トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社「MONET」、豊田市でオンデマンドバスの実証実験

2019年3月6日、トヨタ自動車とソフトバンクの共同出資会社「MONET」と豊田市が自動運転社会に向けた次世代モビリティサービスに係る業務連携協定の締結式を行った。さらに豊田市の小原地区でオンデマンドバス(おばら桜バス)の実証実験デモを行った。オンデマンドバスとは利用者が事前に予約し、その都度運行されるバスのことである。

協定の概要は以下の通りである。

【目的】
先進的な技術開発や実証実験を通じて、誰もが快適に移動できるまちづくりを推進する。

【連携事項】
(1)次世代モビリティサービスの実装に向けた実証実験の実施
(2)地域の発展に貢献する、次世代モビリティサービスの高度化の検討

豊田市とMONETとの締結の様子
豊田市とMONETとの締結の様子

締結式の中で太田市長は「豊田市は市の面積が大きく、7割が森林という中山間地域である。高齢化、人口減少も進んでおり、高齢者の移動が課題と感じている」と話した。実際、この交通対策に17,751千万の税金が現状投資されている。
MONET代表取締役社長宮川氏は「MONETとしては初の自治体との案件で、豊田市での取り組みを成功させて、中山間地域や高齢者の移動に課題を持っている全国の100以上の自治体へ横展開していきたい。そして最終的には自動運転車にしたい」と述べた。この取組は自動運転を利用する人、タイミングなどを把握する検証であると言える。

また、豊田市はおばら桜バスの利用者、利用率の低下も課題としており、それに対してMONETはソフトバンクが出資するGrabなどのノウハウを活用し、おばら桜バス専用予約システムを開発した。これにより更なる利用者の確保と利用率の増加を目指すようだ。このシステムは、従来の電話予約に加え、スマートフォンアプリでの予約、AIスピーカーでの予約、ワンクリックで予約可能の予約ボタンなどの新しい予約手段を追加し、今後検証を行う予定だ。
「4月末まで実証実験を行い、効果検証を実施し、5月以降も基本的には継続していく」と柴尾代表取締役副社長は述べた。

新しく追加される、アプリ、AIスピーカー、ワンクリックボタンの予約手段
新しく追加される、アプリ、AIスピーカー、ワンクリックボタンの予約手段
質疑応答の様子。宮川代表取締役社長と柴尾代表取締役副社長
質疑応答の様子。宮川代表取締役社長と柴尾代表取締役副社長

実証実験では、豊田市の小原地区の一部の住民の方にバスの乗客として参加してもらい、オンデマンドバスの運用や利便性、さらにはスマートフォンアプリなどの操作性を検証する。
今回はおばら桜バスの実証実験デモも行われ、2名の住民の方が実際に利用された。2名の利用者の方からは、「従来は電話でしか予約できなかったのが、スマートフォンのアプリで簡単に予約できるようになり便利。言葉を話せない人でもアプリで予約できるので良い。他の住民の方にも勧めたい」といった意見が聞けた。

スマートフォンアプリ利用イメージ

全国の過疎地域をもつ自治体は、交通公共機関の維持に向け税金を投入するが費用対効果が課題であり、利用率向上、運用費低減が重要である。一方、ソフトバンクは自動運転を必要とする人、サービスの基礎データ大量に集めたい。このような両者の想いが合致してMONETの発表から僅か6か月後で検証が始まった。今回の実証実験が成功することを期待している。

[ガズー編集部]