【西日本GR走行会 愛車紹介】初めての愛車は86レーシング!21才が導き出した選択と将来の夢

スポーツカーの復権が顕著になり始めるより以前、日本の市場はミニバンで溢れかえっていた。そんなミニバンがファミリーカーの主役に定着していると、幼い頃からクルマ=ミニバンというイメージが当たり前になってしまうのは必然のこと。そして、ミニバンに見慣れたクルマ好きの子供にとって、スポーツカーは憧れの存在として映るというものだ。
2012年、久々のライトウエイトFRマシンとして誕生したトヨタ・86は、そんなスポーツカーに飢えていた少年の心に鮮烈な印象を与えたのである。

86がデビューしたのは2012年。ちょうど中学2年生だった小西少年は、その姿を見てひと目ボレしたという。その恋心は一気に燃え上がり、両親に向かってファミリーカーの買い替えを提案するほどの行動力を与えたのだ。普通に考えればお世辞にも使い勝手が良いとは言えない2ドアクーペを、買い替えてまでファミリーカーにすることは考え難い。しかし父親もその昔、AE86で中山サーキットを走っていたということもあり、買い替えはスムーズに行われたという。
もちろん自分で運転することはできないが、自宅に86があることでさらに86好きが加速。自分も免許が取れる年齢に達すると、免許を取って86を乗り回す生活が始まったのは想像通りだ。
しかし、ここでひとつ気になり始めたことがある。それはファミリーカーがATだったこと。スポーツカーならMTで操りたいと思うのは、クルマ好きが共通して考える不文律。そして自分のクルマを買う段階になると、迷うことなく86のMTを探し始めたというわけだ。

探し始めて間もなく、ディーラーで見つけたMT車がこの86レーシング。86の中でもワンメイクレース『86/BRZレース』に出場するためのクルマとして、TRDが作り上げたモデルだ。
市販車ながらもロールケージやオイルクーラーなど、サーキットで戦うための装備が与えられ、なおかつナンバー&エアコン付きのため普段の街乗りも可能。車体のレアさというよりも、純正でロールケージが組み込まれているその姿に、はじめて86を見た時と同じ衝撃を受けてしまった小西さん。まだ学生の身であるため、すぐにローン出資者でもある両親を説得するための理論武装を完璧にして、説得にあたったという。

前述のように86レーシングはナンバーを取得できるが、基本的には86/BRZレースのための参戦車両。そんな可能性を秘めた車体を購入すれば、必然的にレースにも参戦したくなるというもの。
ダメ元で両親にレース参戦の希望を伝えてみると、意外にもすんなりと了承を得ることができたという。こうして今年の6月、初の愛車で第4戦岡山国際サーキットのクラブマンシリーズ参戦が叶ったのである。

現在は整備士になるための学校に通っているが、将来的にはレースメカニックを目指しているという小西さん。単純にメカニックとしてクルマをイジれるだけでなく、ドライバーの意見や感覚を的確に察知し、最適なマシンメイクが行えるようになりたいというのが最終目標だという。
そのためには自分でもサーキットを走ってみて、レースというシビアな環境に身を置く経験も必要と考えている。この経験は学校では学ぶことができないため、レース参戦は自分でその環境を整えようと試行錯誤した結果でもあるというわけだ。

もちろん若い感性からいえば、愛車のチューニングやカスタムを楽しみたい気持ちも大きい。しかし86レースに参戦するためにはレギュレーション上、ノーマルを維持しなければならない。将来を見据えてはじめたレースだからこそ欲求を押し殺さなければならないのだ。
「シリーズ通して出ることは不可能ですが、現在の目標は岡山国際のレースで完走することですね。初めてのレースは予選でクラッシュしちゃいましたから……」
実は購入時には、前オーナーにより外装がフルラッピングされていた。修理のためにフロント周りをゴッソリ交換した際、ラッピングはすべて剥がしたという。唯一、サイドミラーにだけその名残を残しているのは、きっとクラッシュへの自戒の念を込めているに違いない!?

今回、愛車を取材させていただいた『西日本GR走行会 with REVSPEED』では、プロドライバーによるドラテク講習などもおこなわれていたので、ラップタイム更新やレース運びの上達につながる経験値を積むことができたはず。
レースを続けるかぎり86レーシングはチューニングによる進化が行われることはないけれど、その目標は完走から表彰台へと、スキルアップを重ねるにしたがって向上していくことは間違いない。小西さんの86ライフはまだまだ始まったばかりだ。

[ガズー編集部]

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