'76年秋に発表、'79年頃からデリバリーが開始された三代目クアトロポルテは、'86年12月14日（ちなみにこの日はマセラーティ兄弟が会社を設立した記念日）にエンジンを4.9リットルに統一、内／外装を更に豪華絢爛に仕立てたロイヤルに進化を遂げる。カムカバーを赤く結晶塗装されたV8・4カム4931ccは、依然4基のキャブレターを使用することまでクアトロポルテIII時代のオプションユニットと変わらないが、新たに圧縮比のアップで300PSまでチューンされた。クアトロポルテでは5速MTと3速ATが選択できた変速機は、原則的にATに一本化された。また、2トン近いヘビー級のウェイトを考慮して、ストッピングパワーの確保のためにディスクブレーキはベンチレーテッドに格上げされた。エクステリアではバンパーが大型化され、サイドシルやアロイホイール中央にステンレス製の装飾プレートが新たに装着された。内装ではこの時期のマセラーティを象徴する棗型のラ・サール製クロックがインストルメントパネル中央に輝くと同時に、後席左右ドアにビルトインされたピクニックテーブルが取り付けられるなど、眩いばかりのゴージャスさとなった。'90年代に入ると、430など小型4ドアマセラーティの登場もあって元より少なかった生産はますます減少し、'94年に4代目クアトロポルテがデビューする頃にはほとんど受注生産に近い状況となっていた。

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