フェラーリ308GTB／GTSシリーズは'75年のデビュー以来、この種のスーパースポーツとしては空前のヒット作となったが、主にエンジンの排ガス対策とそれを補うためのインジェクション化、4バルブ化などのパワーアップが繰り返されたのち、'85年のフランクフルトショーにてデビューした328シリーズに後を譲る。こうして生まれた328GTB／GTSは、シティユーズも充分こなせる扱いやすさと、エキサイティングなパフォーマンス、そして素晴らしいハンドリングも両立し、'80年代のミドル級スポーツとしては究極の一台となった。前年デビューしたテスタロッサに合わせてヘッドカバーを赤く塗られた90度V8・4OHCエンジンは、ボア×ストローク共に拡大、3185ccまで排気量アップされて、270PS（EC仕様）のパワーを発揮した。シャシーは角断面クロモリ鋼で組んだフレーム、4輪ダブルウィッシュボーン／コイルのサスペンションとも308のそれを踏襲、更にリファインを加えたもの。既にクラシカルなエレガンスも漂い始めていた美しいボディも、ディテールには大幅な変更を受けたが、基本的には308シリーズと何ら変わるものではなかった。ラジエターグリルはコンビネーションライトと共にバンパーとインテグレートされ、スマートながら迫力あるフロントマスクが実現した。インテリアは基本的なレイアウトは共通ながら、特にスイッチ類はほとんどリニューアルされ、格段にカラフルでモダーンな印象が強まった。'89年のフランクフルトショーでデビューした348tb／tsに後を譲ってカタログから消えるが、サイズ、パフォーマンス共に極めてリーズナブルな328シリーズは、現在でもクラシック・フェラーリの味わいを持つ最終期のモデルとして高い人気を誇っている。

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