もしも運転中に「大きな地震」が起きたら? 知っておくべき6つのポイント

いつ、どこで遭遇するかわからない自然災害。そのなかでも、特に予測不能なのが「地震」ですが、もしもクルマの運転中に地震に遭ったら、どのような行動をとるべきでしょうか? 「どうしていいかわからない」という人も少なくないはず。身の安全の確保はもちろん、揺れが収まったあとの交通の混乱を少しでも抑えるため、また緊急車両を通すスペースを確保するためなど、知っておくべきことはたくさんあります。

走行中に地震に遭ったときの危険性と対応

まずは、クルマの運転中に地震に遭った場合の危険性について考えてみましょう。

(1) 道路のがれきや倒れた木などが走行の障害になる
(2) 避難をする人々のクルマで渋滞する/徒歩で避難する人々が道にあふれる
(3) 停電によって信号機や街灯の明かりが消える
(4) 場合によっては道路の陥没や橋の断裂に巻き込まれる

街路樹や建物の倒壊、道路の陥没といった地震そのもので起こる被害もあれば、地震によって停電が起きて信号が消える、避難する人のクルマで道路が渋滞するといった、二次的な影響もあります。そんな中で、私たちドライバーは、自らの身を守るため、また二次的な影響を最小限に留めるための行動をしなければいけません。

地震が発生したときの6のポイント

地震発生時にドライバーがとるべき対応を6のポイントにまとめました。

ポイント1:慌てずに安全な場所にクルマを停める
クルマを運転中に地震が発生したら、まずは慌てずに停車しましょう。とはいえ揺れていることにはなかなか気づきにくいもの。クルマの揺れとは違う揺れを感じたり、電線や看板が揺れているのを見たり、少しでも「おかしいな」と感じたら、地震ではないか注意してください。揺れに気づいたら、気が付いていない人のクルマにぶつからないように、また、ぶつけられないように、ハザードを点灯させながら停めるといいでしょう。急ブレーキや急ハンドルは厳禁です。周囲に気をつけながら、ゆっくりと道路の左側の路側帯などクルマを安全な場所に停めましょう。左側に寄せて停めるのは、緊急車両が通るスペースを確保するためです。

ポイント2:揺れが収まるまで待機
揺れている最中は、外よりもクルマの中の方が安全だと言えます。崖からクルマごと落ちそうなときなど、クルマの中にいる方が危険なとき以外は、クルマの中で揺れが収まるのを待ちましょう。揺れが収まっても慌てずに、クルマの外に出ないでラジオやスマートフォンなどを使って情報を収集しましょう。

大きな地震のあとは、停電により街頭や信号が消えて、周囲の状況がわかりづらくなる場合があります。揺れが収まったあと、信号が動作停止することによって、交通が混乱する可能性もあるもの。停車するときだけでなく、再び走り出すときにも周囲の状況をよく確認して、安全にクルマを動かしてください。

なお、高速道路は大地震が発生すると通行止めになります。高速道路内で大地震に遭ったときはクルマを停め、パトロールカーなどの指示に従ってください。また、ラジオを聴いて情報収集して慎重に行動しましょう。高速道路の場合、後続車に追突されると大きな被害になりかねませんので、車内や路肩には留まらず、ガードレールの外側など安全な場所に避難することも重要です。
また長いトンネルの場合は、一定距離ごとに設けられている非常口から非難する場合もあります。

ポイント3:津波の危険がある場所から離れる
大きな地震のあとは、津波が発生することがあります。被害に遭いそうな海や川の近くからは、なるべく急いで離れましょう。地震直後は、道路が破損していたり、信号が壊れていたり、道路にモノが落ちていたりしますので、やむを得ず運転する場合は慎重に。クルマを置いて避難した方がいい場合もありますから、周囲の状況をよく見て落ち着いて判断しましょう。

ポイント4:クルマを置いて避難するときはカギをつけておく
地震でクルマを置いて逃げるときは、エンジンを停めて、ドアをロックせず、カギもさしたままで避難します。消防や警察が、置かれたクルマを移動できるようにするためです。

無線式のスマートキーの場合は、ダッシュボードなど、見つけやすい場所にカギを置いておきましょう。また、停車する場所も、避難するクルマや消防や警察などの災害対策に迷惑にならない場所を選びましょう。

ポイント5:目的地に着いたら、もうクルマを使わない
地震のあとに目的地に着いたら、その後は、しばらくクルマを使わないようにしましょう。大きな地震のあとは危険なだけでなく、渋滞もひどくなります。さらに消防や警察などの災害対策の車両の迷惑にもなります。できるだけクルマを使わずに済む方法を考えましょう。

ポイント6:地震後は一部の道路が規制される
東京や大阪などの大都市では、大地震が発生した場合、一部の地区や道路が規制されます。たとえば東京都では、震度6弱以上の地震があった場合、環状7号線より内側の都心方面へのクルマの進入が禁止されます。また、首都高速をはじめ、国道4号、国道17号、国道20号、国道246号、目白通り、外堀通りといった7路線が消防や警察、自衛隊などの緊急自動車専用路の路線となり、一般のクルマは通行禁止となります。覚えておきましょう。

日頃の備えも忘れない

大雨や大雪は、天気予報から事前に対策を考えることができますが、地震はいつどこで遭うかわかりません。そのために、日頃から備えをしておきたいものです。

ひとつは、防災セットの常備。大渋滞の発生や交通規制、道路の破断などにより、出先での避難を余儀なくされる可能性もあります。非常食、水などが用意される防災セットをクルマに積んでおくといいでしょう。

もうひとつは、燃料です。東日本大震災後は、被災地以外でも各地でガソリンを求める人たちでガソリンスタンドに行列ができ、売り切れになったケースが多くありました。燃料タンクが空になってから給油するのではなく、燃料計が半分になったら給油するなど、日頃からできるだけ燃料は多く入れておくようにしたいものです。

クルマを運転する人にとって、運転中の災害は他人事ではありません。日頃からの備えとともに、災害時の対応をぜひとも知っておきたいものですね。

(文:鈴木ケンイチ 編集:木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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