釣りとキャンプを一度に楽しむ。ハイエースだからこそ実現できるアウトドアスタイル

都内某所。都内といってもそこは周囲に高いビルが見えない広大な芝生が広がる場所だ。その片隅に置かれたコンテナの中には、釣り道具やキャンプ道具など、無数のアウトドアギアが隠されていた。

オーナーである中川 奨さんの趣味はバスフィッシング。愛車であるハイエースにバスボートやルアーを積み、茨城県の霞ヶ浦などに遠征している。

1970年代後半、日本で大人から子どもまで巻き込む第一次バスフィッシングブームが到来。当時小学生だった中川さんも友達と夢中になって釣りに明け暮れた。

1980年代になると、今度はサーフィンがブームに。雑誌『Fine』とともにサーフファッションが流行し、赤いマツダ ファミリアにサーフボードを積んで湘南を目指すサーファーが注目された時代だ。

中学生になった中川さんもサーフィンを始め、週末になると海に通うようになった。もっとも運転免許が取れる年齢ではないので、大きなサーフボードを持って電車に乗ったり、知り合いの大人にクルマで海まで乗せて行ってもらったりしていた。

「この頃からですね。自分のクルマが欲しいと思うようになったのは」と当時を振り返る。

18歳になると中川さんはすぐに運転免許を取得し、念願のマイカーを購入。選んだのは日産 セドリックワゴン。トヨタ マークIIと並び、当時のサーファーから人気のあったモデルだ。しばらくセドリックで海に通っていたが、やがて中川さんはこんなことを考え始める。

「もっと楽に、何も気にせず荷物が積めたらいいのに……」

アウトドアを楽しんだことがある人なら誰もが経験したことがあるだろう。行きはしっかりパッキングした荷物を荷室にきっちりと積むことができても、遊び疲れた後はついパッキングが雑になってしまう。すると、行きと荷物の量は変わらないのに、何度やり直しても荷室に積みきれない荷物が出てしまう。

「僕もそういうことがあって、何も気にせず、何も考えずに荷物が積めるクルマが欲しいと思うようになりました。そしてワンボックスに目が行くようになったのです」

ワンボックスなら何がいいか。中川さんは周りの遊び仲間の意見を聞くようになる。すると、みんな口を揃えて「ハイエース」だと言う。

「ハイエースはとにかくタフで壊れづらい。そして人気があるから下取りも期待できる。まだ若くてお金があったわけではないから、壊れづらいのは大きな魅力でした。それに何種類かあるワンボックスの中で一番カッコいいというのも決め手になりました」

室内が広いハイエースは、何も気にせずサーフボードを放り込むことができるし、早めに海に着いたら車内で仮眠もしやすい。中川さんの遊び方にピッタリの一台だった。

20代中盤で中川さんはケガをしてしまい、サーフィンライフから離れることに。その代わりにスタートしたのが、小学生の頃に夢中になったバスフィッシングだ。

「最初は子どもの頃にやっていたから多少の知識もあるし……という軽い気持ちでしたが、大人になってやってみると子どもの頃にはわからなかった魅力に気づいて、すっかりのめり込んでしまいました。車中泊がしやすいようにハイエースの荷室に自分で簡易ベッドを作りました。それでも何も気にせずロッドなどを放り込めるから楽ですね」

やがて中川さんはバスフィッシングだけでなく渓流釣りも楽しむように。するとますますハイエースが活躍する。

「渓流は山の中に入っていくのでじっくり楽しもうと思ったら宿泊が伴います。でも釣りのために宿に泊まるというのが僕の性に合いませんでした。宿に泊まると釣りを楽しむためにはそこからクルマで移動しなければならない。でも僕は早朝に起きたらすぐに釣りを楽しみたかった。車中泊がしやすいハイエースは渓流釣りにも便利なクルマでした」

ハイエースの利便性にすっかり魅了された中川さん。今乗っている現行型ハイエース バン スーパーGLは、通算3台目のハイエースになるという。

しかし、中川さんの話を聞いて疑問が湧いた。それだけハイエースが気に入り車中泊をしながら遊ぶのであれば、ハイエースのキャンピングカーを手に入れることは考えなかったのだろうか。

「キャンピングカーは車内で快適に過ごすことを考えている分、たくさんの荷物を積むのは難しいというイメージがあったので惹かれなかったですね。それならテントやチェア、テーブルも一緒に積んでクルマの外でのんびり過ごすほうが気持ちいいだろうと思っていました」

こう中川さんが話すように、中川さんは釣りと並行してキャンプも楽しむようになった。お気に入りの場所は世界遺産である秋田県の白神山地の中にあるキャンプ場。ここはテントサイトから2mほど降りたところに釣り場があり、朝起きたらそのままサンダル履きで釣りを楽しめる環境だという。中川さんは長期の休みが取れると秋田までハイエースで向かい、1週間ほどキャンプをしながら釣りを楽しむそうだ。

「海に行っていた頃と大きく変わったのは、アウトドアの趣味を通じて多くの人と交流できるようになったことです。サーフィンは気軽に始められる遊びではないので、どうしても仲間は海に来ている人が多くなります。でも釣りやキャンプは敷居が低いからやったことがない人も『今度やってみる?』と誘いやすい。そこで面白いと思えば自然に仲間になるし、ハマらなかったとしてもこれまでと変わらない付き合いができますからね。気付けば多くのアウトドア仲間ができました」

また、釣りやキャンプには道具を集めるという楽しみもある。中川さんもいろいろな道具をコレクションするようになり、気付けば家が道具で溢れてきた。どうしようかと思っていたらたまたまコンテナを捨てるという人が現れた。

それを引き取り自宅で物置がわりに使おう。すると、キャンプ仲間からコンテナを置ける場所があると教えてもらう。そこにはヴィンテージのキャンプギアコレクターを始め、ディープなキャンプフリークが集っていた。その人たちと遊ぶことで、中川さんのキャンプの楽しみ方もより深くなり、道具の数もますます増えていったそうだ。

「乗り心地や走りのことを考えると普通の乗用車にしようかなと思うこともあるのですが、いざクルマを買おうとなると、やっぱりハイエースに目がいってしまいます。アウトドア雑誌を見ていると、たくさんの荷物を上手に積んでキャンプを楽しんでいる人が紹介されていますよね。僕にはどうしてもできそうにない。何も気にせず荷物を放り込めるコイツが一番です」

現在乗っているハイエースを手に入れたのは2009年。走行距離は19万kmを超えた。じっとしているのが苦手で、時間ができるとすぐに外に行きたくなるという中川さん。現在の自粛期間が開けたらすぐに大自然の中でテントを広げ、のんびりキャンプと釣りを楽しむだろう。たくさんの荷物を積んで全国を一緒に旅してきたハイエースもうずうずしているに違いない。

(取材・文/高橋 満<BRIDGE MAN> 撮影/柳田由人)

[ガズー編集部]

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