ホンダ N-WGN 新型試乗 ホンダの軽が欲しいなら、まずこれを検討すべき…渡辺陽一郎

ホンダ N-WGN 新型
2019年に国内で最も多く売られたクルマはホンダ『N-BOX』だった。1か月平均で2万1125台を届け出して、2位になったダイハツ『タント』の1万4608台に大差を付けている。3位はスズキ『スペーシア』だから、今の国内販売の上位3車は、全高が1700mmを超えるスライドドアを備えた軽自動車で占められる。

しかしN-BOXの購入を考えた時には、『N-WGN』も検討したい。設計がN-BOXよりも新しく、機能のバランスも優れているからだ。


◆後席の居住性は軽の最高水準

N-WGNの全高はN-BOXよりも100mm以上低く、後席を畳んで自転車などを積むことは難しいが、荷室の床面地上高はN-BOXと同じく490mmと低い。荷物を積みやすく、荷室は上下2段に分割して使えるから便利だ。

後席の下にはN-WGNならではのワイドなトレイが装着され、傘などを収納できる。このトレイの装着でシートアレンジは単純化されたが、そのために後席の座り心地は、多彩な機能を備えたN-BOXよりも柔軟で快適だ。N-WGNの後席の居住性は、数ある軽自動車の中でも最高水準になる。


◆パワー不足も感じるが、安定性に優れている

動力性能は、車両重量の割に排気量が660ccと小さく、幅広い回転域でパワー不足を感じる。それでも背の高い軽自動車の中では、余裕を持たせた。4000回転を超えた領域の吹き上がりも活発だ。

プラットフォームや足まわりは、ボディがさらに重く背の高いN-BOXと共通だから、走行安定性が優れている。峠道などを走ると少々曲がりにくく、もう少し機敏に回り込んで良いと思うが、直進時を含めて安定性は良好だ。

乗り心地は低速度域で少し硬いが、全高を1600~1700mmに設定した軽自動車の中では優れた部類に入る。


◆ホンダの軽が欲しいなら

そしてホンダセンシングは、歩行者/自転車/自動車を検知して、衝突被害軽減ブレーキを作動させる。車間距離を自動制御できるクルーズコントロールは、N-BOXと違って全車速追従型だ。パーキングブレーキが電動式だから、先行車に追従して停車した後、停車時間が長引いた時はパーキングブレーキを自動的に作動させられる。

このようにN-WGNは、機能のバランスが優れ、価格はN-BOXに比べて15~20万円ほど安い。ホンダの軽自動車が欲しいと思った時は、まずN-WGNを検討して、荷室が狭いと感じたりスライドドアが欲しい時に選択肢をN-BOXまで広げると良いだろう。



■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★★

渡辺陽一郎|カーライフ・ジャーナリスト
1961年に生まれ、1985年に自動車雑誌を扱う出版社に入社。編集者として購入ガイド誌、4WD誌、キャンピングカー誌などを手掛け、10年ほど編集長を務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様に怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も大切と考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を心掛けている。

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