新時代のパワーユニット、ロータリーエンジンを搭載したコスモ・スポーツを1967年6月から市販開始したマツダは、この高性能エンジンを実用車へ載せることによってさらなる普及を目指した。モータリゼーションをもじって“ロータリゼーション”と名付けられたその計画の第一弾として、68年7月にデビューしたファミリア・ロータリー・クーペは、前年秋の東京モーターショーに参考出品されたRX85を市販化したモデル。2代目ファミリアのボディを2ドアクーペに改め、コスモ・スポーツと同じ10A型2ローターユニットをデチューンして搭載。最高速度180km/h、0-400m加速16.4秒という、レシプロエンジンの2リッター級スポーツカーを上回るほどのパフォーマンスを、コスモの半額以下の70万円という低価格で実現した。基本的にファミリアと同じシャシーは「エンジンに追い付かない」などと評された。69年7月には室内を簡素化した廉価版のロータリークーペEタイプ、およびその4ドアセダン版であるロータリーSSが登場、さらに11月にはそのロータリーSSの装備をロータリークーペなみにアップグレードしたTSSも加わった。70年4月のマイナーチェンジで“プレスト”の名が加えられ、71年にクラスがオーバーラップする新車種であるサバンナが登場した後も生き残り、72年まで造られた。

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