「マイカー時代」開拓の主役のひとつとなった日産の小型大衆車、ダットサン・サニーが発売されたのは1966年4月だった。2ドアセダンのみでスタートし、その1年後には4ドアセダンを追加設定。そして1968年3月に発売されたバリエーションが、このスポーティーな2ドアクーペ。実用車ながらも軽快さが身上のサニーに、ファストバックルーフのクリーンでスタイリッシュなボディを着せたことで、若者たちの人気を呼んだ。セダンと比べればファストバックのほかに、ウィンドシールドの傾斜を強め、サイドウィンドーをカーブドグラスとし、バンパー位置を高めるなどした。外形寸法は全長が50mm短く35mm背が低い、全長3770×全幅1445×全高1310mm。エンジンは4気筒OHVの1000ccでシングルキャブレター付と共通するが、圧縮比を8.5から9.0に高め、最高出力を56psから60psにチューンアップ。トランスミッションはサニー・スポーツと共通の4速マニュアル・フロアシフトのほか、3速オートマチックも選べた。カタログ値で最高速度は140km/hへ、0-400m加速は19.2秒へとそれぞれ若干向上していた。ただしブレーキは前後ともドラム、足回りはリーフにとどまる。オプションでウッドリムのステアリングホイールやチェック柄シート、タコメーターなど豊富に揃えたほか、シートベルトやヘッドレストも注文装備という時代だった。1970年1月、2世代目のクーペに生まれ変わる。

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