500台のランドクルーザーが富士山の麓に集う

ランドクルーザーファンによる国内最大のイベント<Land Cruiser’s Meeting>が、静岡県御殿場市馬頭塚で開催された。今年で29回目を迎えるこのイベントは、シルバーウイーク中の9月19日にゲートオープンし、22日のゲートクローズまで、日帰りでも参加したいランドクルーザーオーナーのことも考え、出入り自由の4日間のロングイベントとなった。参加台数は535台と、いまだかつてない多くのランドクルーザーファンが集まり、キャンプをしながら大いにランドクルーザーを介して友好を深めた。

ランドクルーザーの聖地<馬頭塚>

​​​Land Cruiser’s Meeting(通称LCM)は、もともと京都や大阪、三重、横浜などにあるランドクルーザーをこよなく愛するオーナーたちのクラブが、毎年持ち回りで主幹事を決め、年に一度、愛車とともに集まり、キャンプしながら交流を深めることから始まった。なかでもここ馬頭塚は、ランドクルーザーのルーツであるTOYOTA JEEP BJ型が走行試験をし、富士山六合目まで登り、その信頼性、耐久性、悪路走破性の高さを証明したとされるランドクルーザーにとっては聖地として知られる場所。ランドクルーザーオーナーにとっては意義深い場所でのイベントだ。

夏より限定発売されたランドクルーザー70にオーストラリアブランドのガード類、サイドオーニングを装着し、本格的にオージースタイルでキャンプを楽しむ
ランドクルーザー40、60、70などさまざまな型式が集まる。ティピーテントがあると、まるで海外のキャンプサイトのようだ
500台を超える参加台数だったため、ところによっては仲間でクルマをまとめて停めて、キャンプサイトを1つにしていた参加者も
今年は天候にも恵まれ、時折こうして遠くに富士山が眺められる瞬間もあった

全国からランドクルーザーファンが集まった

木立が生い茂る静かなエリアのなかで、みな思い思いの場所にキャンプサイトを作る。今回、北は北海道から南は鹿児島と全国各地から愛車とともに集まった。ふだんは遠方でなかなか会えずSNSなどで交流している仲間と、ここでは愛車を見せ合いながらゆっくり現場で語り合うことができる。

ひとくちにランドクルーザーといっても60余年の歴史があるだけに、さまざまな型式が集まる。40系、55系、60系、70系、80系、100系、200系とプラドも70系、90系、120系150系とここに来るだけでランドクルーザーの歴史、変遷がわかるミュージアムのようだ。さらに型式によってはエンジンもガソリン、ディーゼルがラインナップされていたので、バリエーションが広がってくる。またリフトアップしていたりエアロパーツを装着したりとオーナーの個性もさまざま。2台として同じランドクルーザーはないのではと思えるほど、それぞれに味がある。最も多く集まった型式は70系だが、特に昨年から今年にかけ限定発売された70系が59台も参加。40系からの乗り換えもあるが、20代で初めて買ったクルマがランドクルーザー70という参加者も多かった。

時が経ち、型式が変わっても、横から眺めるとこの変わらぬスクエアなスタイリングがランドクルーザーの特徴でもある
MTタイヤを履き、シュノーケルを装着しているランドクルーザーを見ると、そのオーナーが、ふだんからオフロードを走ることを楽しんでいることがわかる
事務局メンバーも当然ランドクルーザー乗り。実行委員長の菊地さんは、1年前から愛車のランドクルーザー40に乗って全国を回り、イベント告知に励んだ。その甲斐あって今回は535台ものランドクルーザーファンが集まった。台数が多いだけに事務局のミーティングも真剣だ
これだけランドクルーザーオーナーが集まることを知り、ランドクルーザーを統括する小鑓 貞嘉チーフエンジニアもプライベートで新型ランドクルーザー200に乗って駆けつけた。小鑓さんはランドクルーザーユーザーの声を聴くために、世界中を巡り、現場の声を製品企画に役立てている
ランドクルーザー40のキャンパー仕様。こういったスタイルがさまになるのはランドクルーザーならではだ
国内では稀有な存在であるFJ56Vはランドクルーザーファンにとって、もっとも興味のあるクルマのひとつ。きれいに乗られているオーナーに維持管理の方法やFJ56Vの魅力を聞きに来る方々も多い
フェスのように有名アーティストがライブをするわけでもなく、ただ空と緑とランドクルーザーしかない会場に、こうして若いカップルがランドクルーザーに乗ってやってくる。ランドクルーザーは、単なるクルマではなく、音楽と同じように文化として若い方々にも伝わっている
リアルに再現されているラジコン。ランドクルーザー好きなある漫画家が作った渾身の一品
限定発売され、まだ買って1年も経たない2台のランドクルーザー70。早くも自分のライフスタイルに合わせた相棒にするためスタイリングがここまで変えているのに驚く
ランドクルーザープラドに乗りSNSでつながるオーナーたちは「All PRADO ZONE」を特設し、まとまってキャンプサイトを作っていた

奥様と子供を大切にするイベント

せっかくの連休だけに家族でイベントに参加してもらいたい。お父さんはランドクルーザー仲間と会えれば、それだけで満足だから、運営事務局は奥様や子供たちも楽しんでもらえるコンテンツを用意。まずは餅つき大会。子供たちにも餅つきをしてもらい、奥様と子供たち最優先で搗きたてのお餅が食べられる。そして気球体験。早朝より奥様や子供たちを乗せ、天高く気球が舞い上がる。これは遊園地のアトラクションにも負けない貴重な体験だ。さらに子供たちがランドクルーザー40の遊具に乗って競争し、勝ったら商品は奥様も喜ぶお米5kg。ここまでしていたら、さすがに一緒に来た奥様、子供たちも笑顔になる。

子供たちは搗いたことのない餅つきに大喜び。やはり自分で作ったものが食べられること自体が楽しい
搗き立てのお餅の味は格別。奥様や子供たちは柔らかい餅をほお張り、ほっぺが膨らみ、お腹も大満足
2日目は早朝から気球の体験会を開催。富士山麓の風景が空から観られるとあって大人気のコンテンツとなった。200人以上が空からイベントを楽しんだ
子供たちのこの表情がなによりの証明。初体験にワクワクしながらも、緊張してドキドキして。この「WAKU-DOKI」が子供たちを成長させてくれる
気球から会場を見下ろすと、まるでトミカのようにたくさんのランドクルーザーが見える。気球のアンカーとなっているのも、もちろんランドクルーザーだ
賞品のお米5kgを目指して、子供たちはランドクルーザー40の遊具に乗って競争。子供たちだけでなくお母さんたちも応援する声が大きくなっていた
遊具より大柄な子供たちは、足が長すぎてじゃまになって走りにくく、ハンデにちょうどよい。子供たちも遊具とこのキャンプを通じて、大きくなって自動車免許を取ったら、ランドクルーザーに乗りたくなることだろう
子供たちはお店屋さんごっこも。参加者は自由にフリーマーケットができるので、店番はかわいい看板娘たちが。子供たちには主催者から蛍光色のビブスも借りられる。場内はクルマも走るのでこの配慮がありがたい

星空を見上げ相棒を眺めながらの一杯は格別の味

日も落ちてくると、それぞれのテントサイトからBBQのおいしい臭いがしてくる。そして仲間と乾杯。澄んだ空気のなか、愛車を眺めながら、仲間とのランドクルーザー談義で盛り上がる。またこのミーティングを今後もっとよくするためにみんなでアイデアを出し合うLCM会議を初開催。まるでどんな悪路でも走破するランドクルーザーと同じように、そのオーナーたちも常に前進するマインドを持っている。

スターライトキャンプ。このエリアはキャンプ場ではなく、ふだんは空地なので、かえって野性的で雰囲気がいい。ランドクルーザーだから似合う場所だ
星降る夜に仲間とランドクルーザーを肴に、一献傾けながら夜を楽しむ。このひとときこそ最高の贅沢だ
今後のミーティングをよりよくするためにみんなで話し合うLCM会議を初開催。事務局だけでなく、参加者の意見を引き出しながら、もっといいミーティング作りを目指す

合言葉は「ランドクルーザーとともに」

4日間、ランドクルーザーファンを見守ってくれていた空も、雨降らすことなく最高のキャンプシーンを演出してくれた。日中は時折富士山が見え、夜は満天の星空に。最高のミーティングとなった。次回は日程は未定だが、広島で開催されることが決定した。ランドクルーザー乗りなら、ぜひ参加してみてはいかがでしょう。

未来のランドクルーザー乗りの子供たちは、まずはこれで満足していただいて。来年はまたもっと大きくなってお父さん、お母さんと一緒に参加してくれることを期待したい

(テキスト/写真 : 寺田昌弘)

[ガズー編集部]