プジョー傘下のタルボ・ブランドでスポーツカーのムレーナとマルチパーパスビークルのランチョを生産していたマートラが、ランチョに代わるモデルとして開発。プジョーが難色を示したためにマートラは彼らとの関係を絶ち、ルノーのもとで商品化することとした。これが初代エスパスで、デビューは1984年となっている。スチール製モノコックとFRP製ボディパネルを組み合わせたボディ構造はランチョと同じだが、直線基調のフォルムは完全なモノスペースとなった。室内は3列のシートを持つが、フロントシートは後ろ向きにセットすることも可能。2／3列目は人数分が独立しており、独自にリクライニング／折り畳み／取り外しができて、多彩な室内レイアウトを作り出すことができた。前輪を駆動する縦置きパワートレーンはフラッグシップの25と同じ。当初用意されたエンジンはガソリン2000cc直列4気筒だけだったが、その後2100cc4気筒ディーゼルターボ、2200cc4気筒ガソリンが用意され、'88年にはフルタイム式4WDの“クワドラ”を加える。このクワドラにはマートラ設計のカーボンファイバー製プロペラシャフトが採用されていた。サスペンションはフロントが25と同じマクファーソンストラット、リアはマートラ製の3リンクリジッドアクスルとなっている。'91年にコンセプトやメカニズムはそのままに2代目に進化した。

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