平均年齢24歳! 若手だけを集めたタクシー営業所の狙いとは?

東京エリアを中心にタクシーやハイヤー事業を運営している日本交通が、新卒採用者の若手乗務員のみを集めた営業所を新たにオープン。「業界初!新卒採用乗務員のみの営業所が誕生」というニュースリリースを発表するほど、力を入れた営業所です。

では、なぜ「新卒採用乗務員のみ」を打ち出したのでしょうか? その狙いや経緯、そしてこれからについて、日本交通広報担当の野村貴史さんにお伺いしました。

タクシー業界で生き残っていくために

2020年8月18日に開設された日本交通「葛西営業所」は、新卒採用の乗務員のみで構成される営業所で、乗務員の平均年齢はなんと24.09歳。都内法人タクシー乗務員の平均年齢が57.9歳(2019年度、東京タクシーセンター調べ)であることを考えると、いかにこの営業所の乗務員が若いかがわかります。

この若手オンリーの営業所を開設した背景には、人材育成に力を入れていきたいという、日本交通の考えがあったそうです。

「IT技術の導入や配車アプリの普及などで、タクシー業界は変革期にきています。その中でわれわれは、今後も生き残っていくために、人材育成が重要だと考えています。そのため2012年から新卒採用に力を入れてきました。この葛西営業所の開設も、その活動の一環です」(野村さん)

こうしてスタートを切った葛西営業所は、29名中25名が研修を終えたばかりの新卒2年目の乗務員とのこと。また、タクシー乗務員を管理する運行管理者は4名いますが、そのうち1名は新卒採用に力を入れ始めた2012年に入社した新卒採用1期生です。ちなみに、この営業所に用意された車両は、全車「JPN TAXI」の新車だそう。日本交通の新しいチャレンジへの力の入れ具合がうかがえます。

戸惑いながらもポジティブな現場の様子

新たな門出を迎えた葛西営業所と、その乗務員たち。最初は戸惑いながらのスタートだったそうです。

「さまざまな営業所から若手乗務員たちを集めたので、やはり最初はどこかぎこちなく、よそよそしい感じがありました。ですが、『自分たちで作り上げていこう!』という気概があって、とてもいい雰囲気です。まだ始まったばかりなので、これから営業所独自の文化が作られていくでしょうね」(野村さん)

ここからは葛西営業所に勤務する乗務員の声をいくつか紹介していきます。乗務員ひとり一人の声を聞くと、とてもポジティブで前向きな姿勢が伝わってきました。

・期待されている雰囲気をとても感じ、モチベーションが上がる
・緊張もあるが、新たに作り上げていく意味で貢献出来るのは嬉しく思う
・同期で力を合わせてナンバー1の営業所にしたい
・同期しかいないので、切磋琢磨できる環境と感じる
・これから職員と一緒に営業所の文化を作っていくのが楽しみ

乗務員たちが、日々の業務にはつらつと取り組んでいる様子が想像できますね。また、実際に営業を始めてみてのお客様からの評価も、高いようです。

「弊社では一般の方に協力してもらい、乗務員の接客態度を覆面で調査するシステムを導入しているのですが、これまでに行われた調査では、葛西営業所の乗務員は満点の評価をいただいています。これからもこの調子で、成長を続けていければと思います」(野村さん)

 

最後に、葛西営業所の「これから」を聞いてみました。

「具体的に決定していることはまだありませんが、若手乗務員はさまざまな変化に柔軟に対応できると思っているので、新しいシステムなどの取り組みは、この営業所から行っていきたいと考えています。この営業所が弊社にとっての若者が挑戦できる場所になってほしいですね」(野村さん)

フレッシュなメンバーが集まった葛西営業所は、まだまだ始まったばかり。これからどんな取り組みをしていくのか、そして、ここから日本のタクシー業界をどう変えていくのか。交通インフラとして大切なタクシー業界での活躍が楽しみです。

(取材・文:西川昇吾 写真:日本交通株式会社 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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