリーズ』という接着剤不要で、塗装をしなくても実車に近い仕上がりになる製品を開発しています。この製品を使った子供向けのプラモデル講座なども行われ、好評とのことです」(村岡さん)

12月には同シリーズで「トヨタ・2000GT」も発売するようで、「話題性は高い」と言います。先に発売されていた「スズキ・ハスラー」や「トヨタ・86」のキットは、成年男性層のみならず、女性や子供が手に取ることも多くなっているそうです。

「そのほか、コアユーザー向けとしてキャラクターをあしらったデザインの『痛車』のキットや、細部の再現度をより精巧にしたフォーミュラーカーやラリーカーなども発売されています。団塊の世代が退職し、時間に余裕もできることから、1970年代の旧車にも大きな注目が集まっていますね」(村岡さん)

一部では「プラモデル離れ」などと言われることもありますが、村岡さんに話を聞く限り、そうではなさそう。むしろ、こうした流れを受けて、これからますます盛り上がっていきそうな気さえします。難易度も車種のバリエーションも幅広くなっているプラモデル、クルマ好きなら注目してみては?

▼ジートッププレス(日本模型新聞)
住所:東京都台東区柳橋1-3-3 東宏ビル
TEL:03-3861-0954
URL:http://www.g-toppress.co.jp/

(取材・文・写真:斎藤雅道 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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