準中型免許新設!普通免許で乗れるクルマは変わる?

筆者が運転免許を取得したころは、一般のドライバーが取得するクルマの免許区分は普通か大型しかありませんでした。しかし更新を繰り返すうちに、いつの間にか免許証に「中型車は中型車(8t)に限る」の文字が…。これは、2007年に免許制度が改正され、普通と大型の間に「中型」が加えられたからです。そしてさらに2017年3月12日から「準中型」が新設されることが決定しました。この「準中型」が設けられることで、免許の区分はどう変わるのでしょうか?

運転免許区分を確認しよう!

運転免許の区分は2016年8月25日現在、「普通」「中型」「大型」の3つです。免許の区分は、車両総重量、最大積載量、乗車定員で分けられ、それぞれ下記の範囲の車両を運転することができます。

<改正前(2017年3月11日まで)の免許区分>
普通免許
・車両総重量…5t未満
・最大積載量…3t未満
・乗車定員…10人
・受験資格…18歳以上

中型免許
・車両総重量…11t未満
・最大積載量…6.5t未満
・乗車定員…29人
・受験資格…20歳以上で運転経歴2年以上

中型(8t車限定)とは?
2007年6月2日以前に取得した普通免許は現在、「中型(8t限定)」となっています。乗れるクルマは、車両総重量8t未満、最大積載量5t未満、乗車定員は10人です。

大型免許
・車両総重量…11t以上
・最大積載量…6.5t以上
・乗車定員…30人以上
・受験資格…21歳以上で運転経歴3年以上

ちなみに「車両総重量」とは、車両に乗車する定員や最大積載量の荷物を積んだ走行状態での全重量のこと、「最大積載量」は、商用車(バン、トラック)で積める、荷物の重さの最大量です。

新設される「準中型免許」で何か変わるの?

準中型免許とは、2017年3月12日から普通免許と中型免許との間に新設される新しい免許区分です。準中型免許の新設で、大型免許は変わりませんが、普通免許と中型免許には大きく変わる点があります。まずは、準中型免許区分を確認しましょう。

準中型免許
・車両総重量…7.5t未満
・最大積載量…4.5t未満
・乗車定員…10人
・受験資格…18歳以上

これまでの普通免許では、車両総重量5t未満のクルマを運転できましたが、2017年3月12日以降に取得する新しい普通免許では、3.5t未満となります。現在の免許制度と、改正後の準中型免許が加わる免許制度の関係は、下記のようになります。なお、大型免許については改正後も変わりません。

どうして「準中型免許」が新設されるの?

2007年に新設された「中型免許」の受験資格は、「20歳以上運転歴2年以上」です。この中型免許の新設で困ったのが宅配業者や運送業界、高卒で働き口を探している若者でした。最近のトラックは、トラックのハイテク化やハイブリッド化などの影響などで車重が増えたために、車両総重量が5tを超えるものが多くなり、普通免許で運転できるクルマが限られてきたのです。

また、仮に18歳で普通免許を取得しても、中型免許が取得できるのは2年後。これでは、高卒者が配送業で働くのに二の足を踏み、運送業界での人材確保が難しいという問題もありました。そのため運送業界や、全国高等学校長協会等からの強い要望で、18歳から取得可能な、車両総重量7.5t未満の運転ができる「準中型免許」が新設されたのです。

今「普通」や「中型(8t限定)」の免許を持っている人はどうなる?

すでに普通免許や中型(8t限定)免許を持っている人は2017年3月12日以降、どうなるのでしょうか? 「もしかして乗れるクルマの範囲が狭まるの?」と不安になるかもしれませんが、その心配はありません。

すでに普通免許や普通免許や中型(8t限定)を持っている人は、「既得権保護」の観点から、運転できるクルマに変更はありません。中型(8t限定)の人はそのまま、普通免許の人は、「準中型(5t限定)」となります。

ライフスタイルに合わせた免許取得が可能に

準中型免許の登場で新たに4つになる運転免許区分。準中型免許の新設後に免許取得予定の人は、「普通免許」を持っていなくてもいきなり「準中型免許」を取得することができます。改正までに普通免許を取得する予定の人は問題ありませんが、改正後に初めて免許を取得する方は、自分のライフスタイルやキャリアプランに合わせた免許を取得するとよさそうですね!

(唐沢未夢+ノオト)

[ガズー編集部]