73年10月にフィレンザの名と基本的なボディシェルを受け継ぎながらも、まったく新しいイメージで登場したモデル。ビバのクーペ版たる存在だった旧フィレンザはマグナム・クーペに名を変えて存続し、フィレンザは本格的GTを目指した。ボディは旧フィレンザ／マグナム・クーペと共通だが、フロントエンドはまったく別物である。“ドループ・スヌート”と呼ばれる尖ったノーズは風洞実験の末に決定したものといわれ、バンパーの上には、アルピーヌA310風にカバーで覆われたシビエの角型デュアル・ハロゲンヘッドランプが組み込まれ、バンパー下には大きなエアダムを備えていた。サスペンションはマグナムと共通だが、スプリングやダンパーは固められ、スタビライザーは太くされた。加えて専用設計のエイボンの6J軽合金ホイールと185/70HR13のタイヤを履く。パワーユニットは従来からある直4SOHC2279ccの圧縮比を高め、ツイン・ストロンバーグキャブレターと大径バルブによって132PS／5500rpmまでチューンしたものを搭載。ZF製の5速ギアボックスを介して最高速度193km/h、0-97km/h加速7.6秒というパフォーマンスを発揮した。生産台数は204台と少なく、75年10月のキャバリア・クーペの登場によって生産が終了したが、ドループ・スヌートはシェベット、キャバリアと続く新世代ボクスホールのアイデンティティとして受け継がれた。

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