1978年夏、DB6以来途絶えていたアストン・マーティンのコンバーチブルモデルが、DB6ベースに使われた“ボランテ”の名称とともに、約10年ぶりに復活した。ベースとなったアストン・マーティンV8が、もともと強固なプラットフォームシャシーをもつため、オープン化に際しても、サイドシルをダブルスキンとしフロントピラー周辺に手を加えただけで、充分な剛性を確保していた。ボディ前半部はサルーンと同じだが、後半はルーフを取り去るとともにリアエンドを角張らせたため、トランクルームはサルーンより拡大された。充分な耐候性をもつ幌はパッド入りで、トランク内に設置されたモーターとオイルポンプによって開閉される。内装はシートをはじめあらゆるトリムにコノリーレザーが奢られ、ダッシュボードやコンソール、ドア内張にウォルナットが貼られている。これらはひと足遅れてシリーズ4以降のサルーンにも採用された。エンジンその他機構部分はV8サルーンに準ずるが、価格はそれより3割近く高い超高級車だった。ボランテは当時、オープンカーが消滅していたアメリカ市場を狙ったもので、本国イギリスやヨーロッパでは78年末からデリバリーされた。86年1月にV8がシリーズ5になった時にシリーズ2となり、86年10月には高性能版のバンテージ・ボランテが追加された。89年までノーマルのボランテが約810台、バンテージ・ボランテが116台生産された。

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