【ダイハツ タント 新型試乗】価格が高くても「カスタムRS」がオススメな理由…中村孝仁
新しいDNGAと名付けられた最新のプラットフォームを纏って誕生したダイハツ『タント』シリーズ。DNGAだけじゃなく、新しさと革新性に溢れた出来に仕上がっている。
「カスタム」とノーマルタントの違いは、外観ではフロントエンドのデザイン、内装ではカスタムにブラックの引き締まった内装が与えられているほか、試乗した「カスタムRS」では本革巻きステアリングや本革のシフトレバーなど、どちらかと言えば男心をくすぐるアイテムがちりばめられている。
タイトルで「こっちがお薦め」と書いたのは、何も男心がくすぐられたからではない。実際に乗ってみてこちらに確かな手ごたえを感じたからである。その手ごたえについては後述するとして、今回のタントシリーズで最も感銘を受けたのが、「スマートパノラマパーキングアシスト」だったので、まずはそちらから解説しよう。
◆初めて街中で使ってみたいと思ったパーキングアシスト
パーキングアシストそのものは、すでに多くのクルマに取り入れられていることはご存知の通り。僕もこれまで数多くの装着車に試乗したが、正直言って一度として使ったことがない。その理由は使用できる場所が限定的であることや、使用するための手順が面倒だったりして、結局は自分の眼と付いている後方カメラなどを利用した方が早いからだ。
ところが今回のスマートパノラマパーキングアシストは、初めて街中で使ってみたいと思った装備である。何故かと言うと、一つは場所を選ばないこと。多くのパーキングアシストは車庫入れなどのケースでは両側にクルマが止まっていることが前提となっているが、ダイハツのこれは白線を読むシステムなので、クルマがいなくても使える。
次にかなりアバウトな止め方をしても確実に止めてくれること。そして3つ目は操作がボタン一つで済むという簡便さであることなどだ。実際のデモンストレーションで試してこれは使えるなと思ったが、どうも人を疑ってかかる悪い性格で、改めて別な場所で自分1人でやってみたが、見事に簡単に入る。
やり方はこうだ。まずは止めたいと思うスペースの横にクルマを止める。そしてステアリングに付くボタンを長押し。これが唯一の操作。あとはクルマの問いかけと操作手順に応えるだけだ。すると車の方からここに停めますかという質問が。それにハイとボタンを押せば、後はステアリングから手を離してディスプレイに映る青い四角の中にクルマを止めるだけ。次にそこからリバースに入れろという指示に従って今度もまた青い四角にクルマを入れればそれで終わりだ。
一度で入らなくても同じ操作を繰り返すようにクルマが手順を教えてくれるから、それに従うだけ。残念ながらオプションだが、これなら僕も装備するかもしれないと思ったほど簡単で便利である。
◆「カスタムRS」にだけ用意される15インチ
ターボ車はさすがにパワフルで、NAから乗り替えてみるとその違いを痛感し、まずはこちらがイイと感じる。しかし、ノーマルタントにだってターボ仕様はあるのだがどこが違うかと言うと、カスタムRSだけはタイヤが15インチを装着するのだ。
タイヤそのものは同じブリヂストン・エコピアだったが、正直言って14インチと15インチでは走りがまるで違っていた。路面からのインフォメーションの入り方も15インチの方が確実に上で、ステアリングを切った時のノーズの入り方などは15インチの方が正確でライントレース性もこちらが上である。
次にターボかノンターボかという点について話をすれば、これはパワー的には間違いなくターボがお勧めなのだが、もう一つ新しい「D-CVT」との相性もターボの方が良いと感じた。CVTはエンジンの回転数と車速の伸び感に齟齬があって、どうしても違和感を感じやすい。
D-CVTは、詳しい話はしないがその齟齬を少なくする機構となっているはずなのだが、NAエンジン車の方ではそれがうまくいっておらず、ターボ車で走り始めのトルクがあるせいか、回転をあげてD-CVTが威力を発揮する時にはしっかりと車速が上がって違和感を感じないようなものとなっていた。
◆「アダプティブドライビングビーム」もオススメの理由
14インチのNAと15インチのカスタムRSで乗り心地は違うかと思いきや、その差は少ない。確かに14インチの方があたりはソフトである。しかし、一方でしっかり感という点では15インチの方が上で、骨太感があって個人的にはこちらの乗り心地の方が好みであった。
もう一つ、敢えて価格の高いカスタムRSを薦める理由は、アダプティブドライビングビームといういわゆるアダプティブLEDヘッドライトを標準装着していること。今回夜間走行はしていないが、このアダプティブLEDライトの恩恵は他車で嫌というほど味わっていて、夜間ドライブに安心感を与える効果が大きい。というわけで、値段分の価値はこちらの方が高いと思うわけだ。
それにしてもこれだけ新しい装備やアイデアを盛り込んでいながら価格はほぼ据え置きだそうだから、間違いなくユーザーフレンドリーなクルマである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
(レスポンス 中村 孝仁)
「カスタム」とノーマルタントの違いは、外観ではフロントエンドのデザイン、内装ではカスタムにブラックの引き締まった内装が与えられているほか、試乗した「カスタムRS」では本革巻きステアリングや本革のシフトレバーなど、どちらかと言えば男心をくすぐるアイテムがちりばめられている。
タイトルで「こっちがお薦め」と書いたのは、何も男心がくすぐられたからではない。実際に乗ってみてこちらに確かな手ごたえを感じたからである。その手ごたえについては後述するとして、今回のタントシリーズで最も感銘を受けたのが、「スマートパノラマパーキングアシスト」だったので、まずはそちらから解説しよう。
◆初めて街中で使ってみたいと思ったパーキングアシスト
パーキングアシストそのものは、すでに多くのクルマに取り入れられていることはご存知の通り。僕もこれまで数多くの装着車に試乗したが、正直言って一度として使ったことがない。その理由は使用できる場所が限定的であることや、使用するための手順が面倒だったりして、結局は自分の眼と付いている後方カメラなどを利用した方が早いからだ。
ところが今回のスマートパノラマパーキングアシストは、初めて街中で使ってみたいと思った装備である。何故かと言うと、一つは場所を選ばないこと。多くのパーキングアシストは車庫入れなどのケースでは両側にクルマが止まっていることが前提となっているが、ダイハツのこれは白線を読むシステムなので、クルマがいなくても使える。
次にかなりアバウトな止め方をしても確実に止めてくれること。そして3つ目は操作がボタン一つで済むという簡便さであることなどだ。実際のデモンストレーションで試してこれは使えるなと思ったが、どうも人を疑ってかかる悪い性格で、改めて別な場所で自分1人でやってみたが、見事に簡単に入る。
やり方はこうだ。まずは止めたいと思うスペースの横にクルマを止める。そしてステアリングに付くボタンを長押し。これが唯一の操作。あとはクルマの問いかけと操作手順に応えるだけだ。すると車の方からここに停めますかという質問が。それにハイとボタンを押せば、後はステアリングから手を離してディスプレイに映る青い四角の中にクルマを止めるだけ。次にそこからリバースに入れろという指示に従って今度もまた青い四角にクルマを入れればそれで終わりだ。
一度で入らなくても同じ操作を繰り返すようにクルマが手順を教えてくれるから、それに従うだけ。残念ながらオプションだが、これなら僕も装備するかもしれないと思ったほど簡単で便利である。
◆「カスタムRS」にだけ用意される15インチ
ターボ車はさすがにパワフルで、NAから乗り替えてみるとその違いを痛感し、まずはこちらがイイと感じる。しかし、ノーマルタントにだってターボ仕様はあるのだがどこが違うかと言うと、カスタムRSだけはタイヤが15インチを装着するのだ。
タイヤそのものは同じブリヂストン・エコピアだったが、正直言って14インチと15インチでは走りがまるで違っていた。路面からのインフォメーションの入り方も15インチの方が確実に上で、ステアリングを切った時のノーズの入り方などは15インチの方が正確でライントレース性もこちらが上である。
次にターボかノンターボかという点について話をすれば、これはパワー的には間違いなくターボがお勧めなのだが、もう一つ新しい「D-CVT」との相性もターボの方が良いと感じた。CVTはエンジンの回転数と車速の伸び感に齟齬があって、どうしても違和感を感じやすい。
D-CVTは、詳しい話はしないがその齟齬を少なくする機構となっているはずなのだが、NAエンジン車の方ではそれがうまくいっておらず、ターボ車で走り始めのトルクがあるせいか、回転をあげてD-CVTが威力を発揮する時にはしっかりと車速が上がって違和感を感じないようなものとなっていた。
◆「アダプティブドライビングビーム」もオススメの理由
14インチのNAと15インチのカスタムRSで乗り心地は違うかと思いきや、その差は少ない。確かに14インチの方があたりはソフトである。しかし、一方でしっかり感という点では15インチの方が上で、骨太感があって個人的にはこちらの乗り心地の方が好みであった。
もう一つ、敢えて価格の高いカスタムRSを薦める理由は、アダプティブドライビングビームといういわゆるアダプティブLEDヘッドライトを標準装着していること。今回夜間走行はしていないが、このアダプティブLEDライトの恩恵は他車で嫌というほど味わっていて、夜間ドライブに安心感を与える効果が大きい。というわけで、値段分の価値はこちらの方が高いと思うわけだ。
それにしてもこれだけ新しい装備やアイデアを盛り込んでいながら価格はほぼ据え置きだそうだから、間違いなくユーザーフレンドリーなクルマである。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める
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