
近代イタリアに於いて、社会的にも政治的にも常に問題となってきた南北の経済的格差を埋めることは、本来の目的である傘下の産業が戦後の好況下で復興を遂げ、今後の存在の意義を問われていたI.R.I.(産業復興公社)にとっては自らの存亡を賭けた大事業となっていた。アルファスッド・プロジェクトは南イタリアのナポリ近郊、ポミリャーノ・ダルコに工場を建設、そこで国営アルファ・ロメオのベーシックカーを生産して貧しいこの地域の雇用を拡大しようという目的であった。そのための車は、当時アルファ・ロメオがまだ市販乗用車としては経験のなかった前輪駆動とすることが決定。そこで白羽の矢が立てられたのは、900ccに縮小されたアルファ・ツインカムで前輪を駆動する試作車('54年)と、その経験を生かしたFF商用車で既に前輪駆動の経験があったルドルフ・ルスカである。ポルシェ博士の愛弟子ルスカはこのチャンスを生かし、実用車としての資質と、アルファ・ロメオのブランド名に相応しいスポーティーさを兼ね備えた傑作を生み出す。一説には日本のスバル1000用エンジンの影響を受けたといわれる低重心の水平対向4気筒エンジン、特にフロントはインボードとされた4輪ディスクブレーキなど、ルスカは安価なベーシックカーにはもったいないほどに高度なメカニズムを惜し気もなく投入、その結果この上なくシャープなハンドリングを手に入れていた。ボディデザインは、かつて名作ジュリア・スプリントGTを手がけたジウジアーロが率いるイタル・デザインに委ねられた。こうしてI.R.I.の期待を一身に背負って'71年にデビューしたアルファスッドだが、ルスカによる基本設計の素晴らしさとは裏腹に、こちらも特にデビュー当初のモデルは当時のイタリアの労働問題が一因となるフィッティングの悪さ、そして錆と腐食の問題に悩まされ、“ナポリ製(イタリア俗語ではまがい物という意味もある)”のネガティブなイメージは最後まで好転しなかった。当初1186ccでスタートした超ショートストロークのフラット4エンジンは、まずストロークの拡大で1286cc('74年)、1351cc('77年)、次いでボアも拡大された1490cc('78年)と拡大の一途を辿る。'83年に後継車33がデビュー、アルファスッドは100万台余りを生産して翌'84年にフェードアウトした。
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| グレード名 | 型式 | 排気量 | ドア数 | シフト | 駆動方式 ※1 | 定員 | 燃費 ※2 | 価格 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| (名称なし) | - | 1186cc | 4 | 4速MT フロア | FF | 5 | - | - |
| ti | - | 1186cc | 2/4 | 5速MT | FF | 5 | - | - |
1.ドライバーが任意で駆動を2輪・4輪を切り替える事が出来る4WDを「パートタイム」、車両の設定で常時又は可変又は切替えを行う事を主とするものを「フルタイム」として表示しています。
2.燃費表示はWLTCモード、10・15モード又は10モード、JC08モードのいずれかに基づいた試験上の数値であり、実際の数値は走行条件などにより異なります。
価格は販売当時のメーカー希望小売価格で参考価格です。消費税率は価格情報登録または更新時点の税率です。
販売期間中に消費税率が変更された車種で、消費税率変更前の価格が表示される場合があります。
実際の販売価格につきましては、販売店におたずねください。
2004年4月以降の発売車種につきましては、車両本体価格と消費税相当額(地方消費税額を含む)を含んだ総額表示(内税)となります。
2004年3月以前に発売されたモデルの価格は、消費税込価格と消費税抜価格が混在しています。
どちらの価格であるかは、グレード詳細画面にてご確認ください。
保険料、税金(除く消費税)、登録料、リサイクル料金などの諸費用は別途必要となります。