'50年代の純レーシングスポーツ、モンスターと呼ばれた450S直系のV8・4OHCツインプラグ・エンジンを搭載する超高性能で上質、そして極めて高価なスーパースポーツ。フェラーリ・スーパーアメリカの唯一のライバルである。1959年トリノショーに出品されたトゥーリング製ボディの第一号車には、450S用ユニットのボアを伸ばして排気量アップを図りつつ、ロードユーズを考慮して大幅なデチューンを施したV8・4OHCの4938ccで340PS／5800rpmを発揮するエンジンが搭載された。この1stモデルと同じ仕様で、'61年のトリノショーにはギア製のクーペ、ベルトーネ製のクーペが発表されるものの、それらはいずれも一品製作の域を大きく出るものではなかった。'62年以降、ミケロッティ・デザインでアレマーノがコーチワークしたクーペが一定数製作されるが、このクーペからはロングストローク化されたニューブロックに燃料噴射の組み合わせとなり、4941ccから325PS／5500rpmのパワーを発揮する5000GTI“インディアナポリス”に発展、更にその翌年には4輪ディスクブレーキと5速ミッションも与えられた。しかし、こういった変更があろうとも元より量産を見込んでいないイメージリーダー的超高級スーパースポーツの5000GTはすべて合わせても31台の製作に留まり、現代に至るまで伝説として語られるモデルとなった。写真はイランのパーレビ国王用のトゥーリング製ボディ。

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