1928年にデビューした大型高級車。V字形ラジエターグリルを持つ“Kバーゲン”や“Sバーゲン”などの超高級スポーツ・メルセデスではない、平らなラジエターグリルの“標準的”メルセデス・ベンツの最高級モデルとなった。特にリムジーネ用シャシーとしては、別格の“770グローサー”が誕生するまでは、メルセデス・ベンツのトップグレードに位置していた。エンジンは直列8気筒9ベアリング、サイドバルブの4.6リットルで、80PSを獲得していた。設計を担当したのは、ダイムラー・ベンツの初代テクニカルマネジャーとなったフェルディナント・ポルシェ博士。ラダーフレーム、前後ともリーフ・リジッドのサスペンションなど、巨匠ポルシェ博士の作品としては極めてコンベンショナルな大型車だが、これは保守的だった旧ベンツ出身幹部に革新的な車両設計をことごとく反対されたためとの説もある。1930年前後にはエンジンを更に5.0リットルまで拡大した“500ニュルブルク”に進化を遂げることになる。この500ニュルブルクは、第二次大戦の勃発する1939年頃まで、受注生産で細々と造られていたという。

全文を表示する

閉じる