やっぱり気になるコンドーレーシングの躍進  ~スーパーフォーミュラ~

気になる気になる、最近特に気になる近藤真彦監督率いるコンドーレーシング。今季のスーパーフォーミュラは、まだ2戦3レースを終えたばかりではあるが、ルーキー二人を要したこのチームの頑張りが目を惹き気になってしょうがない!という訳で、ちょっとだけ山下健太選手と田中耕太郎エンジニア、米林慎一エンジニアにお話を伺ってみた。

今季、スーパーフォーミュラデビューを果たした山下健太選手。昨年、全日本F3選手権でチャンピオンを獲得しステップアップ。同じく、一昨年、同チャンピオンを獲得し、昨年はSUPER GT GT500クラスにステップアップしながらも、欧州F3にチャレンジし、今季スーパーフォーミュラにデビューしたニック・キャシディ選手がチームメイトだ。二人ともルーキーという珍しいラインナップのコンドーレーシング。エンジニアには、新しく田中耕太郎氏を迎えた。田中氏と言えば、昨年は、SUPER GTにおいて、LEXUS TEAM SARDを設立22年で初のシリーズチャンピオンに導いた立役者。コータローさん(田中氏)がいるとこ、戦績が上向くといつも思っているコータローさんファンの私だが、3月のスーパーフォーミュラ合同テストで初めて今季のスーパーフォーミュラを現場で見て、何かあるなと感じた。何かね何か(笑)。開幕戦は、2台揃って下位に沈んだが私は悲観することもなかった。何故だろう?開幕したばかりだし、今、流行りの私の勘です!かね?

迎えた第2戦が、5月27日(土)、28日(日)、岡山国際サーキットで2レース制にて開催されたが、ルーキー二人の活躍は、ひょっとして?という期待を込めスタートした。レース結果は、レース1、キャシディ選手が3位に入り早々に表彰台を獲得、山下選手は7位。レース2は、山下選手は予選2番手から6位、キャシディ選手は、予選はライバルと接触コースアウトを喫し17番手、決勝は追い上げ11位でフィニッシュ。レースは結果が全てではあるが、悪くない気がした。

レース2予選が終わった直後、予選2番手の山下選手が、予選トップ3の記者会見に向かう為、ピットロードを歩いてきた(↑こちらがその時のお写真)。おめでとうと声をかけると、「もっと上に行きたかった」と早速頼もしいお言葉。初の記者会見も、全く物怖じすることなく終えた。

レース2決勝、2番グリッドからスタートした彼は6位フィニッシュ、前日の7位と連続ポイント獲得となった。

レース2終了後のコメント
山下:「予選2番は、びっくりしました。石浦選手にコンマ2秒足りなかったのですが、詰められない差ではないと思っています。開幕から抱えていたクルマのトラブルがやや解消し、だいぶパフォーマンスが向上したのも、予結結果に結びついているのかもしれません。レースは、スタートしてポジションキープはできましたが、ペースが悪くどんどん石浦選手に離されていきました。ステイアウトして様子を見たのですが、結果から言えばピットに入るタイミングが遅かったですね。ピットアウトする段階で、6位まで落ちました。タイヤを換えたあとは、1秒くらいペースが速くなったので、これなら早くピットインしておけば良かったと思いました。今回は、予選2番手だったからこそ表彰台に乗りたかったです。今後に向けては、非常に良いレースとなりました」

 

――――このチームには、コータローさんがいらっしゃるけど、確か2台見ているとのことでしたね
山下:「はい、2台見ていますがそれぞれの細かなセッティングは1台ごとに異なり、自分は米林さんが担当してくれていて二人で頑張っています。またチームも良い雰囲気で、少しでもクルマを速くしようと頑張ってくれています」

 

――――今後の課題は何でしょう
山下:「スタートが下手でどうにかしたいですね。クルマにパドルとかつけて練習がしたいです。みんなスタートが上手でうらやましいです」

 

――――ロッテラー選手が、ロシター選手にスタート教えてもらったら抜群によくなったと以前言っていましたが
山下:「僕にも教えて欲しいですね」
大谷:「では、英語を勉強してジェームスのところに聞きに行くしかないね!」

 

では、次にキーパーソンの田中エンジニアに少々お話を。

 

――――レース後の感想を
田中:「良かった!今季は、楽勝だと思ってやってみたら、クルマは遅いしどうしようかと思っていましたが、Race1では表彰台を獲得して良かったです。Race2は、ちょっと残念ではあったけど、あの二人カッコいいでしょう?」

 

――――決めつけてはいけないけれど強豪チームだらけで、ルーキーが二人というチームが上位にあがることはなかなか大変だと思っていましたが
田中:「ドライバーがすごいんだよ!僕は、負けず嫌いだから負けたらやり返したいタイプだし」

 

――――コータローマジックは、どこがどうなっているのでしょうか?やっぱり俺もすごいんでしょうか
田中:「いやいや…」

 

――――でも、何か原因があるはずこんなに変わるなんて(失礼…)
田中:「昨日(Race1)、卓児(石浦選手担当エンジニア、村田卓児氏)が遅かったけど、今日はポール獲りましたよね。何が起きているか、その場その場で解析できる力があるってことだと思います。トヨタ勢で言えば、僕も卓児もトムスの東條エンジニアも。多分、そういうこと。競争だから負けちゃうことももちろんあります。開幕戦は、トムスがぶっちぎりに速くて、もうどうしようって思っていました。関口(関口雄飛選手)だって今日みたいに勝っちゃうし、セルモも速くなってしまう。だから、ルーキーは、レースはしんどいかもしれないけれど、一発の速さはどうにかしてあげようって思う訳です。ニックは、昨日のRace1はピット作業がないから、1周まわってくるとポジションが落ち着くと思って見ていたら、想像以上に頑張ってくれて可夢偉(小林可夢偉選手)をちぎって3位表彰台を獲得してくれました。健太は、トップを走るドライバーを追いかけることができたので、あとは自分次第だし自分で考えること。こっちはデータを持ち帰って分析し次に備えます」

 

――――今後も、楽しみです
田中:「僕の仕事ですからね!お父さん頑張ってます!」

 

米林慎一エンジニアにもお話を。
――――健太と一緒にクルマ作りをされていて、早速予選2位でしたね
米林:「ドライバーが頑張ってくれました。クルマのベースは、コータローさんで、そこから二人でやっています。速いですよね、健太。朝、走り始め中古のタイヤで上位に行ったから、新品でうまく行けばと思っていたら予選2番手でした。昨日(Race1)は二人で悔しがっていましたが…。しかし、タイヤ交換など課題もいっぱいありますし、決勝のタイムも良くなかったので、これからいろいろ持ち帰ってチームと頑張っていきたいですね」

 

――――ところで、健太、ちょっと変わっていませんか? 
米林:「その辺の若い子よりフツーですよ!」
大谷:「あら、そうですか」

 

ありがとうございました。

 

帰りの飛行機の時間が迫っていたので、キャシディ選手はまた今度ということで。ひょーひょーとした感じが、同世代の息子を持つ身としては、個性的だと思っていたが、たくさんのドライバーと接してきたエンジニアは、いたってフツーですよと。あの何事にも動じない雰囲気は何だろうといつも不思議だ。ただ、本人に確認したところ、緊張感は全く持ち合わせないらしい。忘れもしない山下選手が参戦していた昨年のマカオグランプリ。グリッドからの生中継で国際映像に映し出された彼は、インタビュアーの英語の質問に、確か“あいきゃんとすぴーくいんぐりっしゅ”とかなんとか答えていた。見ていた私はイスから落ちそうになった。その後、彼に会った際には、大学生でもあるし若いんだから英語を勉強しなさいよと、母目線で言った覚えが。はやく英語をマスターして、ロシター選手にスタートのコツを伝授してもらわねば!と再び言わせていただく。

難しいカテゴリーではあるが、ルーキーの台頭もシリーズをおもしろくする要素だと思う。一緒に“気になって”、スーパーフォーミュラをぜひ楽しんで欲しい!

(写真 折原弘之、大谷幸子)

[ガズー編集部]