第3話 初代MR2
フルモデルチェンジされた、クリスタルピラーを持つ5代目マークⅡ、そしてチェイサー、クレスタの3兄弟が大ヒットして"ハイソカー"ブームを巻き起こした1984年、トヨタはいっぽうでは新たなスポーツドライビングの世界を切り開いた。日本初の市販ミドシップスポーツとなるMR2の登場である。
MR2という車名は、ミドシップ・ラナバウト、つまり小型ミドシップの2シーターという意味で、カローラより小ぶりのウェッジシェイプのボディーの座席の背後に、カローラのFF用パワートレインをマウント。上級グレードにはAE86のDOHC16バルブ1.6リッターを横置き用にアレンジした4A-GELUが搭載された。
トヨタがこの年から提唱した企業スローガンである"FUN TO DRIVE"を体現したような明快なコンセプトと、それがもたらした軽快な走りは高く評価され、84-85年のカー・オブ・ザ・イヤーも受賞。2年後の86年にはよりパワーを高めたスーパーチャージャー装着車やオープンエア・モータリングが楽しめるTバールーフ車も設定された。