高級車の新しい世界基準。~初代セルシオ~ 現存車を当時のカタログのように撮りおろす

写真はC仕様Fパッケージ装着車
写真はC仕様Fパッケージ装着車

クルマの購入検討時などに、手にすることがあるカタログ。その1冊の中には、そのクルマの特長や美しさ、かっこよさ、キャラクターを捉えた写真が収められていて、あたかもクルマの「写真アルバム」のような一面もあるといえます。
現存する旧車をいくつかピックアップした上で、“実車”をプロカメラマンが当時のイメージを生かして撮りおろした「初代セルシオ」をご覧ください。

プレステージの極みへ。

手間をかけた、熟考を重ねた、何よりも情熱を注いだ。惜しみなく。やがて、世界はこのクォリティを追いはじめる。

ひと言でセルシオを語るならば、それは“妥協を知らない一台”。一国を代表する高級車には卓越した性能と、温かさを秘めた気品とが、同時に求められる。真の高級車に必須の、この“機能と質”はセルシオで極限に達した。
張りつめた美しいフォルムには、驚異の空力特性が隠されている。豪華な室内には人間工学上の理想の空間が成立している。
一箇所でも妥協を許すなら、もう、そこからは並の高級車しか生まれない。完全を貫くと、どこへたどり着けるのか。
あえて、それに挑戦した。セルシオ。世界のスタンダードは、いま、塗り変えられる。

写真はC仕様Fパッケージ装着車
写真はC仕様Fパッケージ装着車

優雅な造形と、比類ない空力特性が両立する。

高級車のスタイリングはファッションで終わってはならない。機能に結びついた美しさ――。おそらく、この理想に最も近づいたクルマがセルシオである。CD値=0.29。セダンで世界最高クラスの空力性能を誇る。床下全体をフラット化、さらに大型のエンジンアンダーカバーなどで空気の流れを整えた。しかしセルシオは空力を優先した非人間的フォルムとは無縁である。永続性ある美しいシルエットから優れた走りが生まれる。

いつまでも変わらない美しさを保つ。

セルシオは、美しさ・高品質を維持していくことにも妥協しない。新開発のM.I.O.塗装をはじめとする従来より工程数を増やしたボデー塗装、長く光輝を保つ新開発のステンレスを採用したモール、色褪せが極端に少なく異なった素材でも均一に退色する室内、そして錆対策等、実に96項目にもおよぶレベルアップを実施した。なかでも経年後の室内の退色・色ずれに関しては、画期的に向上している。クォリティに対しても永続性を求めた。

贅を尽くして選ばれた室内調度がつくり出す、おおらかなキャビン。

本物にこだわる素材選びの姿勢がキャビンのグレードを語り尽くす。シフトレバー部のパネル、そしてアームレストスイッチベースには最高級素材であるウォールナットを使用した。模様までも揃った格調ある木目の風合いとクラフトマンが磨き上げた入念なフィニッシュ。そこに、ラグジュアリー感は高まる。

快適さの未来へ。

豊かな包容力、厚い信頼をどれだけ勝ち得たか。それこそが、高級車にとっての先進性である。世界の基準となるほどの高級車であるなら、その条件として、大きな包容力を備えていなければならない。豊かに人を包み込むような温かさが機械と人間の信頼関係をもっと、もっと親密にする。

C仕様Fパッケージ装着車の室内
C仕様Fパッケージ装着車の室内

後席に座るVIPのために。最大級のくつろぎを贈る。

リヤ大型センターアームレスト
リヤ大型センターアームレスト

望みうるすべてを叶えたい。ここには、セルシオのもてなしの心がある。クルマがメカニズムの集大成であることを一瞬忘れてしまうような、静粛で悠々とした走り。心からくつろげる室内空間。セルシオとともに過ごす時間をさらに豊かなものにするために、特に後席でのホスピタリティを考え抜いた装備を用意した。クッションが電動でスライドする専用のパワーシートには、疲れをいやすためのバイブレーション機能や、ヒーターまでも内蔵。また、後席にいながら助手席をコントロール、リヤスペースがさらに広々とするシステムも採用された。リヤエアコンなどの空調やオーディオも後席のVIPに最高のものをお届けできるよう配慮されている。セルシオの後席には高級車が忘れてはならない思いやりが満ちている。

リヤ大型センターアームレスト
リヤ大型センターアームレスト

見えないところへの細心の心配りは、高級車を所有する喜びを高める。

セルシオの場合、エンジンルーム内の美しさも自負したい。フードを開けるとメカニズムや補器類はスクェアにレイアウトされている。例を挙げるなら、エアクリーナー、クールエアダクト、バッテリー…。ひとつひとつの意匠は整えられ、限られた空間に美しく整然と構成されている。もちろん、エンジンルーム内の風の流れについても十分に検討された。

どれだけ感性に素直なパワートレーンをもてたか。それを問題にしたい。

トヨタ最高峰。レーザーαV8フォーカム32。頂点を走るために、源から性能を見つめる。源流対策の鋭いメスは、ここエンジンでも妥協をしない。例えば、ベアリング部は高精度加工後、1μm単位まで測定してクリアランスを決めている。クーリングファンも世界初電子制御油圧駆動式を導入した。高性能、高効率、高静粛性。その達成レベルは限りなく理想に近い完成度をもつに至った。4ℓ・V8・4カム・32バルブ。各気筒ごとの2つずつの吸・排気バルブは、シザーズギヤを介し計4本のカムシャフトで駆動される。燃費向上に貢献するアルミバルブリフター、静粛性を高める液体封入式エンジンマウントなど最新技術も隅々に駆使されている。

至上の乗り心地。ホイールストローク感応電子制御エアサスペンション(C仕様)。

まさに超高級車クラス。乗り心地の理想を追い求めていくとサスペンションはこのカタチになる。コイルに代えて空気にスプリング機能をもたせ、それを細密に電子制御していく。路面の突起などを通過するごとに、きめ細かく足の柔らかさ、固さをコントロール。理想的にフラットな乗り心地が走りの瞬間、瞬間に確保されていく。そして、足の基本構造は4輪ダブルウイッシュボーン。設計自由度がきわめて高く、ジオメトリー設定を徹底的に煮つめられる理想的なサスペンション形式。事実、初期段階からの執拗な解析や、実車でのテストが繰り返され、前輪・後輪とも操縦安定性、直進性、乗り心地それぞれが最高水準でバランスした。まさに世界に自負できる完成度をもった。

オプティトロンメーター(全車に標準装備)。

クルマに関するすべての情報がそこに示される以上、メーターは視認性の良さを第一に考えたい。セルシオのために開発された新アナログメーター、オプティトロンメーター。スイッチをONすると、ブラックフェイスに仕上げられた表示パネルに、まず針自身が白く光る。そして、文字板も柔らかい白色に発光する。クリアで、極めて良好な視認性。機能性と温かさは、ここでも融合している。

最先端をゆく空調システム。マイコンオートエアコン(全車に標準装備)。

マイクロコンピューターによって日射しの強いときも曇りの日も快適な温度にコントロール。人間にとって最も快い室内空調をつくるため吹き出し口の位置や形状までが検討された。後席用にはリヤクーラー吹き出し口も装備されている。しかも風量を増加させ、音をより静粛にする努力を重ねた。

セルシオ スーパーライブサウンドシステム。

オーディオルームを創るように、ていねいに開発、徹底したチューニングを施した。まず、スピーカー位置を優先し、そののちに各部品のポジションを決定したほどだ。全席の高音質実現を目指し、7スピーカーシステムを採用。フロント&リヤドアにフルレンジを4つ、ドアミラーのベース部にツィーターを2つ、パッケージボードにウーハーを1つ配した。さらに、本革仕様のシートかファブリック仕様のシートかによって専用のイコライザーが用意された。合計で170W、ウーハーだけでも54Wの出力。迫力あるタイトな低音とクリアで抜けるような高音を誇るスーパーなオーディオシステムが完成した。また、ディスク6枚までの連続演奏ができるCDオートチェンジャーやCDに匹敵する高音質、扱いやすさが特徴のデジタル・オーディオ・テープレコーダー(DAT)など最先端をゆくサウンドも堪能できる。

クルマ人たちの夢は、いま、一台の高級車となって、ここに達成された。
そしてまた、挑戦が始まる。
セルシオが、セルシオを超えてゆくために。

(撮影協力・資料提供:トヨタ博物館 http://www.toyota.co.jp/Museum/

[ガズー編集部]

旧車カタログ ~現存車を撮影して、当時のカタログをパロディ制作してみた~

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  • スープラ(MA70)(1988年式)
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  • スプリンタートレノ(AE86)(1986年式)
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  • セルシオ(UCF11)(1991年式)
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