戦後ライレーの傑作車と称されたRMシリーズ・サルーンに代わって、1953年にウーズレー6/90の姉妹車（ただしウーズレーは翌年発売）としてデビュー。BMCグループ内では上質な中型スポーティーサルーンとの位置付けがされたモデルである。クラシカルな美しさで好評を得たRMシリーズとは打って変わって、近代的なフルワイズとなったボディに、ライレー伝統の“ツイン・アンダーヘッド・カム”RMB用直列4気筒2443ccエンジンを搭載した。マテリアル、テイスト、フィニッシュともに吟味されたインテリア、ドライバー右側のフロア（ヨーロッパ市場向けのみ。北米向けLHDはコラムシフト）に設置されたシフトレバーなど、コストの制約は受けつつも、高級かつスポーティーなライレーの伝統とブランドイメージを守るべく必死の努力はなされたが、現実はやはり“格下”ウーズレーの派出モデルに過ぎず、もはや真のライレー・サルーンとしては風前の灯であると考えるピューリタン的エンスージアストも多かった。1957年には、エンジンをオースティンA90ウェストミンスター、ウーズレー6/90などと共通の直列6気筒OHV（通常のカウンターフロー）2639ccに換装した“2.6：Two Point Six”にマイナーチェンジ、ビンテージ期の“ナイン”でライレーのテクノロジーを決定した中興の祖、パーシー・ライレー以来の良き伝統はまた一つ失われた。

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