【メーカー紹介】IPF(アイ・ピー・エフ)

エンジン、サスペンション、ホイール……。日本には数多くのカスタマイズパーツメーカーが存在します。その中で今回注目したのは、ランプを製造するメーカー。「走ることに特化した、高性能照明器具メーカー」を標榜する「IPF(アイ・ピー・エフ)」です。

国内メーカー初のアメリカ「SAE規格」の認証で世界的メーカーへ

​​​​IPF株式会社の始まりは、戦後間もない1946年。鍋やミシンなどの金属部品を作るメーカーとしてその歴史がスタートしました。1953年に、「市川プレス工業株式会社」となり、自動車用ヘッドライトリフレクターの受託生産をきっかけにライト分野に進出。自社ブランドのライトを発売し、ランプメーカーとしての基盤が出来上がります。ちなみに、現在の社名「IPF」は、市川プレス工業の英名「Ichikawa Press Factory」の頭文字からつけられたものだそうです。

世界的に知られる転機となったのは、1970年代にアメリカのライト規格(SAE)の認証を国内メーカーとして初めて取得し、カリフォルニアハイウェイパトロール(CHP)に正式採用されるなど、その性能や品質が認められ、アメリカでは「SUPER OFF ROADER」がシェア1位を獲得するまでに。1980年代に入ると、モータースポーツ支援を積極的に行い、WRC(世界ラリー選手権)や全日本ラリー選手権、ニュルブルクリンク24時間レースやル・マン24時間レースなどでIPF製ランプ装着車が大活躍。IPFの名が世界に知られるようになります。

国内については、1980年代後半からのクロカン四駆ブームに乗って、アメリカで大成功したフォグランプ「SUPER OFF ROADER」が大ヒット。トヨタ・ランドクルーザーやハイラックスサーフ、日産・テラノ、三菱・パジェロ、いすゞ・ビッグホーンをはじめとした“クロカン四駆”に、この丸型フォグランプがよく装着されていたのを、懐かしく思う人もいるかもしれませんね。「SUPER OFF ROADER」は、何度かのモデルチェンジがおこなわれ、現在もラインナップされています。

2000年代になるとヘッドライトの光源はハロゲンからHID(ディスチャージ)、そしてLEDへと進化を続けていますが、「走ることに特化した、高性能照明器具メーカー」というIPFの技術への追求は変わらず。ハロゲン、HID、LEDを光源としたヘッドランプバルブやフォグランプ、LEDライトバーなどの開発・製造を行っています。モータースポーツで採用されているライトも、そのままのスペックで市販されているそうです。また、IPFの製品は、アフターパーツとしてパッケージ販売されているほか、純正オプションやディーラーオプション品として、自動車メーカーにもOEM供給されています。

選挙の投票箱も!? 製造しているのはライトだけじゃない

IPFが製造しているのは、ランプ類だけではありません。創業時から受け継がれている金属加工の技術は今も生きていて、メーカー純正オプションのストラットタワーバーやスティフナー、四駆用グリルガードなども製造しているほか、選挙用のアルミ製記載台や投票箱も作っているとか。投票箱に「IPF」のロゴが入っているわけではないようですが、選挙に行ったら投票箱にも注目してしまいそうですね。製品のクオリティやパフォーマンスだけでなく、メーカーのバックグラウンドや沿革を調べてみると、また違った側面が見えてくるからおもしろいものです。​

(木谷宗義+ノオト)

[ガズー編集部]

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