元はといえば'66年のトリノショーにデビューした124スポルト・スパイダーは、'75年をもってヨーロッパでの販売を中止して北米市場専用モデルとされていたが、'82年にはピニンファリーナ・ブランドながら遂にヨーロッパ市場に復帰、ピニンファリーナ・スパイダー・ヨーロッパと名付けられる。もっとも、フィアット・ブランドを名乗っていた時代から、トリノ近郊グルリアスコのカロッツェリア・ピニンファリーナのファクトリーでアセンブルされていたので、生産拠点は変わらない。更に同年から、アバルトの開発によるルーツ式スーパーチャージャーを装着したスパイダー・ボルメックスも追加され、結局この2種の最終モデルは'85年まで生産された。ピニンファリーナのデザインとコーチワークによる明快でエレガントなボディが架装され、クラシカルで魅力的なイタリアンスポーツとして、ハイテク万能の'80年代にあっては貴重な存在であった。パワーユニットはフィアットの標準ユニットの一つともいうべきランプレーディ設計の4気筒DOHCで、フィアット時代の'78年に2リットルに拡大、北米では人気の高い3速ATも選択可能となっていた。

全文を表示する

閉じる