【メルセデスベンツ Aクラスディーゼル 新型試乗】多くの人が待ち望んだであろう答え…中村孝仁
◆Cセグハッチ・ディーゼルに殴り込み
今、Cセグメントのハッチバック車で、ディーゼルの設定があるのはボルボ『V40』、BMW『1シリーズ』、『ミニ』、プジョー『308』、それに日本車だと『マツダ3』など。
もっともこのうち、ボルボとBMWに関してはモデル末期でもあるし、特にボルボはなくなる可能性が極めて高い。そんなセグメントにメルセデスが殴り込みだ。
すでに『Cクラス』や『Eクラス』で定評のあるOM654のコードネームを持つ2リットル直4ターボディーゼルを横置きに設えたものである。もっともパフォーマンスはだいぶ引き下げられていて、最高出力150ps、最大トルク320Nmとなる。『Aクラス』に搭載されている8速DCTのトルク容量が400Nmには耐えられないことによる措置なのか?と言うイメージなのだが、このデチューンに関しては、試乗してみて全くそれを感じさせないことが良く分かった。
◆クラス随一の静粛性
「ハイ!メルセデス」で一躍有名になったMBUXをはじめとした装備関係は、基本的にガソリン車の「A180」と何ら変わらないから端折るとして、その走りと性能について話をしようと思う。
注目はOM654ユニットが横置きされて、それに組み合わされたのが8速のDCTである、ということ。従来のガソリン車は7速DCTだったから、1速追加されたことになる。しかもエンジンはパワーがあってトルクフルなのだから、言うことなし。特にトルクに関していえば、僅か1400rpmから最大トルク320Nmを引き出し、それを3200rpmまで持続してくれる。車重はさすがにA180よりも130kgほど重いようだが、実際走ってみるとそんな差はものともしない。
借り出してまず感じたのは、このクラスのディーゼルとして極めて静粛性が高いことだ。素晴らしく静かだというマツダ3にまだ試乗していないので結論は出せないのだが、それ以外のライバルと比較した時は文句なくベストな静粛性の高い空間を保っている。
それに『Sクラス』にも負けない作り込みとデバイスの豊富さを持っているから、オプションを含めてあれこれつけると、AクラスでありながらCセグメントとは思えない豪華な空間が提供されていることに驚く。と言っても試乗車のオプションを含めた価格は499万円(端数は忘れた)であり、オリジナルの399万円から100万円もアップしている。
果たしてどのあたりまで装備をつければ満足の行くモデルに仕上がるのか不明だが、もしA180と装備が同じだとすれば、最低でもレーダーセーフティーパッケージとナビゲーションパッケージは必要となるから、40万円以上は追加しないといけない。しかし、ここで留めることが出来るなら、450万円以下で収まる。と言ってもお値段はさすがにCセグメントハイエンドであることに変わりはない。ただし、このクルマには補助金だの減税措置だのがあって、どうやらA180と同等のお値段に収まるようなので、性能を考えれば俄然こちらがお得感が出る。
◆多くの人が待ち望んだであろうMBのコンパクトディーゼル
試乗車はAMGラインの装着車で、シートはヘッドレストを一体化したハイバックシートである。実は後席もハイバックとなっていて、若干後方視界の妨げになっているのだがその点はあまり気にならなかった。AMGライン車だから、タイヤは18インチ。試乗車にはブリジストンのトゥランザが装着されていたが、キビキビ感はやはり16インチより上で、もし買うとしたらこいつを取り付けたくなるのは仕方ない。
そして、一番気になったのもやはりDCTである。8速になったのは良いとして、渋滞内での微妙なスピードでの繋がり感はやはりステップATと比べてしまうと明らかに良くなく、躊躇する場面もある。渋滞が日常的とは言いにくいヨーロッパに対し、日本はその逆だから、ステップATを好み、まだAT普及率が5割程度のドイツではDCTは折衷案としては最も理解されやすいチョイスなのかもしれない。まあお国柄の反映だからこれだけはどうしようもない。
かつて輸入ディーゼル車と言えば、メルセデスがその代表格だったものだが、今では他メーカーもバラエティーに富んだモデルにディーゼルを設定している。しかしメルセデスのコンパクトディーゼルは、恐らく多くのユーザーが待ち望んだものではないかと思うし、メルセデスも十分納得のいく答えを出してくれたように思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
今、Cセグメントのハッチバック車で、ディーゼルの設定があるのはボルボ『V40』、BMW『1シリーズ』、『ミニ』、プジョー『308』、それに日本車だと『マツダ3』など。
もっともこのうち、ボルボとBMWに関してはモデル末期でもあるし、特にボルボはなくなる可能性が極めて高い。そんなセグメントにメルセデスが殴り込みだ。
すでに『Cクラス』や『Eクラス』で定評のあるOM654のコードネームを持つ2リットル直4ターボディーゼルを横置きに設えたものである。もっともパフォーマンスはだいぶ引き下げられていて、最高出力150ps、最大トルク320Nmとなる。『Aクラス』に搭載されている8速DCTのトルク容量が400Nmには耐えられないことによる措置なのか?と言うイメージなのだが、このデチューンに関しては、試乗してみて全くそれを感じさせないことが良く分かった。
◆クラス随一の静粛性
「ハイ!メルセデス」で一躍有名になったMBUXをはじめとした装備関係は、基本的にガソリン車の「A180」と何ら変わらないから端折るとして、その走りと性能について話をしようと思う。
注目はOM654ユニットが横置きされて、それに組み合わされたのが8速のDCTである、ということ。従来のガソリン車は7速DCTだったから、1速追加されたことになる。しかもエンジンはパワーがあってトルクフルなのだから、言うことなし。特にトルクに関していえば、僅か1400rpmから最大トルク320Nmを引き出し、それを3200rpmまで持続してくれる。車重はさすがにA180よりも130kgほど重いようだが、実際走ってみるとそんな差はものともしない。
借り出してまず感じたのは、このクラスのディーゼルとして極めて静粛性が高いことだ。素晴らしく静かだというマツダ3にまだ試乗していないので結論は出せないのだが、それ以外のライバルと比較した時は文句なくベストな静粛性の高い空間を保っている。
それに『Sクラス』にも負けない作り込みとデバイスの豊富さを持っているから、オプションを含めてあれこれつけると、AクラスでありながらCセグメントとは思えない豪華な空間が提供されていることに驚く。と言っても試乗車のオプションを含めた価格は499万円(端数は忘れた)であり、オリジナルの399万円から100万円もアップしている。
果たしてどのあたりまで装備をつければ満足の行くモデルに仕上がるのか不明だが、もしA180と装備が同じだとすれば、最低でもレーダーセーフティーパッケージとナビゲーションパッケージは必要となるから、40万円以上は追加しないといけない。しかし、ここで留めることが出来るなら、450万円以下で収まる。と言ってもお値段はさすがにCセグメントハイエンドであることに変わりはない。ただし、このクルマには補助金だの減税措置だのがあって、どうやらA180と同等のお値段に収まるようなので、性能を考えれば俄然こちらがお得感が出る。
◆多くの人が待ち望んだであろうMBのコンパクトディーゼル
試乗車はAMGラインの装着車で、シートはヘッドレストを一体化したハイバックシートである。実は後席もハイバックとなっていて、若干後方視界の妨げになっているのだがその点はあまり気にならなかった。AMGライン車だから、タイヤは18インチ。試乗車にはブリジストンのトゥランザが装着されていたが、キビキビ感はやはり16インチより上で、もし買うとしたらこいつを取り付けたくなるのは仕方ない。
そして、一番気になったのもやはりDCTである。8速になったのは良いとして、渋滞内での微妙なスピードでの繋がり感はやはりステップATと比べてしまうと明らかに良くなく、躊躇する場面もある。渋滞が日常的とは言いにくいヨーロッパに対し、日本はその逆だから、ステップATを好み、まだAT普及率が5割程度のドイツではDCTは折衷案としては最も理解されやすいチョイスなのかもしれない。まあお国柄の反映だからこれだけはどうしようもない。
かつて輸入ディーゼル車と言えば、メルセデスがその代表格だったものだが、今では他メーカーもバラエティーに富んだモデルにディーゼルを設定している。しかしメルセデスのコンパクトディーゼルは、恐らく多くのユーザーが待ち望んだものではないかと思うし、メルセデスも十分納得のいく答えを出してくれたように思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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