会場で新車も販売!? タイのモーターショーは独自のスタイルで来場者が楽しめるイベントだった!

2019年は東京モーターショーが多くの来場者を集めたことも自動車業界の大きな話題でしたね。ところでほかの国のモーターショーはどんな雰囲気なのでしょうか。11月末に東南アジアのタイで開催された「タイモーターエクスポ」に出かけ、その会場の様子を見てきたのでお伝えしましょう。

ピックアップトラックのカスタマイズモデルが大人気!

タイといえばピックアップトラックもドレスアップも大人気の国ですが、ステージ上にまでカスタマイズしたピックアップトラックが展示されているのだから驚き。あくまでモーターショーであってカスタムカーイベントではないのですけどね。

いすゞブースは、デビューしたばかりの新型「D-MAX」のカスタマイズを提案。ところで車高低すぎじゃないですか?
いすゞブースは、デビューしたばかりの新型「D-MAX」のカスタマイズを提案。ところで車高低すぎじゃないですか?
シボレーのメインステージに展示されていたのもカスタマイズしたモデル。「コロラド」というクルマですが、実は上のいすゞ「D-MAX」の兄弟車です。
シボレーのメインステージに展示されていたのもカスタマイズしたモデル。「コロラド」というクルマですが、実は上のいすゞ「D-MAX」の兄弟車です。

ピックアップトラックを大々的に、しかもカスタマイズして展示するなんて日本のモーターショーでは考えられませんが、まさに“ところ変われば……”ですね。ちなみにタイでピックアップトラックが好まれる理由は、実用的なのに加えて税金が安いからです。日本でいえば軽自動車のような感覚ですね。

プレスカンファレンスは派手なショーがお約束

モーターショーのプレスデーに行われるのは、報道向けのプレスカンファレンス(記者発表)。新型車をお披露目したり、今後の方針などをメーカーの重鎮が発表したりする場です。しかしタイのプレスカンファレンスは……

まずは派手なステージパフォーマンスから!

とにかく場を盛り上げないと気が済まないのがタイの国民性のようです。トヨタはストリートダンスで場を盛り上げた後、現地法人の社長が記者発表をおこないました。

いすゞは生ドラム演奏付きでヒップホップダンスを披露。キレッキレのダンスでしたよ。

シボレーはセクシーなおねえさんが新体操テイストのダンスパフォーマンスを披露。そのヒールで踊っちゃうか……。スゴイ。

レクサスは他のブランドとはちょっと違います。なんとチェロの生演奏つきタップダンスを披露。
いつもなら業務的になりがちなプレスデーですが、どのブランドもお祭り騒ぎな感じがいいですね。

バイクもたくさん。市販モデルがズラリと並ぶ

東京モーターショーにもバイクメーカーの展示がありましたが、いずれも市販モデルをずらりと並べるのではなく、バイクに限らない先進技術を紹介したり、過去のレジェンドを懐かしく感じる展示でしたよね。しかし、ここタイは違います。だって、バイクが重要な交通手段なのですから。

タイで圧倒的なシェアを占めるホンダをはじめ、ヤマハやスズキなど日本のバイクメーカーは現地で大人気。広いブースを確保し、市販モデルからカスタマイズモデルまで圧倒的な台数に驚きます。

BMWブースには、一般庶民が購入するクルマより高いプライスタグの高級バイクがズラリ。タイにおける高級バイク市場は、年々広がっているそうです。

いまやeスポーツはモーターショーに欠かせない!?

東京モーターショーでeスポーツの大会が開催されたように、昨今は世界中のモーターショーでeスポーツのイベントが欠かせません。もちろんタイでも!

それにしてもユニットの数の多さに驚き! しかも、ポジションがフォーミュラーマシンのような本格的なスタイルでやる気を感じさせますね。

希少なクルマや珍しい乗り物まで!

昨今、世界各地のモーターショーで「おやじホイホイ」と言われるのが、クラシックカーをはじめとする歴史的な名車の展示。タイモーターエクスポでも、こんなお宝を見つけました。

手前はわずか285台しか生産されなかったジャガー「XJ220」。奥はジャガー「Eタイプ」の“フラットフロア”と呼ばれる超初期モデル。いずれもとても貴重なモデルです。富裕層かつクルマ好きが多いタイには、こういった珍しいクルマのコレクターも少なくないのだとか。タイは日本と同様に左側通行なので、とうぜん右ハンドルです。

これ、なんだかわかりますか? まるで翼のないジェット戦闘機のようですが、ボートです。水上でスピードを競うタイプのボートですね。モーターショー会場でこんなマシンまで見られるのだから、乗り物好きにはたまりません。

ブースの裏にテーブルがたくさんあるのはどうして?

ハイエンドブランドではない量産車メーカーのブースは、ステージの裏に行くとたくさんのテーブルが並んでいます。目的は休憩スペース……ではありません。なんと、商談スペースなのです。

タイのモーターショーがほかの国のモーターショーと大きく違うのは、現地でクルマを販売するトレードショーなこと。このテーブル周辺にいるスーツを着た人たちは、バンコク近郊の販売店から集められたセールススタッフというわけです。一般公開日にはここで商談がおこなわれ(各メーカー合計で)数千台のクルマが契約されるというから驚きですね。スタッフさんがちょっとだらけているようにも見えますが、ここはタイなのでマイペンライ(気にしない)。

テーブルを見ると、ローン金利などが掛かれています。モーターショー会場限定の特別金利などを設け、購買意欲をあおるのだとか。

モーターショーにはいろんなスタイルがある

2019年の自動車業界の話題のひとつが、東京モーターショーの大変化と来場者が大幅にアップしたことでした。そんな東京モーターショーは「日本の独自色が強まり、成功例として世界のモーターショーに一石を投じた」と言われていますが、こうしてタイのモーターショーに出かけてみると、タイも独自の雰囲気があって面白いものです。

ちなみに東南アジアのほとんどのモーターショーは、来場者の数も多くて大盛況。モーターショー離れが叫ばれる欧米や日本とはその点が大きく違い、クルマ好きとしてはなんともうらやましいところですね。

(文:工藤貴宏 編集:ミノシマタカコ+ノオト)

[ガズー編集部]

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