脇阪寿一 ドライバーズコラム 第2回 「脇阪寿一の第2章 所信表明」

先日2月4日にトヨタモータースポーツの活動発表会が行われ、その場で私、脇阪寿一のスーパーGT500クラスからの引退を発表させて頂き、豊田章男社長より、広報担当役員!?の昇格!?が発表され…(笑)。

そして、伊勢専務から素晴らしい花束を頂きました。本当に、ありがたいことです。心よりお礼申し上げます。

思い起こせば1990年にカートデビュー、1995年F3デビュー、1997年フォーミュラ・ニッポン デビュー、1998年F1テストドライバー、同年にスーパーGTデビューと、去年までスーパーGTにおいて18シーズンもの間、500クラスでワークスドライバーとして戦わせて頂きました。

多くの皆様と巡り会い、多くの皆様に助けられ、多くの皆様に応援して頂き、歩んできた道です。レーシングドライバーとして、このような節目をこういった形で発表させて頂けた事、本当に嬉しく思っています。
僕を取り巻く全ての皆様、今まで本当にありがとうございました。

さて、これから「レーシングドライバー脇阪寿一の第2章」は、モータースポーツを“伝える”作業に力を入れていきたいと考えております。

僕が最も得意とする伝える作業、僕が僕の言葉で、解りやすく、僕を物差しとしてモータースポーツを、クルマの楽しさ素晴らしさを伝えていきます。

今後ともよろしくお願いします。

皆さんトヨタ自動車の5大陸走破プロジェクトご存知ですか!?

2007年からGAZOO Racingとしてニュルブルクリンクでの活動がスタートし、それから変わらない「道が人を鍛える。人がクルマをつくる」というトヨタのモータースポーツ活動の思想を根幹とし、スタートした5大陸走破プロジェクト。

「もっといいクルマづくり」と、それを支える「人づくり」のため、2020年まで5つの大陸をトヨタ社員が走破していくという壮大なプロジェクトです。

どうですか!?
なんかワクワクしないですか!?
僕も現地に行ってみたい!って瞬間的に思いました。
僕はこんなトヨタの未来にワクワクします。

それは、世界中の“道”をトヨタの社員がトヨタのクルマに乗って走るわけです。
良いことも、悪いことも色々な経験をするでしょう。
とてつもない時間と、とてつもない走行距離。
考えられないような事も起こると思います。
でも、その経験は必ず人を鍛えますよね!?
トヨタのクルマに足らないモノを“道”が教えてくれますよね!?

将来、その経験を活かし出てくるクルマは…。
ね!ワクワクするでしょ!?
近い未来、トヨタからどんなクルマが産声をあげるのでしょうか!?

オーストラリア大陸走破の動画を見たんです。

その中に出てくる言葉、
「もっといいクルマを」とか「道の声をきく」とか「その為にクルマを知る」とか…。
そういうことですよね。

そして最後に
「トヨタとは何か?」と自分達に問いかけ
「その答えは必ず未来をつくる」って確信し
「答えは道の先にしかない」って目標を示しました。

この“未来”とは、なんの未来なんだろう!?

トヨタ!? 日本!? 世界!? 人類!?

豊田章男社長は、お忙しいスケジュールの中をぬって、ドライビングを、クルマと対話する手法を学ぶ事を大切にされています。

シアトル

オーストラリア大陸

それは趣味とかクルマ好きのレベルを超越し、真剣に学ぶその姿勢は、トヨタ自動車の社長として、その先にある“未来“を見据えられているように僕は感じます。

トヨタ自動車の使命は何なんでしょう!?
良いクルマをつくる事
社員の皆さんの生活を守る事
ここまでは普通の会社の使命ですね。
その他にもトヨタは
税金をたくさん払って日本を支える事
経済を安定させる事
…いっぱいあると思います。

トヨタ自動車の存在は、自動車メーカーである枠を超えて、今や世界において非常に大きな影響力を持っています。

日本でももちろんそうで、トヨタ自動車って“株式会社日本”の様な会社ですよね!?ですからその舵取りというのはどれほど重要で大変な事かを想像するのは容易で、また「クルマをつくる」という本来の使命とは別の使命の過酷さから、ともすると本分を見失いかねない事も想像つきますが…。

章男社長はその全てを成り立たせる手法として、経営者として、今のトヨタが進むべき方向性を、ぶれる事なく彼自身をスポークスマンとし我々に、全世界に配信されています。

最近僕、日経新聞を読むんですね。
そしたら毎日のようにトヨタの記事が紙面を飾ります。
それが最近自分の中で一つ一つ繋がってきまして…。

「トヨタとは何か?」
「その答えは必ず未来をつくる」
「答えは道の先にしかない」

日本の、世界の、“未来”を創造するための手法が、改革が、今実行されていると僕は感じています。

それはモータースポーツを盛り上げたいという、クルマ文化を創造したいという、我々の想いともリンクして。

そしたら、自ずと自分が進むべき道も見えてまいりました。
「レーシングドライバー脇阪寿一の第2章」、しっかり頑張ります。

これが正しいかどうか、今はわかりません。

答えは道の先にしかありませんから。

[ガズー編集部]