【BMW X7 新型 海外試乗】BMWの走りが担保できるのはここまでかもしれない…九島辰也
◆Xシリーズもついに「7」へ
去る2月27日、日本で発売開始がアナウンスされた新型『X5』。製品自体の発表は昨年6月、そして9月のパリオートサロンでワールドプレミアされ、ヨーロッパでは11月から売られている。特徴は新世代の大型キドニーグリルと4輪アダプティブエアサスペンション。大型SUVとしてさらなる進化を遂げた。
なんて思っていたら、その上が追いかけるように追加された。今回アメリカでステアリングを握った『X7』である。『X1』『X2』『X3』……と続くXシリーズだが、ついに7までカウントアップされるようになった。数字からも変わるように、セダンで言うところの『7シリーズ』に匹敵する。ライバルはメルセデス・ベンツ『GLS』それとレンジローバー。きっとアウディ『Q8』もそうなることだろう。
開発のスタートは約3年前で、X5チームとは別に組織された。もちろん、パワートレーンなど共有する部分はあるものの、性格は別と考えたからだ。それをひと言で表現すると、「X5はスポーティ、X7は快適性」が重要視した。X7はロングドライブをどれだけ快適に過ごせるかがポイントとなる。なので、70%のパーツはオリジナル。2.5トンに迫る全長5mオーバーのボディを支えるエアサスペンションのセッティングは別モノだ。
◆700キロに及ぶロングドライブで感じたポイント
メディア向け国際試乗会はメキシコとの国境の町エルパソをスタートした。ゴールはアリゾナ州都フェニックス。テキサス州からニューメキシコ州を渡ってのアリゾナ州入りである。距離にしておよそ700キロのロングドライブだ。
クルマはxDrive40i。3リットル直6のガソリンターボで、最高出力は340psを発揮する。エンジンのフィーリングはいつもどおり。と言うか、これだけのボディを軽々と加速させるのだから驚いた。3リットルという排気量のイメージ以上に力強く、頼もしい。ただ、聞くところによると日本仕様はディーゼルエンジンのみとか。確かに大型SUVとディーゼルエンジンの親和性が高いのは言わずもがな。この選択は悪くない。が、今回のこの走りが良かっただけに少し残念でもある。
それはともかく、このクルマの褒めるべきところはやはり快適な乗り心地である。高速道路でのフラットライド、コーナーでのロールを抑えた自然な身のこなしはかなりの上級テク。ドライバーに大きなクルマを動かすストレスを感じさせない。ランフラットタイヤでこの乗り味は素晴らしい。ワインディングや駐車スペースでもそう。リアステアが効いてクルマを小さく感じさせる。
キャビンの中は2/2/2と2/3/2の2種類のシートアレンジが用意される。一瞬だけ3列目に座ってみたら思いのほかスペースがあったことに驚いた。視界が広くルーフライナーまでの距離もあった。肘置きは大きく高さもいい。
◆BMWの走りを担保できる限界サイズ
ただ、メインとなるアメリカにはこれをストレッチしたモデルがある。キャデラック『エスカレード』とリンカーン『ナビゲーター』だ。その辺のことを開発者に伺うと、今後つくるかどうかは定かではないと答えた。でも、このサイズがBMWとして限界でもあると。確かにそうだろう。BMWの走りが担保できるのはここまでかもしれない。
といったのがX7のファーストインプレッション。快適で高級感があって、しかもなかなかの存在感。日本では高級ホテルの送迎用にいいかも。導入は今年夏。プレオーダー開始中なので興味ある方はディーラーへどうぞ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
去る2月27日、日本で発売開始がアナウンスされた新型『X5』。製品自体の発表は昨年6月、そして9月のパリオートサロンでワールドプレミアされ、ヨーロッパでは11月から売られている。特徴は新世代の大型キドニーグリルと4輪アダプティブエアサスペンション。大型SUVとしてさらなる進化を遂げた。
なんて思っていたら、その上が追いかけるように追加された。今回アメリカでステアリングを握った『X7』である。『X1』『X2』『X3』……と続くXシリーズだが、ついに7までカウントアップされるようになった。数字からも変わるように、セダンで言うところの『7シリーズ』に匹敵する。ライバルはメルセデス・ベンツ『GLS』それとレンジローバー。きっとアウディ『Q8』もそうなることだろう。
開発のスタートは約3年前で、X5チームとは別に組織された。もちろん、パワートレーンなど共有する部分はあるものの、性格は別と考えたからだ。それをひと言で表現すると、「X5はスポーティ、X7は快適性」が重要視した。X7はロングドライブをどれだけ快適に過ごせるかがポイントとなる。なので、70%のパーツはオリジナル。2.5トンに迫る全長5mオーバーのボディを支えるエアサスペンションのセッティングは別モノだ。
◆700キロに及ぶロングドライブで感じたポイント
メディア向け国際試乗会はメキシコとの国境の町エルパソをスタートした。ゴールはアリゾナ州都フェニックス。テキサス州からニューメキシコ州を渡ってのアリゾナ州入りである。距離にしておよそ700キロのロングドライブだ。
クルマはxDrive40i。3リットル直6のガソリンターボで、最高出力は340psを発揮する。エンジンのフィーリングはいつもどおり。と言うか、これだけのボディを軽々と加速させるのだから驚いた。3リットルという排気量のイメージ以上に力強く、頼もしい。ただ、聞くところによると日本仕様はディーゼルエンジンのみとか。確かに大型SUVとディーゼルエンジンの親和性が高いのは言わずもがな。この選択は悪くない。が、今回のこの走りが良かっただけに少し残念でもある。
それはともかく、このクルマの褒めるべきところはやはり快適な乗り心地である。高速道路でのフラットライド、コーナーでのロールを抑えた自然な身のこなしはかなりの上級テク。ドライバーに大きなクルマを動かすストレスを感じさせない。ランフラットタイヤでこの乗り味は素晴らしい。ワインディングや駐車スペースでもそう。リアステアが効いてクルマを小さく感じさせる。
キャビンの中は2/2/2と2/3/2の2種類のシートアレンジが用意される。一瞬だけ3列目に座ってみたら思いのほかスペースがあったことに驚いた。視界が広くルーフライナーまでの距離もあった。肘置きは大きく高さもいい。
◆BMWの走りを担保できる限界サイズ
ただ、メインとなるアメリカにはこれをストレッチしたモデルがある。キャデラック『エスカレード』とリンカーン『ナビゲーター』だ。その辺のことを開発者に伺うと、今後つくるかどうかは定かではないと答えた。でも、このサイズがBMWとして限界でもあると。確かにそうだろう。BMWの走りが担保できるのはここまでかもしれない。
といったのがX7のファーストインプレッション。快適で高級感があって、しかもなかなかの存在感。日本では高級ホテルの送迎用にいいかも。導入は今年夏。プレオーダー開始中なので興味ある方はディーラーへどうぞ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ:★★★★
九島辰也|モータージャーナリスト
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの"サーフ&ターフ"。 東京・自由が丘出身。
(レスポンス 九島辰也)
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