イギリスに数多い小規模メーカーの中でも、戦前から車を造っている古参株であるACカーズ・リミテッド。戦後は1953年からACエース、54年にはそのクーペ版のアシーカ、59年にはグレイハウンドといった高級スポーツカーを生産していた。60年代にキャロル・シェルビーの発案から生まれたACコブラの成功により、一躍世界中にその名を知られることとなった。ACエースのシャシーに大排気量のアメリカンV8エンジンを搭載した、きわめて高性能ながら野蛮なロードスターだったそのACコブラ427をベースに、65年のロンドンショーでデビューしたモデルがAC427コンバーチブルである。これは150mm延ばしたコブラ用鋼管フレームにコブラ427と同じ427キュービックインチ（6997cc）のフォードV8ユニットを搭載、イタリアのピエトロ・フルアの手になる豪華な2座オープンボディを架装したものであった。サスペンションも同じくコブラから受け継いだ前後ダブルウィッシュボーン／コイルの全輪独立懸架。ブレーキは全輪サーボ付きのディスクで、トランスミッションは4速MTおよび3速ATが用意された。67年にはクローズドボディのファストバックが加わり、エンジンはソリッドタペットからハイドローリックタペットを持つ428（7003cc）に換えられ、いくぶんおとなしくなった。当時イギリスでも500万円を超す高価格車で、生産台数はコンバーチブルが29台、ファストバックが51台と少ない。

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