【世界の愛車紹介ドバイ編】素性の良さに惚れ込み、あえてフルノーマルのまま乗り続けるJZA80スープラ・エアロトップ

この見るからに完璧なトヨタ・スープラ。オーナーは、ドバイの自動車シーンではよく知られた人物である、カリド・MKビン・ハドハーさんだ。彼はチューニングカーのガレージを所有し、20年来にわたってチューニングショップ「Airwerks」を経営している。ドバイで最も古いショップのひとつだ。ここで、多くの有名なストリートカーやレースカーが制作されてきた。

カリドさんは熱狂的な車のコレクターであり、多くのスーパーカー、高級車、チューンドカーやクラッシクカーのオーナーでもある。彼のコレクションにはランサー・エボリューション6“トミ・マキネンエディション”、ランサー・エボリューション7、トヨタ・スープラ、ダットサン240Z、ニッサン350Z、トヨタ・セリカといった、日本の伝説的なスポーツカーも含まれる。カリドさんはレース経験も豊富で、サーキット、オフロード、ドラッグレーシングなど多くのレースに出場した経歴の持ち主だ。

カリドさんの暮らす、ドバイ・エマラティ地区には、カリドさんのように日本のチューンドカーとスポーツカーに強い情熱を抱いている住民が多く住んでいる。カリドさんは、すでに莫大な台数のコレクションを所有しているが、いまなお定期的に新たな車両がそのコレクションに付け加えられているそうだ。

「初めて手に入れたチューンドカーは、ポルシェ930ターボ。その後にシボレー・コルベットとルノーR19 16V。ハイパフォーマンスカーとクラッシクカーを愛する者として、80年終盤から90年代の日本のパフォーマンスカーには大きな尊敬の念と情熱を抱いています。パフォーマンスとスタイリングはいまだなお非常に魅力的で、そういった車に手をかけたり、運転したりするのは本当に楽しいです」とカリドさんは語る。

コレクションに加わった黒のトヨタ・スープラも、カリドさんの心を特に魅了している1台だ。彼はこのエアロトップを何年もかけて探し続けてきたという。カリドさん曰く、スープラには二つの魅力があるという。一つは、決して色褪せない新しさであり、日本の真の伝統を感じさせてくれること。そして、基本性能の高さと同時に、チューニングすることで得られる大きなポテンシャルにあるという。

ドバイのスープラオーナーの中には、2JZ-GTEエンジンをハードチューンするオーナーが非常に多いのだが、カリドさんはノーマルのまま、その素性の美しさのままで乗り続けることを決めたそうだ。エアロトップ、ツインターボの2JZ-GTEエンジン、AT。求めていた条件にぴったりのスープラがやっとのことで見つかったからだ。

80スープラというと、日本国内においてはJZA70に次ぐ2代目のスープラとして存在しているが、スープラの歴史としては、1978年に発売されたセリカXXの北米仕様が初代「スープラ」(A40型)ということになる。その後、1981年のフルモデルチェンジでA60型へと進化。さらに、1986年に世界的には3代目となるA70型が登場。JZA80型スープラは、1993年に世界的には4代目、国内2代目のスープラということになる。初代から一貫して直列6気筒エンジンを搭載。高性能スポーツカーとして世界中を魅了してきた。

「このクルマは誕生してから20年の月日が経過しているにも関わらず、スポーティな外観はいまでも新鮮です。ドライビングも楽しく、いまでも心躍るパフォーマンスを発揮してくれます」とカリドさん。エンジンはツインターボ直列6気筒の2JZ-GTEエンジンで、トランスミッションはオートマチック。エクステリアもインテリアも状態は素晴らしく、スープラ発売15周年記念のバッヂとともに、発売当初のままの姿を残している。

貴重なクルマではあるが、カリドさんは週末や夜に運転することにしているそうだ。ゆったり街中を流したり、ドバイの郊外にあるサイクリングコースに行ったりする際に、このスープラのエンジンに火を入れる。ドバイの街に、2JZツインターボエンジンの重厚なサウンドが轟くのである。

Photo:Thishan Dissanayake
Text:Zlatko Mulabegovic
翻訳:小藤茜

[ガズー編集部]