【スズキ フロンクス 新型試乗】初代エスクードのあのサイズが使いやすかったのに、と思っていたら…岩貞るみこ
今回のワンポイント確認は、「インドなどで販売されて人気の『フロンクス』。日本発売前には、扱いやすくと仕立て直されたけれど、本当に日本の道を走りやすいのか」である。
昔話で申し訳ないが、1988年に登場したコンパクトSUVである初代『エスクード』は、当時、クルマを能動的に買い始めた女性にまさにジャストサイズなクルマだった。同じく1988年に発行されて爆発的に売れていた女性誌でクルマ連載をさせてもらっていた私は、「抜群のサイズ感であり、シフトレバーの握りがまるっこくて、まるでドラえもんと握手をしているみたいだ」とかなんとか書いた覚えがある。だというのに、エスクードはその後、どんどん大きく成長しちゃって。あーあ、がっかり。あのサイズが使いやすかったのに……の時代が続いていた。
2023年にインドなどでフロンクスが発売された当時、日本でも……と密かに念を送っていたのだが、ついに昨年2024年秋、日本でも販売が開始された。
◆写真<実際に見たとき<乗り回したとき
まず、最初に伝えたいことは、
ネットなどで見る写真<実際に見たとき<乗り回したとき
という順序構造だということだ。ネット上にある写真やカタログなんかより、圧倒的に実物のほうが伸びやかでかっこよく、だけど乗り回すとその好印象を上回る取り回しのよさを実感できる。
全長は3995mmというコンパクトさなのに、伸びやかなデザイン。顔立ちも勇ましく堂々としていて、ふたクラスくらい上の風格を感じさせる。というのに、高さは1550mmなので、いわゆる市街地にありがちな立体駐車場でも受け入れてもらえるし。幅は1765mmなので(昨今、衝突安全性だかアメリカ人に合わせたのか知らないけれど、1800mm越えが蔓延するなかで)セルフ洗車でブラシのある機械に向かって胃がめくれそうになりながら前進させている人も、このサイズならそんな不要なストレスは味わうことはない。
日常的に乗れば乗るほど、本当に扱いやすいサイズだと実感するのである。
◆重厚感がある運転席まわり、乗降時には「頭」に注意
運転席まわりのデザインは重厚感があり、これがなぜかとても落ち着く。骨太なデザインでも圧迫感はなく、頼もしさが感じられるのである。後部座席も、天井&足元ともに十分な広さがあり、相変わらず身長が縮まず170cm越えの私でもゆったりと座っていることができる。
ただし、デザイン的に見た目は優雅に大きく見えるのだが、実際はきゅっとコンパクトでドアの開口部が低いため、視覚効果で惑わされるタイプの人は、乗り降りのときに頭をぶつけないよう注意が必要だ。
マイルドハイブリッドゆえに、出だしの加速は滑らかに走る。車線逸脱防止機能は、周囲の状況に応じて40km/hから作動するため、かなりぐいぐいとハンドルを修正してくれ、最初はちょっと違和感を覚えるかもしれないけれど、相棒になって慣れてくると、あうんの呼吸で使えるようになってくるのも面白い。
走行モードは、エンジンスタートと共にエコモードなので、ここぞというときはスポーツモードにするのだが、このスポーツモード、時速ゼロからアクセルを踏んだ瞬間から、はじけるような加速を見せる。気を抜いていると取り残されるような元気のよさで、これぞスポーツという印象だ。
◆まさに「ザ・日本の道を走りやすいクルマ」
今回のワンポイント確認の、「日本で扱いやすくと仕立て直されたフロンクスは日本の道を本当に走りやすいのか」は、さすが軽自動車作り続けて日本の道を知り尽くしたスズキが作るコンパクトSUV。まさに、ザ・日本の道を走りやすいクルマ、あった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。
昔話で申し訳ないが、1988年に登場したコンパクトSUVである初代『エスクード』は、当時、クルマを能動的に買い始めた女性にまさにジャストサイズなクルマだった。同じく1988年に発行されて爆発的に売れていた女性誌でクルマ連載をさせてもらっていた私は、「抜群のサイズ感であり、シフトレバーの握りがまるっこくて、まるでドラえもんと握手をしているみたいだ」とかなんとか書いた覚えがある。だというのに、エスクードはその後、どんどん大きく成長しちゃって。あーあ、がっかり。あのサイズが使いやすかったのに……の時代が続いていた。
2023年にインドなどでフロンクスが発売された当時、日本でも……と密かに念を送っていたのだが、ついに昨年2024年秋、日本でも販売が開始された。
◆写真<実際に見たとき<乗り回したとき
まず、最初に伝えたいことは、
ネットなどで見る写真<実際に見たとき<乗り回したとき
という順序構造だということだ。ネット上にある写真やカタログなんかより、圧倒的に実物のほうが伸びやかでかっこよく、だけど乗り回すとその好印象を上回る取り回しのよさを実感できる。
全長は3995mmというコンパクトさなのに、伸びやかなデザイン。顔立ちも勇ましく堂々としていて、ふたクラスくらい上の風格を感じさせる。というのに、高さは1550mmなので、いわゆる市街地にありがちな立体駐車場でも受け入れてもらえるし。幅は1765mmなので(昨今、衝突安全性だかアメリカ人に合わせたのか知らないけれど、1800mm越えが蔓延するなかで)セルフ洗車でブラシのある機械に向かって胃がめくれそうになりながら前進させている人も、このサイズならそんな不要なストレスは味わうことはない。
日常的に乗れば乗るほど、本当に扱いやすいサイズだと実感するのである。
◆重厚感がある運転席まわり、乗降時には「頭」に注意
運転席まわりのデザインは重厚感があり、これがなぜかとても落ち着く。骨太なデザインでも圧迫感はなく、頼もしさが感じられるのである。後部座席も、天井&足元ともに十分な広さがあり、相変わらず身長が縮まず170cm越えの私でもゆったりと座っていることができる。
ただし、デザイン的に見た目は優雅に大きく見えるのだが、実際はきゅっとコンパクトでドアの開口部が低いため、視覚効果で惑わされるタイプの人は、乗り降りのときに頭をぶつけないよう注意が必要だ。
マイルドハイブリッドゆえに、出だしの加速は滑らかに走る。車線逸脱防止機能は、周囲の状況に応じて40km/hから作動するため、かなりぐいぐいとハンドルを修正してくれ、最初はちょっと違和感を覚えるかもしれないけれど、相棒になって慣れてくると、あうんの呼吸で使えるようになってくるのも面白い。
走行モードは、エンジンスタートと共にエコモードなので、ここぞというときはスポーツモードにするのだが、このスポーツモード、時速ゼロからアクセルを踏んだ瞬間から、はじけるような加速を見せる。気を抜いていると取り残されるような元気のよさで、これぞスポーツという印象だ。
◆まさに「ザ・日本の道を走りやすいクルマ」
今回のワンポイント確認の、「日本で扱いやすくと仕立て直されたフロンクスは日本の道を本当に走りやすいのか」は、さすが軽自動車作り続けて日本の道を知り尽くしたスズキが作るコンパクトSUV。まさに、ザ・日本の道を走りやすいクルマ、あった。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
オススメ度:★★★★
岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。
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