50年代に誕生した英国のスペシャリストカーであるフェアソープは、トライアンフや英国フォードのメカニカルコンポーネンツを使ったスポーツカーを、完成車またはキットで販売した。68年に登場したTX-GTは、独自の鋼管フレームにFRP製ボディを架装した2座クローズドクーペである。最大の特徴は左右の独立したトレーリングアームをトランスバースロッドで結ぶという、進歩的でユニークな後輪独立懸架で、コーナリングの際にもホイールはほぼ垂直を保ち、トラクションとグリップを最大限に発揮した。直6OHV1998cc・95PSエンジン、フルシンクロの4速ギアボックスは、いずれもトライアンフGT6からの流用である。ブレーキは前ディスク、後ろドラムと標準的なもの。69年にはクォーターウィンドーを拡大して視界を改善し、装備を充実させたマークIIに発展。同時により高性能版のTX-S／TX-SSが追加された。TX-Sは同じ2リッターユニットのチューンを114PSまで、TX-SSは142PSまで高めたものだが、後にTX-SSにはトライアンフTR6用の2.5リッター・インジェクションユニットも搭載された。また、より小さな1.3／1.5リッターのトライアンフ・ユニット搭載モデルや、トライアンフGT6のシャシーにフェアソープ製ボディを架装したモデルも少数ながら造られた。76年までの生産台数はTX-GT／S／SSを合わせて50台ほどだった。

全文を表示する

閉じる