トヨタ・エスティマ…記憶に残るミドシップ車

優れたコーナリング性能を実現するために、質量の大きなエンジンを車体の中央にレイアウトした“ミドシップ車”。今回は、その中でもちょっとマニアックな個性派モデルを紹介します。

トヨタ・エスティマ

「天才タマゴ」というキャッチフレーズを掲げ、1990年に登場した7人/8人乗りのミニバン。そのフレーズのとおり卵をイメージした、既存のミニバンとは一線を画す未来的でスタイリッシュなワンモーションフォルム。重量物であるエンジンを床下にミドシップし、広い室内空間と優れた操縦性を実現したパッケージングが天才たるゆえんだった。

車体中央の床下に、右に75度も傾けて縦置きされたエンジンは、専用開発された2.4リッター直4 DOHC 16バルブ。変速機は4段ATで、後輪駆動のほかに4WDも用意された。北米市場を主眼に開発されたためボディーサイズ、特に1800mmの全幅が日本には大きすぎるという声に応えて、ボディーを5ナンバー規格に収めたエスティマ ルシーダ/エスティマ エミーナを1992年に追加設定。“子エスティマ”と俗称されたこちらには、経済的な2.2リッターのディーゼルターボエンジンが用意されたこともあってヒット作となった。

1994年には、通称“親エスティマ”ことフルサイズ版エスティマのエンジンを、廉価グレードを除きスーパーチャージャー付きに換装。発売当初からあったモアパワーを求める要望は解決された。2000年にフルモデルチェンジされるが、2代目は駆動方式をFFに変更、ユニークなミドシップのミニバンは1代限りとなった。

[ガズー編集部]