【トヨタ スープラ 新型試乗】直6と直4ではブレーキ&サスにも違いアリ…丸山誠
◆「GRスープラ」?それとも「スープラ」?
どちらが正式名称なのか疑問に思っている方も多いだろう。CMなどでも『GRスープラ』を全面に押し出している。じつはCMなどのマーケティング活動における名称がGRスープラで、国土交通省への届出名称は『スープラ』だからどちらを使ってもいいわけだ。
A90GRスープラという呼称は、カタログの表紙に小さく刻印されているが正式な車両型式ではない。3リットル直6エンジン搭載の「RZ」の車両型式は「3BA-DB42-ZRRW」、2リットル直4ターボ258psの「SZ-R」が「3BA-DB22-ZTRW」、同197psの「SZ」が「3BA-82-ZSRW」となっているからここにはA90の文字は入っていない。
◆鮮烈でスポーツカーらしい「RZ」の走り
余談が長くなってしまったが、RZの走りは鮮烈でスポーツカーらしい。特にブレーキ性能が優秀。一瞬で気持ちよく吹きあがる直6ターボの加速を楽しんでいると、スピードはあっという間に3ケタを表示することになる。
BMWらしくローンチコントロールシステムが採用されていて作動手順も同じ。スポーツモードを選んでVSCオフのスイッチを押し、左足でブレーキペダルを踏んでDレンジにシフトし、アクセルを奥まで踏み込んで3秒以内にブレーキを放す。ただしパワートレーン系に大きな負担をかけるため、1度使用すると再使用までトランスミッションを5分間冷やす必要がある。
RZはローンチコントロールを使わなくてもDレンジに入れてブレーキを左足で踏み、アクセルを踏み込んでペダルをリリースするだけで鋭いダッシュが得られる。このときリヤタイヤは一瞬スリップするがパワーは絞られずに強烈な加速ができる。そこから一気にスピードを奪い取れるのがRZに装備されているブレンボ製の4ポッド対向ブレーキキャリパーのおかけだ。もちろんアルミモノブロックタイプでレッドに塗装されている。
ブレーキペダルを踏み込んだ瞬間の剛性感がとてもよく、微妙なペダルタッチにも応答してくれるためコントロールが容易。ブレーキの安心感が高いからこそコーナーを攻めることができるわけで、この辺は味付けを含めスポーツカーとして合格点を与えられる。直6のRZはノーズが重いためフロントに強力なブレーキを与える必要があった。
◆4気筒モデルはブレーキに違いあり
ブレーキフィールにフォーカスしてみると直4ターボは、グレードに合わせたフロントブレーキが与えられている。高価なブレンボ製ではなく、アルミフローティングタイプ。ブレーキディスクの直径もブレンボが348mmを採用するのに対し、330mmとやや小さい。SZ-RのブレーキフィールはRZよりペダル剛性感が劣り、利きと微妙な調整もブレンボには及ばない。
SZのブレーキフィールはさらに違う。同じフロントブレーキを使っているはずなのだが、ペダルの剛性感はSZ-Rより劣り、コントロール性ももう一歩。もちろんスポーツカーとして評価しているわけで、一般路でのブレーキフィールは何の不満もない。
SZのブレーキフィールがSZ-Rと違うのは、タイヤサイズの違いが大きいと考える。SZ-Rは40偏平の18インチだが、SZは50偏平の17インチを装着しているからだ。装着タイヤのサイズの違いによるタイヤ剛性が、ブレーキフィールに影響を及ぼしている可能性が高い。
◆グレード選びはブレーキとサスペンションにも注目
さらにサスペンションシステムにも違いもある。RZとSZ-RはAVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)を装備するためブレーキペダルを踏み込んだ瞬間のノーズダイブを防いでいて、ブレーキフィールが高まっている。SZは残念ながらAVSを装備していない。
新型スープラはエンジン仕様で3グレードに分けられているが、ブレーキシステムとサスペンションシステムもグレードで異なりフィールが異なる。これらはオプションでも変更ができないためグレード選びは、このあたりも考慮する必要がある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
(レスポンス 丸山 誠)
どちらが正式名称なのか疑問に思っている方も多いだろう。CMなどでも『GRスープラ』を全面に押し出している。じつはCMなどのマーケティング活動における名称がGRスープラで、国土交通省への届出名称は『スープラ』だからどちらを使ってもいいわけだ。
A90GRスープラという呼称は、カタログの表紙に小さく刻印されているが正式な車両型式ではない。3リットル直6エンジン搭載の「RZ」の車両型式は「3BA-DB42-ZRRW」、2リットル直4ターボ258psの「SZ-R」が「3BA-DB22-ZTRW」、同197psの「SZ」が「3BA-82-ZSRW」となっているからここにはA90の文字は入っていない。
◆鮮烈でスポーツカーらしい「RZ」の走り
余談が長くなってしまったが、RZの走りは鮮烈でスポーツカーらしい。特にブレーキ性能が優秀。一瞬で気持ちよく吹きあがる直6ターボの加速を楽しんでいると、スピードはあっという間に3ケタを表示することになる。
BMWらしくローンチコントロールシステムが採用されていて作動手順も同じ。スポーツモードを選んでVSCオフのスイッチを押し、左足でブレーキペダルを踏んでDレンジにシフトし、アクセルを奥まで踏み込んで3秒以内にブレーキを放す。ただしパワートレーン系に大きな負担をかけるため、1度使用すると再使用までトランスミッションを5分間冷やす必要がある。
RZはローンチコントロールを使わなくてもDレンジに入れてブレーキを左足で踏み、アクセルを踏み込んでペダルをリリースするだけで鋭いダッシュが得られる。このときリヤタイヤは一瞬スリップするがパワーは絞られずに強烈な加速ができる。そこから一気にスピードを奪い取れるのがRZに装備されているブレンボ製の4ポッド対向ブレーキキャリパーのおかけだ。もちろんアルミモノブロックタイプでレッドに塗装されている。
ブレーキペダルを踏み込んだ瞬間の剛性感がとてもよく、微妙なペダルタッチにも応答してくれるためコントロールが容易。ブレーキの安心感が高いからこそコーナーを攻めることができるわけで、この辺は味付けを含めスポーツカーとして合格点を与えられる。直6のRZはノーズが重いためフロントに強力なブレーキを与える必要があった。
◆4気筒モデルはブレーキに違いあり
ブレーキフィールにフォーカスしてみると直4ターボは、グレードに合わせたフロントブレーキが与えられている。高価なブレンボ製ではなく、アルミフローティングタイプ。ブレーキディスクの直径もブレンボが348mmを採用するのに対し、330mmとやや小さい。SZ-RのブレーキフィールはRZよりペダル剛性感が劣り、利きと微妙な調整もブレンボには及ばない。
SZのブレーキフィールはさらに違う。同じフロントブレーキを使っているはずなのだが、ペダルの剛性感はSZ-Rより劣り、コントロール性ももう一歩。もちろんスポーツカーとして評価しているわけで、一般路でのブレーキフィールは何の不満もない。
SZのブレーキフィールがSZ-Rと違うのは、タイヤサイズの違いが大きいと考える。SZ-Rは40偏平の18インチだが、SZは50偏平の17インチを装着しているからだ。装着タイヤのサイズの違いによるタイヤ剛性が、ブレーキフィールに影響を及ぼしている可能性が高い。
◆グレード選びはブレーキとサスペンションにも注目
さらにサスペンションシステムにも違いもある。RZとSZ-RはAVS(アダプティブバリアブルサスペンションシステム)を装備するためブレーキペダルを踏み込んだ瞬間のノーズダイブを防いでいて、ブレーキフィールが高まっている。SZは残念ながらAVSを装備していない。
新型スープラはエンジン仕様で3グレードに分けられているが、ブレーキシステムとサスペンションシステムもグレードで異なりフィールが異なる。これらはオプションでも変更ができないためグレード選びは、このあたりも考慮する必要がある。
■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★
丸山 誠|モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。自動車専門誌やウェブで新車試乗記事、新車解説記事などを執筆。先進安全装備や環境技術、キャンピングカー、キャンピングトレーラーなどにも詳しい。
(レスポンス 丸山 誠)
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