【ジープ レネゲード トレイルホーク 新型試乗】やっぱりジープは4駆でなきゃ、と思う…中村孝仁
◆2輪駆動のジープという存在
まだ、『レネゲード』誕生以前、ジープのベースレンジのモデルは『コンパス/パトリオット』と呼ばれる2種のモデルに市場が託されていた。
このうちコンパスがマイナーチェンジされて日本に登場した2012年、このクルマはFWDモデルのみの設定で売り出された。それには理由があった。市場調査の結果、このジャンルのモデルはFWDで良いと答えたユーザーが、8割を超えたからだそうで、ジープは4駆という概念を捨てよう…という意味で売りに出されたモデルであった。
その後イタリアのフィアットと統合されてFCAとなって以後、今回俎上に上げるレネゲードが登場するわけだが、レネゲードにしてもラインナップ3種のうち、2種はやはりFWDである。この時思ったことは、日本市場においてジープを買う人は「ジープが好き」という人と、「ジープのような格好のクルマが好き」という2種類のユーザーがいるんだ…ということである。
勿論アメリカにだってジープは2輪駆動のクルマも存在する。だが、日本市場は長い間、ジープと言えば4駆…を押し通してきた。勿論現行ラインナップでも2WD(と言ってもFWDのみ)が用意されるのは前述のコンパスとレネゲードだけで、そこから上の『ラングラー』、『チェロキー』、『グランドチェロキー』はすべて4WDのみ。そして今回試乗した「レネゲード・トレイルホーク」を含め、ジープ全体では驚くことに8種類もの異なる4WDシステムが用意され、クルマに相応しいシステムが与えられているから、やっぱりジープは4駆でなきゃ…と思ってしまっても不思議はないのである。
◆イタリア製、だからこその9AT
ズバリ言って4輪駆動車はFWDに比べたら当然重いし、フリクションも必然的に多くなるから燃費だって悪くなる。レネゲードだって4駆のトレイルホークとその他のFWDモデルを比較すると、WLTC総合モードで11.9km/リットルに対し、13.5km/リットルだから、その差は歴然。いずれの場合もレネゲードはプレミアムガソリンを所望する。何故か。それはこのクルマに搭載される1.3リットルエンジンがイタリア製で、フィアットが開発したマルチエアと呼ばれるエンジンだから。
ついでに言えばレネゲード自体がイタリア産で、フィアットと共にメルフィの工場で生産される。また、組み合わされるトランスミッションもトレイルホークだけはZF製の9速ATで、他のモデルは6速のDCTである。
9ATの良さは一般道の渋滞及び高速の渋滞を走った時に真価となって発揮される。と言うのも、DCTは不可避的に断続するストップ&ゴーではギアのチョイスに迷いを生じることが多く、それが結果としてギクシャク感に繋がり、渋滞内での評価が下がるからだ。これに対しステップATはこうした状況でも迷うことがないから、渋滞でもスムーズだ。もっとも9速と言ってもジープのギア比の設定は、日本市場では9速がほぼ使えない設定だから、7速か8速でも十分ともいえる。
◆やっぱりジープは4駆だね
レネゲード・トレイルホークはボディの至る所に濃い朱色のアクセントがちりばめられているのが特徴。また4WDモードにはセンターデフロック機構はないものの、1速固定でギア比20.1という超スロー走行を可能にするモードがある。おかげでジープが悪路走破性にお墨付きを与えるトレイルレーテッドの称号も得ている。
1.3リットルマルチジェットユニットに関しては既にフィアット『500X』で体験済み。
エンジン自体はすこぶるスムーズかつパワフルで、とても1.3リットルとは思えない威勢の良さを持っている。9速とのコンビとなったおかげで、発進の際のもたつき感もなくなり、全体としての印象はこちらの方が良い。実際にオフロードで試してみると、必要十分以上のパフォーマンスを示してくれる。やはりジープの力強さか。
そしてこうして4WDのジープに乗ってしまうと、どうしてもやっぱりジープは4駆だね…と言う頭が支配的になってしまうのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
まだ、『レネゲード』誕生以前、ジープのベースレンジのモデルは『コンパス/パトリオット』と呼ばれる2種のモデルに市場が託されていた。
このうちコンパスがマイナーチェンジされて日本に登場した2012年、このクルマはFWDモデルのみの設定で売り出された。それには理由があった。市場調査の結果、このジャンルのモデルはFWDで良いと答えたユーザーが、8割を超えたからだそうで、ジープは4駆という概念を捨てよう…という意味で売りに出されたモデルであった。
その後イタリアのフィアットと統合されてFCAとなって以後、今回俎上に上げるレネゲードが登場するわけだが、レネゲードにしてもラインナップ3種のうち、2種はやはりFWDである。この時思ったことは、日本市場においてジープを買う人は「ジープが好き」という人と、「ジープのような格好のクルマが好き」という2種類のユーザーがいるんだ…ということである。
勿論アメリカにだってジープは2輪駆動のクルマも存在する。だが、日本市場は長い間、ジープと言えば4駆…を押し通してきた。勿論現行ラインナップでも2WD(と言ってもFWDのみ)が用意されるのは前述のコンパスとレネゲードだけで、そこから上の『ラングラー』、『チェロキー』、『グランドチェロキー』はすべて4WDのみ。そして今回試乗した「レネゲード・トレイルホーク」を含め、ジープ全体では驚くことに8種類もの異なる4WDシステムが用意され、クルマに相応しいシステムが与えられているから、やっぱりジープは4駆でなきゃ…と思ってしまっても不思議はないのである。
◆イタリア製、だからこその9AT
ズバリ言って4輪駆動車はFWDに比べたら当然重いし、フリクションも必然的に多くなるから燃費だって悪くなる。レネゲードだって4駆のトレイルホークとその他のFWDモデルを比較すると、WLTC総合モードで11.9km/リットルに対し、13.5km/リットルだから、その差は歴然。いずれの場合もレネゲードはプレミアムガソリンを所望する。何故か。それはこのクルマに搭載される1.3リットルエンジンがイタリア製で、フィアットが開発したマルチエアと呼ばれるエンジンだから。
ついでに言えばレネゲード自体がイタリア産で、フィアットと共にメルフィの工場で生産される。また、組み合わされるトランスミッションもトレイルホークだけはZF製の9速ATで、他のモデルは6速のDCTである。
9ATの良さは一般道の渋滞及び高速の渋滞を走った時に真価となって発揮される。と言うのも、DCTは不可避的に断続するストップ&ゴーではギアのチョイスに迷いを生じることが多く、それが結果としてギクシャク感に繋がり、渋滞内での評価が下がるからだ。これに対しステップATはこうした状況でも迷うことがないから、渋滞でもスムーズだ。もっとも9速と言ってもジープのギア比の設定は、日本市場では9速がほぼ使えない設定だから、7速か8速でも十分ともいえる。
◆やっぱりジープは4駆だね
レネゲード・トレイルホークはボディの至る所に濃い朱色のアクセントがちりばめられているのが特徴。また4WDモードにはセンターデフロック機構はないものの、1速固定でギア比20.1という超スロー走行を可能にするモードがある。おかげでジープが悪路走破性にお墨付きを与えるトレイルレーテッドの称号も得ている。
1.3リットルマルチジェットユニットに関しては既にフィアット『500X』で体験済み。
エンジン自体はすこぶるスムーズかつパワフルで、とても1.3リットルとは思えない威勢の良さを持っている。9速とのコンビとなったおかげで、発進の際のもたつき感もなくなり、全体としての印象はこちらの方が良い。実際にオフロードで試してみると、必要十分以上のパフォーマンスを示してくれる。やはりジープの力強さか。
そしてこうして4WDのジープに乗ってしまうと、どうしてもやっぱりジープは4駆だね…と言う頭が支配的になってしまうのだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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