見つけました!楽しいクルマユーチューバー!…安東弘樹連載コラム

この原稿を書いているのは、コロナウィルス感染拡大を避けるための、県をまたいでの長距離移動自粛解除が宣言された翌日です。

個人的には感染者数が全国で二桁未満にならない今の状況では、不要不急の遠出は避けようと思っています。

そこで相変わらず投稿動画サイト「YouTube」をみる機会も依然として多くなっているのですが、これに関しては以前、バイク乗りのユーチューバー「モトブロガー」の動画が、とにかくおもしろいというコラムを書かせていただきました。

モトブロガーの動画の内容は純粋にバイクを楽しんでいて、言葉自体もおもしろいものが多いのに対して、クルマの動画は言葉がない字幕だけのものや、富裕層がさまざまなクルマをサーキット等で試すもの、またクルマに対しての評価やインプレッションを伝えるものはあるが、心から運転しているだけで「楽しいー!」というメッセージが伝わるものがほとんどないという感想を書かせていただいたコラムです。

その後、さまざまなクルマ好きや、クルマを語るような動画を発信している方たちにも同様の疑問をぶつけ、さまざまな意見をいただきました。でも基本的に皆さん「そういえばそうですね」と同意してくださり、それに対しての意見も、なるほど、と頷けるものばかりでした。

ある方は「クルマは密閉されている空間ではあるがヘルメットを被っているわけではなく外から見られる可能性もあり、べらべらと喋ることがはばかられるからではないか」「実際に外気に触れているわけではなく、温度や空気を感じることがバイクより少ないため、気持ちよさがバイクより薄くなるのは否めない」。また、ある方は「やはりバイクは乗ること自体が趣味を楽しんでいる、という意識になるが、クルマの場合、どうしてもクルマを使って、どこかへ移動し、移動した先で何かを楽しむ、というツールになっているので、運転自体を楽しむという人も相対的に減っており、同時に運転しているさまを、楽しくみる人も限られるからではないか」等、まさに私も感じていた内容も多く、他の方から聞くと、それを裏付けていただいた気持ちになり、大変ありがたかったです。つまらない疑問に答えてくださった皆さん、本当にありがとうございました。

さて、そのような意見も伺って、なかば諦めていたとき、その動画は彗星のごとく私のPC画面に飛び込んできました。

最近は前回のコラムにも書いた通り、「林道」に再び目覚め、林道を走るモトブログを多くみていたせいか、クルマでの林道走行動画のサムネイルを目にする機会が増えました。

やはり走行そのものを楽しむ動画より、キャンプを楽しむことをメインにしたキャンパー動画やカスタマイズしたオフロード車のパーツ評価動画、悪路や冬場の深い雪道を走破する「オフロード、スノーアタック」動画等、一部に特化したものがほとんどで、クルマ自体を「普通に」楽しむような動画にはなかなか出会えなかったのが現実です。

しかし、突然、現れた動画はまさに私が求めていたもので、某軽自動車オフロード車を使って数々の林道を走っている様子を上げているもので、何と言っても、そのユーチューバーのひとり言が抜群におもしろいのです!

クルマの中で、頻繁に自分の愛車への賛辞が飛び出し、林道沿いの景色を眺めては「何とまあ~綺麗じょ~」とか、林道沿いに倒木があれば「何なこら!」と、まあ言葉を聞いているだけで楽しくなる、まさに私がモトブロガー動画を通して楽しんでいたのと同じ楽しみ方ができる動画でした。

言葉を聞いて最初、どちらの方なのか不思議でしたが、この方、まったくナンバープレートを隠しておらず(笑)、そのナンバーから和歌山の方だと分かったのですが、もしこれが和歌山弁だとしたら、和歌山弁、最高です。

モトブロガーは若い方も多いのですが、この方は50代後半と思われる雰囲気で林道に行っては現地の方と交流することも多く、その会話も収録されているため、人懐っこい性格も伝わってきます。一言で言えば「関西の気のいい、おっちゃん」です(失礼でしたらスミマセン!)。

そして動画の内容もバラエティーにあふれ、ひたすら気持ちのいいフラットな林道を鼻歌まじりで走行するもの、通行止めにはなっていないが落石によって道が狭くなっているところを、その愛車の性能をいかんなく発揮し乗り越えるもの、林道の奥地で、一人和牛を焼いて食べるもの、ときには石にぶつかって愛車を傷つけ、一人落ち込む動画、林道に放置されている新しいマニアックなスポーツカーを見つけ、警察に通報するさまを動画にしたもの、さらにはドローンを駆使して息を呑むような美しい景観を見せてくれたり、とにかく種類が多いので飽きません。

そうそう、私が好きな、「見た目のドレスアップではない実用的なカスタマイズ」をすべて自身でされていて、そんな動画をみると、その手際のよさと所有車に対する愛情も感じます。でも基本は林道走行の運転を純粋に楽しんでいる様子が動画に上げられていて、私にとっては何より心地がよいのです。

動画の8割はさまざまなアングルから撮った走行シーンで構成されており、ときにはドローンを使っての上空からの映像もあり、その編集の巧みさから、かなりの映像技術を持ち合わせていることが推察できますし、ITにも精通していると思われます。

あ、もうひとつ、動画内の言葉にはほぼすべてに字幕が付いており、しかも英語も併記されているんです!

初めてこの動画をみたとき、私、思わず、「このおっちゃん、何者!?」と呟いてしまいました(笑)。しかも、その英訳があまりにも的確なんです。これは今ある翻訳ソフトでは対応できない類のもので、方言のニュアンスもまじえてアレンジされており、本人が英語を理解していないと、こんな字幕を付けることは不可能でしょう。

実際に、林道をクルマから降りて歩いていて外国の方と遭ったとき、普通に「こんにちは!」と話しかけた動画のコメント欄に視聴者から、「あれ、英語が話せそうですが何で“こんにちは”と話しかけたのですか?」との質問に対し「突然だったので、普段使っている英語が咄嗟にでてきませんでした」と返信されていたので、普段から英語に触れている方なのでしょう。

ますます、謎の人物です(笑)。

ときどき、自宅の外の様子やご自身の顔も動画に出てくるのですが、失礼を承知であえて言わせていただきます。この方、一見、和歌山の、かなり地方色が強い場所に住んでいらっしゃる「普通のおっちゃん」なんです!

でも英語に通じ、PC、ドローン等のさまざまな最新機材を駆使し、映像に流すBGMも状況に合わせて本当にセンスのよいものを選び、何よりクルマに対する真っ直ぐな愛情と真っ当な使い方でさまざまな視聴者を楽しませてくださる。本当にミステリアスな方です。

しかし、その楽しい和歌山弁と独特な言葉選びで、スペックの高さを感じさせない。何という方でしょう!

でも人生を楽しんでいらっしゃる、自然を愛する素晴らしい「おっちゃん」であることは間違いありません。

ちなみに以前、綺麗な景観の林道沿いが不法投棄によってゴミだらけになっているのを発見したときは、怒りを隠しませんでした。英語字幕付きで、不法投棄をする人に対し、かなり強めの苦言を呈していたこともありました。

そのあたりも私がこの動画を楽しめるひとつの要因になっています。基本的に考え方が共通していないと、その動画を楽しむことはできませんので。

このように、やっと巡り合えたクルマユーチューバー!かなりの数の動画を上げていらっしゃるので、まだまだ、この先も楽しめそうです。

何しろ自分は時間的制約、またそれより能力的にユーチューバーになる自信がありませんので、他力本願で申し訳ないのですが、これからもモトブロガーに負けないクルマユーチューバーを探してみようと思います。

加齢のためか飛蚊症が出てきた眼を休めるためにときどき外に出て、遠くを見ながら、にしますが。

安東 弘樹

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