AMCに於けるインターミディエートクラスに相当するマタドールは、2ドアハードトップ、4ドアセダン、エステートワゴンという3機種のバリエーション展開と共に、'70年に最終モデルに進化を遂げる。3種のボディ、またメカニズム共に'70年代のアメリカ車としては極めてコンべンショナルなもので、大きな人気を得るには到らなかった。'74年を持って同社のトップレンジ、フルサイズのアンバサダーが生産を終えたことで、マタドールは同社のフラッグシップの座を継承することになる。生産中は一貫して4.2リッターOHV6気筒エンジンが標準で、他に5リッター、及び5.9リッターのV8をオプションで選択可能であった。特に地味な印象の強かった2ドアハードトップは、'73年をもってフェードアウトした。'しかし、'74年には今度は“クーペ”として2ドアモデルが復活、セダン用より4インチ短縮された114インチのホイールベースを持つモノコックボディには、翌年のペーサーにもヒントを与えたようなモダーンで流麗なスタイリングが与えられた。クーペの投入で一時は善戦するものの、メーカーがヒット作ペーサーに完全依存する体質を作ってしまったために、そのあおりを食ったマタドールは次第に忘れられた存在となっていく。セダン、ワゴンは'75年のフェイスリフト以後、特に手を入れられることもなく、遂に1978年、大リストラの対象となったマタドール・シリーズはグレムリンなどとほぼ時を同じくして生産を中止した。

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