ドレスアップ効果だけじゃない! 「めっき」の秘密

愛車の高級感を演出するなど、デザインのアクセントに欠かせない「めっき」。装飾目的で使われるイメージが強いめっきですが、実は見えないところで耐食性や耐摩耗性などを高める役割を果たしています。正体があまり知られていない「めっき」の秘密について、自動車部品のめっき加工を主に行う株式会社AKGの工場長・中岡剛さんにお話を伺いました。


――めっきとはどのような技術でしょうか?

めっきとは、金属や樹脂をはじめとする固体の表面に金属の薄い膜を被せる技術のこと。部品の表面を金属の膜でコーティングすることにより、サビの発生を防止するなど機能面で質を高める効果があります。ひと口に「めっき」といっても、素材となるものの材質や用途によって、使われるめっきの種類や処理方法が異なります。たとえばクルマのフロントグリルやドアハンドルなどには「クロムめっき」と呼ばれるものが多く使われていますね。

――「塗装」とどのような違いがあるのでしょう?

めっきも塗装も、「表面処理」という大きなくくりでは同じです。処理方法や使用する材料の違いなどはもちろんあるのですが、その部品にキズができた際に、もっとも大きな違いがあります。たとえば表面を塗装処理した場合、キズによって塗装が剥がれるとその部分からサビが出てくるのですが、当社で主に扱っている「電気亜鉛めっき」はキズができた部分を亜鉛が自己犠牲となって、サビを防ぐ働きをしてくれます。

――めっきの有無でどれくらい耐食性の差があるのでしょうか?

水に濡れた金属をそのまま放置すると、1日足らずで錆びてしまいますよね。これは特別な実験をしなくても、日常生活で経験したことがあると思います。気温や湿度といった環境によってもサビの発生しやすさは変わるのですが、当社が行うめっき処理は「92時間白サビが発生しないこと」、「240時間赤サビが発生しないこと」など、品質を保つ上での厳しい基準が設けられています。

ひとつひとつにかかる工程は想像以上! 「めっき」が完成するまで

まずは素材となる部品を「治具」にセットするところから

めっき付けは、さまざまな下処理を経たうえで行われます。まずは写真のようなラック(治具)に部品を引っ掛ける作業からスタート。

複数の工程でめっき付け前に表面を整える

めっき付けをきれいにムラなく仕上げるため、部品の表面を整えていきます。先ほどの治具ごと機械にセットして部品の油分を除去したり、塩酸につけて表面を滑らかにしたり、アルカリ中和、合間で水洗いを繰り返しながらめっき付け前の下処理をします。

いよいよめっき液に浸してコーティング

めっき液と呼ばれる、金属と化学物質を溶かした液体に部品を浸けていきます。サッとくぐらせる程度で仕上がるものかと思いきや、AKGさんでこの日めっき付けしていたものは約27分もの間じっくりと浸けられていました。めっきの種類や必要な厚みなどによって、めっき付けにかかる時間はまちまちなのだとか。

バネの先に付いた細長い板のようなものは真鍮製で、治具側とめっき液が溜められた槽側の両方に取り付けてあり、2枚が合わさると電気が流れ、部品にめっき付けがなされる仕組みです。

AKGさんで扱う「亜鉛めっき」の原料となる亜鉛は「めっき溶解槽」でゆっくりと溶かされ、めっき付けを行う槽に随時補充されます。亜鉛のかたまりを入れたケースが沈められていく様子はかなり迫力がありました。

着色と乾燥を行って一連の工程が完結

めっき付けを終えた部品は水洗いの後、一度硝酸に浸け、その後また水洗いしたのち着色へ。AKGさんでは着色用の液を機械が自動で管理し、一定の品質を保ち続けられるようになっていました。着色を終えた部品は乾燥され、これで一連の工程を経た「めっき」が完成します。

「めっき」の存在はクルマの影日向に

1台のクルマには、ドレスアップを目的とする「装飾めっき」が使われた部品もあれば、これまで紹介してきたような耐食性を高めることを目的とする「防食めっき」、耐摩耗性や電導性を高めることを目的とする「機能めっき」が施された部品もあります。普段われわれの目に入らないようなところでクルマの性能を支える「めっき」はまさに縁の下の力持ちといった存在ですね。

ボンネットを開けてみた際や、タイヤ交換などで足回りを覗く機会があった際には、「めっき」が施された部品をぜひ探してみてください!

<取材協力>
株式会社AKG

(取材・文・写真:吉田奈苗 編集:奥村みよ+ノオト)

[ガズー編集部]

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