我が国でも非常に人気の高い“チンクエチェント”ことヌォーヴァ（新）500の第二世代。1957年にデビューしたオリジナルモデルは、'55年にデビューし既に大ヒットを収めていた兄貴分600と共に、終戦以来経済的苦境にあったイタリア国内で隆盛を極めていた2輪スクーターや3／4輪のキャビンスクーターなどを一気に駆逐し、同国のベーシックトランスポーテーションの様相を塗り替えてしまった。こうして、イタリアに急速な勢いで浸透したヌォーヴァ500は、1960年に初の大規模なマイナーチェンジを受ける。500Dと呼ばれるマイナー版は、その2年前に追加された高性能版500スポルトから499.5ccまでアップされた排気量を受け継いだが、そのパワーはスポルトの21.５PSから18PSまでデチューンされていた。また、この500Dからはリアシートのバックレストが折りたたみ式となって、小さなボディに貴重なラゲッジスペースを提供した。'65年には懸案の駆動系が強化されると共に、安全性の見地から左右のドアが後ろ開きに改装された500Fに進化を果たす。ところで、500Dのデビューと時を同じくして、テールを延長する一方、直列2気筒のエンジンを前倒しにしてラゲッジスペースを稼ぎ出し、リアエンドにテールゲートを設けたワゴンバージョン、500ジャルディニエラも登場、イタリアに於けるミニマムコマーシャルカーとなった。

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