【試乗記】ホンダN-WGNカスタムL・ターボ Honda SENSING(FF/CVT)
- ホンダN-WGNカスタムL・ターボ Honda SENSING(FF/CVT)
指折り数えて待つが吉
新型「N-WGN」の仕上がりにはスキがない。さすが軽自動車市場を席巻するホンダの最新作といえる仕上がりだ。クルマの出来栄えをリポートするとともに、ヒット作ばかりの「N」シリーズを生み出す、ホンダのクルマづくり・人づくりの最前線を紹介する。
人騒がせなEPB
新型N-WGNといえば、今年2019年8月に発売となり、発売2週間で受注2万台突破……と、スタートダッシュにも成功した。各メディアでの評価も上々である。しかし、すでに一般の経済系ニュースでも取り上げられているが、2019年11月現在、その生産が停止している。
キッカケは出荷前検査で電動パーキングブレーキ(EPB)に警告灯の異常点灯が見つかったことだ。しかも、その件をサプライヤーに確認している最中に、同部品を使う他社製品で別の不具合が判明したこともあって、対策に時間がかかっているという。
さらに、今秋に発売予定だった新型「フィット」にも同じ部品が使われたために、ホンダのEPB問題はさらに拡大。ついには、八郷隆弘社長が10月23日の東京モーターショープレスデーで説明する事態になった。
八郷社長によると、この11月に発売予定だった新型フィットはEPBを代替部品に(正確には、問題となっているドラム式をやめて、当初は上級モデル専用だったディスク式に統一)することで、あらためて2020年2月に発売する。また、N-WGNについては、部品供給を整えて、年明けの2020年はじめにも生産再開する見通し……とのことである。
そういえば、EPBを軽自動車(以下、軽)に初めて持ち込んだのもホンダだった。2014年末に「N-BOXスラッシュ」で軽初のEPBを商品化した際は「力の弱い女性でもスマートにあつかえます」というアピールが第一だったが、それは同時に世界初のドラム式EPBでもあった。
当時はコストのわりにメリットもさほど大きくなさそうだったEPBをあえて採用したのも、今から思えば新型N-WGNへの布石だった?……とは、さすがに妄想がすぎるだろうか(EPBのサプライヤーも両車で異なるらしいし)。
キッカケは出荷前検査で電動パーキングブレーキ(EPB)に警告灯の異常点灯が見つかったことだ。しかも、その件をサプライヤーに確認している最中に、同部品を使う他社製品で別の不具合が判明したこともあって、対策に時間がかかっているという。
さらに、今秋に発売予定だった新型「フィット」にも同じ部品が使われたために、ホンダのEPB問題はさらに拡大。ついには、八郷隆弘社長が10月23日の東京モーターショープレスデーで説明する事態になった。
八郷社長によると、この11月に発売予定だった新型フィットはEPBを代替部品に(正確には、問題となっているドラム式をやめて、当初は上級モデル専用だったディスク式に統一)することで、あらためて2020年2月に発売する。また、N-WGNについては、部品供給を整えて、年明けの2020年はじめにも生産再開する見通し……とのことである。
そういえば、EPBを軽自動車(以下、軽)に初めて持ち込んだのもホンダだった。2014年末に「N-BOXスラッシュ」で軽初のEPBを商品化した際は「力の弱い女性でもスマートにあつかえます」というアピールが第一だったが、それは同時に世界初のドラム式EPBでもあった。
当時はコストのわりにメリットもさほど大きくなさそうだったEPBをあえて採用したのも、今から思えば新型N-WGNへの布石だった?……とは、さすがに妄想がすぎるだろうか(EPBのサプライヤーも両車で異なるらしいし)。
大活躍のEPB
なにはともあれ、N-WGNの生産停止当初はウワサがウワサを呼んでいたので、公式な見通しが発表されたことは、現在納車待ちの顧客にとっても、これからオーダーしようとしていた潜在顧客にとっても朗報である。
そんなEPBだが、それは新型N-WGNの高い商品力を支えるキモのひとつでもある。そして、軽ではこれらホンダの2台(「N-BOX」はいまだ足踏み式)に「日産デイズ(「三菱eKワゴン/eKクロス」という兄弟車を含む)」を加えた実質3車種にしか搭載例のない贅沢品でもある。
N-BOXスラッシュでは“労力軽減装備”にすぎなかったEPBも、この2019年に登場した新型N-WGNと新型デイズ(とその兄弟車)では果たす役割が大きく変わっている。最新のEPB最大の任務はやはり、全車速対応アダプティブクルーズコントロール(ACC)における渋滞時の停車と発進アシストにある。新型N-WGNではEPBも「ホンダセンシング」も全車標準装備なので判別しにくいが、デイズ(とその兄弟車)のEPBはあくまで自慢の「プロパイロット(あるいはMIパイロット)」装着車専用の抱き合わせ装備なのだ。
全車速対応ACCに車線中央を積極的に維持する「レーンキープアシスト」を組み合わせたN-WGNの“自動運転”感は、これまで刺激的なキャッチフレーズで宣伝されてきた日産プロパイロットとほとんど差がない。混雑した高速道路での、不規則な加減速をともなう日本的な交通の流れにもピタリと追従して、ステアリングに軽く手を添えているだけで車線内にレールがあるかのように走る。
こういう場面では、今回の「ターボ」のように低速から滑らかに強力トルクを供出するパワートレインもドンピシャ。それに、この安定した車線維持能力は単純に制御システムの性能だけでなく、間違いなく軽トップといえるシャシーそのものの直進性が大きく寄与しているのは容易に想像がつく。
そんなEPBだが、それは新型N-WGNの高い商品力を支えるキモのひとつでもある。そして、軽ではこれらホンダの2台(「N-BOX」はいまだ足踏み式)に「日産デイズ(「三菱eKワゴン/eKクロス」という兄弟車を含む)」を加えた実質3車種にしか搭載例のない贅沢品でもある。
N-BOXスラッシュでは“労力軽減装備”にすぎなかったEPBも、この2019年に登場した新型N-WGNと新型デイズ(とその兄弟車)では果たす役割が大きく変わっている。最新のEPB最大の任務はやはり、全車速対応アダプティブクルーズコントロール(ACC)における渋滞時の停車と発進アシストにある。新型N-WGNではEPBも「ホンダセンシング」も全車標準装備なので判別しにくいが、デイズ(とその兄弟車)のEPBはあくまで自慢の「プロパイロット(あるいはMIパイロット)」装着車専用の抱き合わせ装備なのだ。
全車速対応ACCに車線中央を積極的に維持する「レーンキープアシスト」を組み合わせたN-WGNの“自動運転”感は、これまで刺激的なキャッチフレーズで宣伝されてきた日産プロパイロットとほとんど差がない。混雑した高速道路での、不規則な加減速をともなう日本的な交通の流れにもピタリと追従して、ステアリングに軽く手を添えているだけで車線内にレールがあるかのように走る。
こういう場面では、今回の「ターボ」のように低速から滑らかに強力トルクを供出するパワートレインもドンピシャ。それに、この安定した車線維持能力は単純に制御システムの性能だけでなく、間違いなく軽トップといえるシャシーそのものの直進性が大きく寄与しているのは容易に想像がつく。
ケチのつけどころがない!
今どきの軽ハイトワゴンが、室内空間だけでいえば高級サルーンなみに広いのはいうまでもない。新型N-WGNの内装ではほかにも、毛織物があしらわれて触感のいいドアトリムやメーター内のカラー液晶など、完全にひとクラス上のコンパクトカーレベルで感心する部分は多い。
しかし、ステアリングにリーチ方向のテレスコピック調整が追加されたと同時に、前席のシートスライドが後方に延長された点にいたっては、身長178cmで手足の短い日本人体形の筆者には感心の域を超えて、心にしみる改良である。これまでの軽乗用車ではほぼ例外なく「あと1ノッチ後に下げられれば……」とツッコミを入れていたが、この新型N-WGNでは、最後端までまだ1ノッチ残した位置でドラポジが決まった。
それに加えて、新型N-WGNは印象的なほどビターッとまっすぐ走り、クルマまかせのACC走行でも高速交通の流れに余裕しゃくしゃくで追従するほどパワフル。ターボエンジンが7000rpm(!)のトップエンドまで吹け上がっても、あるいはザラザラの荒れた舗装路面上でもはっきりと静かである。
高速でも目地段差をまろやかにいなし、路面の凹凸をある種の潤いをもって吸収して、ナロー感など微塵も感じさせずに踏ん張るその乗り味には“しっとり”や“重厚”、さらに“フラット”といった軽らしからぬ形容表現ばかりが思い浮かぶ。山坂道での走りもフトコロ深く、リアがドシッと安定した軸になりながら、立ち上がりでわずかにお尻を沈める旋回姿勢と安定性は素直に素晴らしい。
変速機のCVTもさらに熟成されて、きちんとブレーキを踏んであげるだけで“待ってました!”とばかりに絶妙にレシオを低める「ステップダウンシフト制御」が組み込まれた。これに慣れるとエンジンブレーキも思いどおりで、市街地から山道までとても便利だ。
しかし、ステアリングにリーチ方向のテレスコピック調整が追加されたと同時に、前席のシートスライドが後方に延長された点にいたっては、身長178cmで手足の短い日本人体形の筆者には感心の域を超えて、心にしみる改良である。これまでの軽乗用車ではほぼ例外なく「あと1ノッチ後に下げられれば……」とツッコミを入れていたが、この新型N-WGNでは、最後端までまだ1ノッチ残した位置でドラポジが決まった。
それに加えて、新型N-WGNは印象的なほどビターッとまっすぐ走り、クルマまかせのACC走行でも高速交通の流れに余裕しゃくしゃくで追従するほどパワフル。ターボエンジンが7000rpm(!)のトップエンドまで吹け上がっても、あるいはザラザラの荒れた舗装路面上でもはっきりと静かである。
高速でも目地段差をまろやかにいなし、路面の凹凸をある種の潤いをもって吸収して、ナロー感など微塵も感じさせずに踏ん張るその乗り味には“しっとり”や“重厚”、さらに“フラット”といった軽らしからぬ形容表現ばかりが思い浮かぶ。山坂道での走りもフトコロ深く、リアがドシッと安定した軸になりながら、立ち上がりでわずかにお尻を沈める旋回姿勢と安定性は素直に素晴らしい。
変速機のCVTもさらに熟成されて、きちんとブレーキを踏んであげるだけで“待ってました!”とばかりに絶妙にレシオを低める「ステップダウンシフト制御」が組み込まれた。これに慣れるとエンジンブレーキも思いどおりで、市街地から山道までとても便利だ。
凝りすぎた機能はいらない
N-WGNはいうまでもなく、最新Nシリーズ共通のプラットフォームを使ったハイトワゴンである。先代モデルからは骨格から完全刷新されたが、特徴的なセンタータンクレイアウトによる車体後半の低床設計は健在だ。
ホンダの担当者によると、N-BOXのようなスーパーハイトワゴンと比較して、この種のハイトワゴンには情緒的なユーザーが明らかに少ないという。価格や使い勝手にとてもシビアで、1台のクルマに長く乗る傾向が強い。また、毎日の道具として使い倒すので、使い勝手にはうるさいが、複雑なシートアレンジや凝りすぎた機能は喜ばれないともいう。
先代の荷室は一見すると他社と同じようでありながら、じつは床下に低床プラットフォームならではの大容量収納が隠されていたのだが、ユーザーからは「そもそも床下に収納があるなんて知らなかった」という声もあったとか。そこで新型ではテールゲートを開けただけですべてが分かる構造にした。
耐荷重50kgのフロアボードで仕切られる1階と2階の寸法も絶妙なサイジングである。たとえば1階は週末にまとめ買いしがちな缶ビールやペットボトルの段ボール箱がピタリと収まる形状になっている。そして2階にはイ〇ンの買い物カゴを2個、横にならべて積めるようになっている。想定カゴがなぜイオ〇なのかというと、国内の数ある大手スーパーの純正カゴのなかでも〇オンのそれがもっとも大きいからだそうだ。
さらにフロアボードをはずせば大型スーツケースや灯油タンクが縦に4個ならべられるし、後席シートバックを倒さずともタイヤ4本がピタリとおさまる。とくにタイヤ4本をシートも倒さずに積めるのは、毎年スタッドレスを引っ張り出して履き替える積雪地ユーザーには、目からウロコの便利さだろう。N-WGNにはそういうユーザー目線の工夫があふれる。
ホンダの担当者によると、N-BOXのようなスーパーハイトワゴンと比較して、この種のハイトワゴンには情緒的なユーザーが明らかに少ないという。価格や使い勝手にとてもシビアで、1台のクルマに長く乗る傾向が強い。また、毎日の道具として使い倒すので、使い勝手にはうるさいが、複雑なシートアレンジや凝りすぎた機能は喜ばれないともいう。
先代の荷室は一見すると他社と同じようでありながら、じつは床下に低床プラットフォームならではの大容量収納が隠されていたのだが、ユーザーからは「そもそも床下に収納があるなんて知らなかった」という声もあったとか。そこで新型ではテールゲートを開けただけですべてが分かる構造にした。
耐荷重50kgのフロアボードで仕切られる1階と2階の寸法も絶妙なサイジングである。たとえば1階は週末にまとめ買いしがちな缶ビールやペットボトルの段ボール箱がピタリと収まる形状になっている。そして2階にはイ〇ンの買い物カゴを2個、横にならべて積めるようになっている。想定カゴがなぜイオ〇なのかというと、国内の数ある大手スーパーの純正カゴのなかでも〇オンのそれがもっとも大きいからだそうだ。
さらにフロアボードをはずせば大型スーツケースや灯油タンクが縦に4個ならべられるし、後席シートバックを倒さずともタイヤ4本がピタリとおさまる。とくにタイヤ4本をシートも倒さずに積めるのは、毎年スタッドレスを引っ張り出して履き替える積雪地ユーザーには、目からウロコの便利さだろう。N-WGNにはそういうユーザー目線の工夫があふれる。
シリーズ開発の強み
「軽しか売れない」というのが現代ニッポン自動車市場の悩みというが、こんなに機能も性能も質感も完璧(?)で日本での使い勝手バツグンのスモールカーが200万円で買えて、下手な登録車よりリセールもいいのだから、売れるのは当然である。200万円というと従来の軽イメージでは高いかもしれないが、クルマそのもののデキを見れば絶対的には高くない。
そういう日本市場の現状を真正面から受け入れて、そこで覇権を取るべく開発されたのがNシリーズである。そんなNシリーズが例外なくよくデキているのは、まあ「つくり手がそれだけ頑張っているから」なのだが、もうひとつ、ホンダのNはすべての技術要素やコンポーネントを高度に共通化した“シリーズ開発”であることも大きい。
ほかにもマツダの新世代商品群もシリーズ開発の典型であり、トヨタの「TNGA」やフォルクスワーゲンの「MQB」なども広義ではシリーズ開発といえる。シリーズ開発では、ある商品で開発した技術や部品を次の商品にそのまま活かせるようにモジュール化するのがキモなので、余計なコストや時間がかからず、必然的に「最新の○○は最良の○○」となりやすいのもメリットである。
よって、今回のN-WGNの各部も、これまでのN-BOXや「N-VAN」で培われた技術や知見がそのまま土台となり、さらに進化した状態で仕上がっている。たとえば、パワートレインはこれまでのNでもっともリニアで使いやすく、先進安全のホンダセンシングは史上もっとも高性能かつ多機能で、ダイナミクス性能もこれまでに輪をかけて優秀である。しかも、N-WGNは(旧世代の「N-ONE」を除く)今のNシリーズでは、当然のごとく、もっとも低重心で最軽量、構造的に剛性も高い。粒ぞろいのNシリーズでも、N-WGNの走りが群をぬいて優秀なのは当然といえば当然なのだ。
そういう日本市場の現状を真正面から受け入れて、そこで覇権を取るべく開発されたのがNシリーズである。そんなNシリーズが例外なくよくデキているのは、まあ「つくり手がそれだけ頑張っているから」なのだが、もうひとつ、ホンダのNはすべての技術要素やコンポーネントを高度に共通化した“シリーズ開発”であることも大きい。
ほかにもマツダの新世代商品群もシリーズ開発の典型であり、トヨタの「TNGA」やフォルクスワーゲンの「MQB」なども広義ではシリーズ開発といえる。シリーズ開発では、ある商品で開発した技術や部品を次の商品にそのまま活かせるようにモジュール化するのがキモなので、余計なコストや時間がかからず、必然的に「最新の○○は最良の○○」となりやすいのもメリットである。
よって、今回のN-WGNの各部も、これまでのN-BOXや「N-VAN」で培われた技術や知見がそのまま土台となり、さらに進化した状態で仕上がっている。たとえば、パワートレインはこれまでのNでもっともリニアで使いやすく、先進安全のホンダセンシングは史上もっとも高性能かつ多機能で、ダイナミクス性能もこれまでに輪をかけて優秀である。しかも、N-WGNは(旧世代の「N-ONE」を除く)今のNシリーズでは、当然のごとく、もっとも低重心で最軽量、構造的に剛性も高い。粒ぞろいのNシリーズでも、N-WGNの走りが群をぬいて優秀なのは当然といえば当然なのだ。
技術も人材もシリーズ化
Nシリーズの企画開発チームは現在、その生産を担当する鈴鹿製作所に、まとめてデスクを置いている。Nシリーズの開発者や販売戦略家たちは担当車種を問わずにいつでも顔を合わせられて、かつ生産現場とも密に連絡が取れる組織になっているわけだ。
新型N-WGNの現開発責任者は、『webCG』でもインタビューを受けていた古舘 茂氏だが、実際の開発作業最盛期に指揮を執っていたのは前任の白土清成氏(現ホンダアクセス社長)である。ただ、古舘氏も当時はN-VANの開発をしながら、白土氏のN-WGNチームの動向は把握していたし、鈴鹿では「今後のNはこうなるべし」的な話し合いが、車種担当の分け隔てなく頻繁におこなわれているという。だから、Nシリーズは途中で開発責任者が交代しても、開発方針がブレない。
もっといえば、前任の白土氏はNシリーズの仕掛け人だった浅木泰昭氏(現在はHRD Sakuraセンター長としてF1活動を率いる)の右腕として働いていた。このように、技術も人材も“シリーズ”として連綿と受け継いでいるのが、今のNの強みといえる。
ただ、ホンダ本来のモノづくりの伝統は、良くも悪くも、シリーズ開発とは真逆である。個々の技術者は負けず嫌いが多く、パワートレインやプラットフォームを表向きは流用しつつも、細部の性能や独自性にこだわり、スキを見ては専用開発をしたがる。そういう態度はある部分での性能追求には欠かせないし、ファンにはたまらないホンダイズムではあるのだが、どうしてもコスト高になりやすい。
……と、乗っているだけで、そんなことにまで思いがいたってしまう新型N-WGNは、それだけ見事なまでにデキのいい感銘的なクルマである。走りや使い勝手だけでなく、高速道路や山坂道を遠慮なく踏みまくって15.6km/リッター(満タン法)という実燃費は素直に優秀だ。
今回の生産停止は不具合のあるクルマが出回ったわけでもなく、ホンダもある意味で被害者である。ファンなら期待しつつ生産再開を待つのが正しい姿だろう。新型N-WGNにあえて待つ甲斐があるのは間違いない。
(文=佐野弘宗/写真=向後一宏/編集=藤沢 勝)
新型N-WGNの現開発責任者は、『webCG』でもインタビューを受けていた古舘 茂氏だが、実際の開発作業最盛期に指揮を執っていたのは前任の白土清成氏(現ホンダアクセス社長)である。ただ、古舘氏も当時はN-VANの開発をしながら、白土氏のN-WGNチームの動向は把握していたし、鈴鹿では「今後のNはこうなるべし」的な話し合いが、車種担当の分け隔てなく頻繁におこなわれているという。だから、Nシリーズは途中で開発責任者が交代しても、開発方針がブレない。
もっといえば、前任の白土氏はNシリーズの仕掛け人だった浅木泰昭氏(現在はHRD Sakuraセンター長としてF1活動を率いる)の右腕として働いていた。このように、技術も人材も“シリーズ”として連綿と受け継いでいるのが、今のNの強みといえる。
ただ、ホンダ本来のモノづくりの伝統は、良くも悪くも、シリーズ開発とは真逆である。個々の技術者は負けず嫌いが多く、パワートレインやプラットフォームを表向きは流用しつつも、細部の性能や独自性にこだわり、スキを見ては専用開発をしたがる。そういう態度はある部分での性能追求には欠かせないし、ファンにはたまらないホンダイズムではあるのだが、どうしてもコスト高になりやすい。
……と、乗っているだけで、そんなことにまで思いがいたってしまう新型N-WGNは、それだけ見事なまでにデキのいい感銘的なクルマである。走りや使い勝手だけでなく、高速道路や山坂道を遠慮なく踏みまくって15.6km/リッター(満タン法)という実燃費は素直に優秀だ。
今回の生産停止は不具合のあるクルマが出回ったわけでもなく、ホンダもある意味で被害者である。ファンなら期待しつつ生産再開を待つのが正しい姿だろう。新型N-WGNにあえて待つ甲斐があるのは間違いない。
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