1965年に、テールフィンの生えた旧220系に代わるメルセデスの主力車種としてデビューした250S／250SEは、68年1月の通称コンパクトクラス登場と同時にその直6SOHCエンジンを2778ccに拡大、280S／280SE／280SELとなった。車名のSはツインキャブ、SEは電子制御燃料噴射、Lはロングホイールベースを表わすが、この2.8リッターユニットの登場により、旧250のボディに古い4ベアリングの3リッターエンジンを搭載した300SEは消滅した。ロングホイールベース版の300SELは残されたが、パワーユニットは280と同じ2.8リッターを搭載しており、280SELとの違いはエアサスペンション、AT、パワーステアリングを標準装備すること、および内外装がより豪華に仕立てられることのみである。68年3月にはその300SELのボディに600用のV8SOHC6.3リッター250PSユニットを押し込み、最高速220km/h、0-100km/h加速6.5秒という高性能を誇る超弩級のスーパーサルーン、300SEL6.3が加わる。さらに69年9月には新設計のV8SOHC3.5リッター200PSエンジンを搭載した300SEL3.5が登場。70年にはV8エンジン搭載車を増やし280SE3.5／280SEL3.5が加わるが、翌71年には4.5リッターまでスケールアップしたV8を搭載する280SE4.5／280SEL4.5／300SEL4.5も追加された。相次ぐエンジン換装および車種追加によって、シリーズ末期を迎えた当時は、車名の数字が排気量を表わすというメルセデスのネーミングの原則がかなり混乱していたが、翌72年にはフルモデルチェンジされ、初代Sクラスが登場する。

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