日産最大の4WD多目的車、パトロール（1980年以降、国内市場では“サファリ”に改名）の初代モデル。実は、ライバルのトヨタ・ランドクルーザーと良く似た生い立ちを持つモデルである。当時の警察予備隊からの大量受注を目的に企画がスタート、1951年に発表されたが、トヨタBJ型ジープ（のちのランドクルーザー）などと共に受験した入札前のテストで三菱ジープ（北米ウィリス・ジープのライセンス生産車）に敗れ、民生用として生き残る道を余儀なく強いられた。こうして、警察や消防署などの官需を最大のマーケットとして1955年頃にデリバリーが開始されたのが、初代パトロール4W60型である。形状はオリジナル・ジープそっくりだが、実際は一回りほど大きな車体に、オリジナルの倍に近い3.7リッター直列6気筒SV、82psのエンジンを搭載する。4WDの4W60型の他に、後輪駆動の2W60型、ロングホイールベースのバン、8人乗りワゴンなどのバリエーションも製作された。1956年頃にはエンジンが4リッター化され、1960年にはOHV125psのP型に載せかえられた4W66型にマイナーチェンジするが、翌1961年にはフルチェンジを受けて2代目となるため、これは1年ほどの短命に終わっている。写真は最初期のもの。

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