【アルファロメオ ジュリア 試乗】「ヴェローチェ」はシリーズ中トップの好バランス…島崎七生人

アルファロメオ ジュリア ヴェローチェ
追加設定された右ハンドルの「ヴェローチェ」は、左ハンドルがQ4(4WD)なのに対しFRである点が最大の違い。車重は4WDよりも40kg軽く、車検証で見ると前後キッチリと20kgずつ軽い。

一方で装着タイヤは前:225/45R18、後:255/40R18と前後異サイズのランフラットタイヤが標準。前後同サイズの4WDとの違いを見せる。ちなみに車両価格は10万円の差でしかなく、もしも選べる立場になったら、さぞ悩ましいことだろう。

気になる走りだが、「クワドリフォリオ」を別格とすれば、シリーズ全車を乗り較べた感想でいうと“もっともファンな走りを実現している、これぞ『ジュリア』といった仕様”ということになる。

ファン=好バランスといってもいいが、何より280ps/40.8kgmの2リットルターボ+8速ATの、ゆとりと切れ味の両面が楽しめるエンジン(高回転時のサウンドにかつてのV6やツインスパークの頃のような味わいが加われば…)が魅力の構成要素のひとつ。

さらに新世代の“後輪駆動のアルファロメオの走り”をしっかりと表現されたハンドリングが掌で楽しめることが、何といってもいい。近年のFF世代のアルファロメオのしなやかな身のこなしも気持ちのいいものだったが、『ジュリア』の、後輪を踏ん張らせ、前輪で切れ込んでいく様は実にダイナミックで、走らせている手応えを感じる。

乗り心地もいい。ドライバビリティでいうと、同乗者がいる場合はdnaスイッチの「n」でサラッと流すのがいいだろう。もちろん1名乗車なら迷わず「d」にし、(カタログに書いてありそうなコピーだが)切っていくと鋭さの増すハンドリングと、よりダイレクトな接地感、スムースな荷重移動を積極的に味わうべきだ。

“盾”とその左右の“ヒゲ”のことをトライローブ(3つ葉)と呼ぶのだそうだが、このシンプルだがアルファロメオ以外には絶対に見えないデザインも、ジワジワと気持ちに沁み始めたような気がする。試乗車の“ミサーノブルー”は鮮やかで綺麗な色だったが、レポーター自身もこの原稿を書くために手元でカタログを眺めながら、「ヴェスヴィオグレーにシートがタンの内装がいいなあ」などと妄想が止まらなくなったりして…。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

(レスポンス 島崎七生人)

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