【レクサス LSターボ 試乗】これからのトヨタ車に大きな影響を与えるエンジンだ…諸星陽一

レクサス LS500
5代目となったレクサスのフラッグシップサルーン『LS』のパワートレインは3.5リットルNA+モーターのハイブリッドと、3.5リットルターボエンジンの2種が用意されている。ハイブリッドモデルは2017年10月19日の発表と同時に発売されたので、すでに試乗していたが、3.5リットルターボモデルは、12月18日発売であったため公道での試乗は遅れていた。

今回、やっとその機会が訪れ、公道での試乗となったわけだ。ターボエンジンの型式は「V35A-FTS」と呼ばれるタイプで、このLSが初採用となる。最高出力は422馬力、最大トルクは600Nmと強大。ミッションは10速のATが組み合わされる。長きにわたりV8自然吸気エンジンを搭載してきたLSとV6ターボとのマッチングはどうか? 試乗のポイントはこの1点に絞れるとも言える。

答えは「よし」だ。V6ターボになったことによって、LSのよさは失われていない。いや従来のLSのよさに加えて、さらなる魅力を増したとも言える。LSに求められるラグジュアリー性はもちろん、新たにLSにプラスしようとしているパーソナル性、つまりドライバーズカーとしての魅力を増大するのに大いに役立っている。

トルクの立ち上がりは低速から力強い。最大トルクは1600回転で発生4800回転までフラットに維持される。そこに10速のATが組み合わされる。アクセルをゆっくり踏んでいくと、まるでCVTのように間断なくスムーズに加速を続ける。100km/h時のエンジン回転数はわずか1600回転だ。「まるでモーターのようなフィーリング」かつては褒め言葉にならなかったこの言葉だが、現代のプレミアムエンジンにとっては最高の褒め言葉となるだろう。

そんなラグジュアリー性の高いエンジンだが、走行モードを「S+」に変更、アクセルをドンッと踏んだときのパワフルさも見逃せない。このエンジン、基本はパワフルでアクティブなのだ。それをレクサスLSの車格に合うよう、上手にチューニングしている。各種デバイスの介入を抑えれば、スポーツモデル顔負けのフィーリングとなるだろう。このエンジンの登場は今後のトヨタ車に大きな影響を与えそうな雰囲気を持っている。

サスペンションは前後マルチリンクのエアサスなのだが、これがまるで金属バネのサスペンションのようにしっかりした動きを示す。Fスポーツはその傾向がさらに強く、ピシッと引き締まったフィーリングを持つ。シャシーコントロールは各種のデバイスが複雑に介入してくるが、レクサスLSというクルマの存在感も手伝ってあまりお節介な感じを受けることはない。

ハイブリッドよりもさらにドライバーズカーとしての素質を多く持つターボモデルのLS500は、後席だけではもったいないクルマに仕上げられていた。

ただし「LS500」はもっともベーシックなモデルでも980万円。オススメ度の★印は価格を考慮していない。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

(レスポンス 諸星陽一)

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