【メルセデスベンツ E350de 新型試乗】PHEVとしての究極形がこれ…中村孝仁
◆燃費を出すなら理想?ディーゼルPHEV
ほとんど無音で走る電気自動車と、常にガラガラと決して愉快ではない騒音を立てて走るディーゼル車。かつてトヨタが初めてハイブリッド『プリウス』を作った時、ガソリンエンジンではなくディーゼルの組み合わせは?と聞いたことがある。
その時のトヨタの答えは燃費を狙うなら理想だ…と。でもまだエンジンがかかった時の振動などの処理が難しいので、やらないとも答えていた。正直言ってこの時からいつディーゼルハイブリッドが誕生するだろうと、ずっと見守ってきた。
その時は2010年にやってきて、プジョーが初の乗用ディーゼルハイブリッドを作ったのだが、残念ながら日本にはやってこなかった。あれから9年、ようやくメルセデスがこのディーゼルハイブリッドを日本でお披露目発売することになった。その名を『E350de』という。単なるハイブリッドではなくPHEVだ。
“E”が付くことからそれが『Eクラス』であることはすぐにわかるだろうし、350という名称からして結構デカいエンジン?と思いきや、搭載されているのは2リットルのターボディーゼルである。内燃エンジンだけで194ps、400Nmを絞り出し、これにモーター側の最高出力122psと440Nmを組み合わせたシステム総出力は306ps、700Nmとけたたましい。
◆卓越したスムーズネスと静粛性
気になる燃費だが、メルセデスベンツ日本のカタログには残念ながらWLTP燃費の記載はない。搭載されるバッテリーは13.5kwhのリチウムイオン電池で、トランクスペースに搭載されているのだが、そのためにトランクスペースには段差が出来て、通常のEクラスなら540リットルの容量を持つところが370リットルとかなり小さくなっている。
その昔トヨタのエンジニアが言っていたように、エンジンがかかった時の振動をどの程度手名付けているかが実は興味の対象の一番大きな部分であったのだが、結論から言うと、手名付けたどころか見事にモノにしてくれていた。
ヨーロッパ系というか、PHEVの基本的な走りはデフォルトで乗る限り、まずは貯まっている電気を使ってEV走行をする。特に加速が欲しくてアクセルをドバっと開くような時は別だが、そうでない限りこのE350deもするすると電気だけで動いていく。そして電気が途切れると、今度は内燃機関が顔を出すのだが、途切れると言ってもゼロになるわけではないから、信号待ちからの発進などはやはり電気で動く。
新しい「OM654」の呼称を持つディーゼルユニットは、すでにEクラスのオールテレインなどで体験済み。その卓越した静粛性やスムーズネスと異様なまでに高かった燃費性能は、恐らくこのE350deにも引き継がれているはずで、燃費の計測こそできなかったが、その卓越したスムーズネスと静粛性は今回も体験できた。
◆車重などものともしない700Nm
勿論ガソリンエンジンと組み合わされたハイブリッドより明確に内燃機関が主張することは避けられない。それでも、既存の他メーカーディーゼルと比べたら間違いなく静かでスムーズである。だから、スーガラガラガラ…ではなく音のイメージとしてはスー…ゴーという感じ。勿論ここでのスーは電動車の限りなく無音な感じをイメージし、ガラガラは一般的なディーゼルエンジン車のそれである。
それにしても700Nmのトルク感は大したもので、残念ながら車重も明らかにされていないこのクルマが果たしてどの程度の車重かは推測の域を出ないが、まあ、車重などものともしないと言っておこう。
近年メルセデスは電動化したモデルを「EQパワー」などと呼び、ピュアEVをEQ〇〇という風に命名していることはご存知の通り。そしてこのE350deもこのEQパワー組で、システムを始動させるとメーターに大きくEQと表示される。ヨーロッパは例のディーゼルゲートの結果、急速にディーゼル市場がシュリンクし、今や電動化は最先端の技術としてメルセデスの場合も益々EQが増えていくことは間違いない。
燃料タンク容量も既存の例えば『E220d』と比べても6リットル少ない60リットルきっかりだが、航続距離は恐らく相殺しておつりがくるものと思われる。PHEVとしては個人的に究極の形がこれだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
(レスポンス 中村 孝仁)
ほとんど無音で走る電気自動車と、常にガラガラと決して愉快ではない騒音を立てて走るディーゼル車。かつてトヨタが初めてハイブリッド『プリウス』を作った時、ガソリンエンジンではなくディーゼルの組み合わせは?と聞いたことがある。
その時のトヨタの答えは燃費を狙うなら理想だ…と。でもまだエンジンがかかった時の振動などの処理が難しいので、やらないとも答えていた。正直言ってこの時からいつディーゼルハイブリッドが誕生するだろうと、ずっと見守ってきた。
その時は2010年にやってきて、プジョーが初の乗用ディーゼルハイブリッドを作ったのだが、残念ながら日本にはやってこなかった。あれから9年、ようやくメルセデスがこのディーゼルハイブリッドを日本でお披露目発売することになった。その名を『E350de』という。単なるハイブリッドではなくPHEVだ。
“E”が付くことからそれが『Eクラス』であることはすぐにわかるだろうし、350という名称からして結構デカいエンジン?と思いきや、搭載されているのは2リットルのターボディーゼルである。内燃エンジンだけで194ps、400Nmを絞り出し、これにモーター側の最高出力122psと440Nmを組み合わせたシステム総出力は306ps、700Nmとけたたましい。
◆卓越したスムーズネスと静粛性
気になる燃費だが、メルセデスベンツ日本のカタログには残念ながらWLTP燃費の記載はない。搭載されるバッテリーは13.5kwhのリチウムイオン電池で、トランクスペースに搭載されているのだが、そのためにトランクスペースには段差が出来て、通常のEクラスなら540リットルの容量を持つところが370リットルとかなり小さくなっている。
その昔トヨタのエンジニアが言っていたように、エンジンがかかった時の振動をどの程度手名付けているかが実は興味の対象の一番大きな部分であったのだが、結論から言うと、手名付けたどころか見事にモノにしてくれていた。
ヨーロッパ系というか、PHEVの基本的な走りはデフォルトで乗る限り、まずは貯まっている電気を使ってEV走行をする。特に加速が欲しくてアクセルをドバっと開くような時は別だが、そうでない限りこのE350deもするすると電気だけで動いていく。そして電気が途切れると、今度は内燃機関が顔を出すのだが、途切れると言ってもゼロになるわけではないから、信号待ちからの発進などはやはり電気で動く。
新しい「OM654」の呼称を持つディーゼルユニットは、すでにEクラスのオールテレインなどで体験済み。その卓越した静粛性やスムーズネスと異様なまでに高かった燃費性能は、恐らくこのE350deにも引き継がれているはずで、燃費の計測こそできなかったが、その卓越したスムーズネスと静粛性は今回も体験できた。
◆車重などものともしない700Nm
勿論ガソリンエンジンと組み合わされたハイブリッドより明確に内燃機関が主張することは避けられない。それでも、既存の他メーカーディーゼルと比べたら間違いなく静かでスムーズである。だから、スーガラガラガラ…ではなく音のイメージとしてはスー…ゴーという感じ。勿論ここでのスーは電動車の限りなく無音な感じをイメージし、ガラガラは一般的なディーゼルエンジン車のそれである。
それにしても700Nmのトルク感は大したもので、残念ながら車重も明らかにされていないこのクルマが果たしてどの程度の車重かは推測の域を出ないが、まあ、車重などものともしないと言っておこう。
近年メルセデスは電動化したモデルを「EQパワー」などと呼び、ピュアEVをEQ〇〇という風に命名していることはご存知の通り。そしてこのE350deもこのEQパワー組で、システムを始動させるとメーターに大きくEQと表示される。ヨーロッパは例のディーゼルゲートの結果、急速にディーゼル市場がシュリンクし、今や電動化は最先端の技術としてメルセデスの場合も益々EQが増えていくことは間違いない。
燃料タンク容量も既存の例えば『E220d』と比べても6リットル少ない60リットルきっかりだが、航続距離は恐らく相殺しておつりがくるものと思われる。PHEVとしては個人的に究極の形がこれだと思う。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★
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フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、その後ドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来42年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。 また、現在は企業向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。
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