突然来る恐怖!? 空気圧編

怖い事故の原因にも……タイヤの空気圧、いつチェックしました?

あなたの愛車のタイヤ空気圧、この前いつチェックしましたか? いつだっけ……なんて方も意外と多いのでは?

たかが空気……と侮るなかれ。

空気圧が低下したまま走行していると、タイヤに大きなダメージを与えてしまい、事故という最悪の事態につながることも往々にしてあるからだ。例えば、カーブでホイールからタイヤが外れてしまい、クルマがコントロールを失って事故に……なんて例もある。

また、よく耳にする「バースト」も、タイヤ空気圧の低下によって引き起こされる危険な現象の代表例。
これは、空気圧が低下したまま走り続けることで、サイドウォールも含めてタイヤの接地面から後ろでグネグネと波を打つ「スタンディングウェーブ」という現象が発生。タイヤが不規則に揉まれるような状態になって急激に発熱し、破裂してしまうのだ。
バーストは高速道路の走行中に発生することが多く、大きな事故につながる可能性も高いので非常に危険だ。

これは筆者の体験談だが、実は以前、高速道路で斜め前を走行していた小型トラックのフロントタイヤが突然バーストし、ガードレールに衝突するのを目の当たりにしたことがある。
幸いにもこの事故には巻き込まれなかったが、飛んできたタイヤの破片でボディに結構な傷がついてしまった。

しかし、これが交通量の多い時間帯や見通しの悪いカーブだったとしたら、クルマを何台も巻き込むような大きな事故になっていた可能性も十分にある……今から思い返してもゾッとしてしまう。

このようなバーストは、タイヤが古くなって劣化したことが主な原因と思われがちだが、実は新しいタイヤでも空気圧が極端に低下すればバーストは起きてしまう。タイヤが新しいからといって基本的な日常点検を怠ってはいけないのだ。

新しいから大丈夫……なんて保証はない。クルマと路面をつないでいるのは昔も今も、約はがき1枚分の接地面積しかないタイヤ。日常点検がありがたいです。安全安心につながるのだ。
新しいから大丈夫……なんて保証はない。クルマと路面をつないでいるのは昔も今も、約はがき1枚分の接地面積しかないタイヤ。日常点検がありがたいです。安全安心につながるのだ。

愛車の指定空気圧を知っておこう!

タイヤは同じ銘柄で同じサイズ……要するにまったく同じタイヤだとしても、装着する車両によって、そのタイヤに入れる空気の量、すなわち空気圧が異なることがある。また、フロントタイヤとリヤタイヤでも指定空気圧が異なることもある。

これは、自動車の前側と後側で重量配分が異なり、結果としてタイヤにかかる負荷も違ってくるからなのだ。
適正な空気圧はクルマを製造したメーカーが指定していて、ほとんどのクルマが運転席のドアを開け、ドアの根元であるヒンジ部分やドアの後端部、ドア開口部の後ろ、欧州の一部車両では給油口付近などに指定の空気圧を明記したラベルが貼られている。
また同じ年式の同じ車種でも、グレードやオプションなどで異なるサイズのタイヤを採用している場合もあるため、ラベルに記載されたタイヤサイズと愛車のタイヤサイズを確かめてから空気圧を調整するようにしたい。

多くのクルマは運転席のドアを開けると見えるBピラーの内側にタイヤの指定空気圧を記したラベルが貼付されている。欧州車の中には給油口カバーの裏側に記されている場合もあり、走行条件別の空気圧が指定されていることも。

現在の主流はラジアルタイヤだ

そもそも自動車のタイヤにはいくつかの種類があるのはご存知だろうか。タイヤはゴムだけで作られているのではなく、その内部にはポリエステルやナイロンのカーカスと呼ばれる骨格が存在する。

カーカスをタイヤの回転方向とクロスするようにタイヤの中心から放射状(=RADIAL)に配置し、強度を持たせるために外周方向にベルトを巻いた構造を採用したタイヤが現在主流となっているラジアルタイヤだ。
カーカス素材は乗用車用には主にポリエステル、トラックやバス用には主にスチールが用いられており、ベルト素材は乗用車用にはスチールやアラミド繊維、トラックやバス用には主にスチールが用いられている。

ラジアル構造のタイヤはトレッド(路面に接地する部分)が安定して接地するので高いグリップ力を発揮する。
操縦性や安定性に優れており、発熱が少ないことや転がり抵抗が少なく燃費性能に優れていること、耐摩耗性の高さや高速走行時の乗り心地の良さなどメリットがとても多いのが特徴だ。
日本では1970年代に登場し、現在ではほとんどのクルマがラジアルタイヤを採用している。

バイアスタイヤは今では限られた用途。ランフラットタイヤにも注目!

このラジアルタイヤが登場する以前はバイアスタイヤが主流だった。これには主にナイロン素材のカーカスが用いられており、タイヤの回転方向に対してカーカスが斜め(=BIAS)に配置されているのが特徴だ。
ただし、カーカスが斜めに配置されているため、1枚だけではタイヤが高速回転するにつれてねじれが発生してしまう。そのため、複数枚のカーカスを角度を変えて重ね、それをブレーカーで締め付ける構造を採用している。

バイアスタイヤはタイヤ全体が柔らかい構造なので、とくに低速や悪路での乗り心地が良いとされてきた。
しかし、今では車両側のサスペンションの性能が向上して乗り心地が良くなっているため、バイアスタイヤのメリットはほぼなくなってしまった。
そのため現在では、産業車両用タイヤや建築車両用タイヤ、農業機械用タイヤ、そしてモーターサイクル用のタイヤなど製造コストの安さを生かせる限られたジャンルでの採用となっている。

そしてもう一つ、近年注目すべきが欧州車を中心に採用が増えているランフラットタイヤだ。
構造自体はラジアルタイヤと同様だが、タイヤのサイドウォールを強化しているのが大きな特徴。これにより、パンクなどで空気が抜けた際にもタイヤが潰れることなく、時速80km/hで走行距離80kmまで走れるようになっている。
要するに、緊急時に最寄りのガソリンスタンドやディーラーなどまで自力で辿り着けるようになっているのだ。
価格的に高価で乗り心地もやや硬めという難点はあるものの、セーフティマージンのメリットを考えれば、賢い選択と言えるかもしれない。

タイヤからは徐々に空気が漏れている……

一般的に、タイヤに充填した空気は1か月で約5〜8%減少すると言われている。経験則としてこの数値に納得できる方も多いことだろう。

しかし、そもそもなぜ密閉されているタイヤから空気が抜けてしまうのだろうか?

答えは、空気の分子はゴムの分子より小さく、その隙間から少しずつ抜けてしまうからだ。
そのため、1年間放置すると空気圧が半分以下になってしまうこともある。これはタイヤが新しくても同じ。
確かにゴムが劣化すれば空気は抜けやすくなるが、新しいからといって空気が抜けないわけではない。

タイヤの空気が極端に不足している場合、コーナリング時にタイヤが大きく変形してしまい姿勢を保つことができなくなり、予想していたラインを走れずに車線から大きくはみ出してしまう。
また、雨の日にはタイヤが路面の水を排出できず路面とタイヤの間に水の膜ができて浮き上がり、ハンドルやブレーキが効かなくなる「ハイドロプレーニング」現象も起きやすくなる。
さらに、接地するタイヤ面積が大きくなるため、燃費も悪化する傾向……と良いことはない。

逆に空気圧が高すぎる場合、タイヤの接地面積が減ってしまい、ブレーキをかけてから停止するまでの時間が大幅に長くなったり、カーブでのタイヤの適度な変形が損なわれて滑りやすくなる危険もある。
乗り心地も当然悪くなり、ゴツゴツしたショックを感じるようにもなるだろう。路面のギャップで跳ねるような挙動が出やすくなるため、長時間の運転では疲労を感じやすくなる。こちらもデメリットが多い。

とにかくタイヤは適正な空気圧を維持していることが大切なのだ。低すぎても高すぎても偏摩耗などの原因となってしまい、タイヤを痛めるのはもちろん、運転中のハンドル操作にも悪影響が出てきてしまう。

タイヤのトレッド両サイド(ショルダー部分)が目立って減ってしまう場合、空気圧の不足による偏摩耗の可能性が高い。逆に空気圧が高すぎる場合は、タイヤのトレッド面の中央が減ることが多い。
タイヤのトレッド両サイド(ショルダー部分)が目立って減ってしまう場合、空気圧の不足による偏摩耗の可能性が高い。逆に空気圧が高すぎる場合は、タイヤのトレッド面の中央が減ることが多い。
タイヤのトレッド面の片側だけが減る場合は、サスペンションのアライメントの不具合に起因することもある。ただし走行路面の状況などにもよるため、タイヤは常に均一に摩耗するものではない。適時タイヤローテ―ションを行うことでより効率よくタイヤを使用するように心がけたい。
タイヤのトレッド面の片側だけが減る場合は、サスペンションのアライメントの不具合に起因することもある。ただし走行路面の状況などにもよるため、タイヤは常に均一に摩耗するものではない。適時タイヤローテ―ションを行うことでより効率よくタイヤを使用するように心がけたい。

適正な空気圧を保つために月に一度は点検を!

空気圧は見た目ではわからなくても不足していることも多いので、月に一度は定期的に計測しておきたい。
市販のエアゲージを使えば簡単に測定が可能だ。
空気圧が不足していれば、多くの自転車用の空気ポンプでも補充ができる(ロードレーサー用など自転車専用高圧ポンプでは使用できないこともあるが、米式バルブ対応と書かれたものであれば自動車でも使用可能)。

また、ガソリンスタンドなどでは無料でチェックしてもらえるほか、充填も行えるので積極的に利用したい。
セルフサービスのガソリンスタンドでも測定用のエアゲージの付いた充填用エアタンクを利用できることが多いので、自分で空気圧の測定、空気の充填を行える。
操作自体は難しくないので、一度ガソリンスタンドのスタッフに教われば、以降は簡単にチェックができるようになるはずだ。

空気圧を測定するときには、同時にタイヤの状態をチェックしておきたい。
タイヤのトレッド面(路面に接地する部分)に異物が刺さっていないか、トレッドやサイドウォール(サイヤのサイド面)にひび割れや亀裂がないか、空気を入れるバルブ部に亀裂やひび割れがないかを確認するようにしたい。
また、日常点検の範囲ではあるが、長時間のドライブや高速道路を利用する前には空気圧のチェックを忘れず行うように心がけたい

次回は、エンジン冷却の重要性に焦点を当てた「ただの水じゃない!大切なクーラントの役割」をお届け予定。お楽しみに。

月に一度はタイヤの空気圧をチェックするように心がけたい。その際、できれば毎回同じエアゲージを使うといい。空気の減り具合を前回と今回……といった具合に比較できるため、パンクなどのトラブルの早期発見にも役立つからだ。
月に一度はタイヤの空気圧をチェックするように心がけたい。その際、できれば毎回同じエアゲージを使うといい。空気の減り具合を前回と今回……といった具合に比較できるため、パンクなどのトラブルの早期発見にも役立つからだ。
もし、タイヤトレッド面に釘などの異物が刺さっているのを発見したとしても慌てなくて大丈夫。大半の場合はディーラーやカーショップで修理してもらうことができるし、カー用品店などで販売されている専用のパンク修理キットを使えばDIYでも十分対応可能だ。ただし、タイヤのサイドウォールが裂けてしまった場合は、残念ながらタイヤ交換を前提に考えよう。修理が可能なこともあるが、安全面を考えれば思い切って交換した方がいい。
もし、タイヤトレッド面に釘などの異物が刺さっているのを発見したとしても慌てなくて大丈夫。大半の場合はディーラーやカーショップで修理してもらうことができるし、カー用品店などで販売されている専用のパンク修理キットを使えばDIYでも十分対応可能だ。

(文:橘 祐一)

[ガズー編集部]

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