【鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2018 愛車紹介】所有歴20年。毎日の買い物でも活躍する73年式メルセデス・ベンツ230-6(W114)が『壊れない』理由

鈴鹿サウンド・オブ・エンジン2018のなかで『タイムトラベルパーキング』と銘打たれた一区画には、その名の通り時代を超えた名車が多数集められていた。その中にごく自然な佇まいでディスプレイされていたのがKさんの1973年式メルセデス・ベンツ230-6(W114) (以下、W114)だ。ショーカーのように磨き込まれているわけではなく、でも乗りっぱなしで使い古されているわけでもなく、手入れの行き届いたクリーンな印象は今から40年以上昔のクルマとは思えないほど。

メルセデス・ベンツといえば日本では高級車にカテゴライズされる風潮がある。このW114は本国やヨーロッパ諸国ではメルセデス・ベンツの中でも最もスタンダードなセダンで、タクシーにも使用される実用車の部類だが、日本に輸入されると超がつく高級車に早変わりする。特に輸入された当時の70年代前半では物価が現在の1/3程度といわれるだけに、現在の価値で換算すると1500万円ほどの新車価格で販売されていることになるわけだ。

しかし輸入車が珍しかった当時でこそ超高級車ながら、Kさんが入手した20年ほど前の中古車市場では底値の状態。この73年式W114の前にも76年式の最終型を所有していたのだが、そちらは3万円程度で見つけたという代物だったという。
もちろん値段の分だけコンディションは悪く、エンジンは不動状態。しかし、R107SLを所有する近所の修理屋さんと知り合い「かんたんに直せるよ」というひと言を聞いて購入を決意。実際にこの不動車を一晩であっという間に直してしまったことから、W114のタフネスさと、修理屋さんの腕前にはまり込んでしまった。

最初の76年式は走りこそ完全復帰したものの、やはりボディなどのコンディションはすこぶる悪い。そのため部品取りとしてもう1台購入したのが、この“いわくつき”の73年式ディーラー車というわけだ。
そのいわくとは抹消謄本の原本を紛失し、コピーのみの添付だったため路上復帰が難しいと考えられていたこと。もちろん部品取りとして購入を希望したため、書類の不備は大きな問題ではない。いかに欠品がなく各部品のコンディションが良いかということに注目していたため、迷わず購入を決意したのだ。こちらの車両もいわくつきのため格安の3万円で購入というから、衝動買いしてしまう理由も理解できるだろう。
しかし、部品取りとして購入したのだが、よく見るとこちらの方が状態ははるかに良い。管轄の運輸局へ問い合わせるなど紆余曲折を経て、今から9年前にナンバーを取得して社会復帰させたという。

以来現在まで手持ちの車両はこのW114のみ。それでもさすがアウトバーンが育んだ実用車というだけあって「消耗品などを指定時期通りに定期交換していれば壊れることはまずない」という。が…よく話を伺ってみると、それはオーナーの欲目&ひいき目!?
例えばパワーウィンドウが不調になっても走行には問題がないため「壊れていない」とか、ダイナモがパンクしてもバッテリーさえあれば走って帰れるから「壊れていない」とか。
普通の価値観で考えれば“壊れた”と感じるトラブルも、なんとか自宅まで辿り着くことができれば『壊れた』にカウントしないという、長年の付き合いによって育まれた“情”と、おおらかな心があるからこそ、愛車は「壊れない」と言い張れるわけだ。

ここ数年でパーツ供給は一気に少なくなり、その価格も上昇しているだけに、もはや手が出せないものも出てきているとか。さすがに壊れないとはいっても、万が一のためにはあらゆるパーツを確保しておきたい。そのため国内外の部品を買い漁り、今では1台作れるほどのストックを有しているという。
さらにW114を購入するきっかけとなった修理屋さんには今でも通い、様々な作業や技術を伝授してもらっている。それだけに、たいていのメンテナンス(修理とはいわない!)を自分でもおこなえるだけのスキルも養っているのだ。

ちなみにAT、パワステ、パワーウィンドウにオートチョーク付き2バレルツインキャブという当時のフル装備は、現代のクルマと比較しても快適性には遜色ない。ETCやポータブルナビは今時の装備ながら、パイオニア製スピーカーや空気清浄機などは時代考証に合わせたアイテムをセット。当時のムードを大切に、現在もスーパーへの買い物から休日のイベントなどに、ほぼ毎日使っているという。

これだけ心置きなく乗り回すことができるのは、やはり欧州車の中でも実用車と呼ばれる存在だからこそ。そして、クルマ本体の耐久性だけではなく、やはりオーナー自身が培った『鈍感力』の賜物と言えるのではないだろうか。

(テキスト:渡辺大輔 / 写真:平野 陽)

[ガズー編集部]

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