1910年に設立されたモーガンは、創業以来3輪のライトカーと、そこから発展したプリミティブな三輪スポーツカーの製造を生業とする小規模コンストラクターの一つだった。四輪車／4気筒を意味する4/4は、1936年モーガン初の四輪車としてデビューして以来、第二次大戦を挟んで連綿と造りつづけられてきた。1950年、スタンダード・バンガード用2.1リッターを搭載したプラス4に後を譲って一旦消滅するが、'55年にプラス4譲りの丸みを帯びたグリルとフロントフェンダーに埋め込まれたヘッドライトで少しだけモダーンになったニューボディが与えられて再デビューした。細く長いノーズに搭載されるエンジンについては、復活当初は1.2リッター・サイドバルブのフォード100Eユニットが選ばれたが、1960年代に入った頃には1.3リッターOHVのフォード105Eにスープアップ、更に'63年には1.5リッター、'68年には1.6リッターとフォード“ケント”OHVユニットの拡大に従って段階的にスケールアップしていった。スリーホイラー時代から伝統のスライディングピラー式前輪独立懸架は、設計年次やスタイルのイメージを裏切って意外にもシャープな回頭性をもたらす。そのドライブフィールには独特の魅力があり、現在でも世界中のエンスージアストを魅了し続けている。'60年代、'70年代はもちろん、エアバッグなどの安全装備の追加で21世紀にも伝承される、不朽のスポーツカーといえよう。

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